19 平敦盛「これはお浄土からのお迎えに違いない」
歴史IF・タイムトラベル小説です。
拙文ですが、内容には自信があります!
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時は流れ、平清盛が没した後、京に木曽義仲軍が侵攻する。
平家方は、京を脱出した。元服したばかりの敦盛もそれに同行した。
治承8年2月7日(1184年3月20日)、16歳になった敦盛は、一の谷の戦いに参戦した。
平家軍はまさかの奇襲にみな慌てふためき、敦盛は、鎧をつける間も弓を準備する暇もなく、ただ兜だけをかぶり馬に乗り込んだ。
いつの間にか父や兄たちともはぐれ、敦盛はただ右往左往するだけだった。
敦盛は悔しかった。何もできなかった。鍛えた弓の腕を披露する場もない。
自分は一族を救うのではなかったのか。
敗色が濃くなり、助け船に乗り込むため馬を走らせていると、後方より声をかけられた。
「そこにいるのは、平家の大将軍とお見受けいたす!」
振り向いた。敦盛は戦いたかった。
馬の頭をめぐらせると、刀を抜き相手に突進した。
必死に戦ったが、技量は相手のほうが数段上だった。
やがて馬からおろされ兜をはぎ取られた。
「いったいあなたはどういうお方ですか?お名乗りください、命だけはお助けしましょう」
熊谷直実と名乗った武者は、敦盛にそう言った。
敦盛は名乗るつもりはなかった。自分が名乗らなくても首を京にいた誰かに見せれば、敦盛であることがわかるだろう。
彼女は目を閉じ、神仏へ祈った。
一族の危機を救いたかった。
弓さえあれば、もう少しましな戦いができただろうか。
その時、敦盛は幼少の時、弓を教えてくれた少年の顔を思い出した。
(そして……)
そう思った瞬間、周りが青白く光り、何か見たこともない、乗り物のようなものが現れた。
敦盛は立ち上がった。
(これはお浄土からのお迎えに違いない。一族の危機を救えなかった私を憐れんで、阿弥陀如来様が迎えに来てくださったのだ。その証拠に、後ろの扉のようなものが開いている。)
敦盛は疲労しきった体を引きずるようにして歩き、その扉から中に入り込んだ。
中には奇妙ななりをした、若い男がひとり、目を丸くしていた。
男の顔は、どことなくあの少年に似ていると、敦盛は思った。
敦盛は妙に安心し、急に力が抜けてその場に倒れこんだ。
「南無阿弥陀仏……」
そうつぶやくと、急に周りが激しく揺れ、敦盛は頭に強い衝撃を受けた。
彼女はそのまま意識を失った。
今日は二話連続投稿します。




