16 信太朗「敦ちゃんの使命……」
歴史IF・タイムトラベル小説です。
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その後、七回忌は無事終わった。
叔母が他の参列者にうまく取り繕ってくれ、式を早めに終わらせてくれた。
敦ちゃんは静かな寝息を立てている。
最初に出会った時も、こんなふうに意識を失っていたことを思い出し、心配になった。
姉ちゃんは、車で叔母夫婦を駅まで送っていくといって、今は不在だ。
俺はテレビのリモコンを押した。
ニュース番組だったが、内容は頭に全く入ってこなかった。
敦ちゃんは、式場の部屋から白檀の匂いが流れてきたと思ったら、急にうずくまったという。
お香となにか関係あるのだろうか?
そんなことを考えていると、ふいに敦盛が目を覚ました。
「……。」
「敦ちゃん。大丈夫?」
「信太朗様?弘子お姉さまは?私、配膳のお手伝いの途中で倒れてしまって……。」
「それは大丈夫だよ。式は無事に終わった。姉ちゃんももうすぐ帰ってくる。」
そこまで言って、少し違和感を感じた。
敦ちゃんの表情が、少女のそれではなくなっていた。
なにかを決意した顔というか……。
「信太朗様……。」
「な……なんだい敦ちゃん。」
「信太朗様、私、先程……思い出したのです……全て。」
「え!?」
「……。」
「敦ちゃん、記憶が……戻ったってこと?」
「はい。」
「……。」
「私の……。私の名は敦盛。平経盛が六子。従五位下、平朝臣敦盛です。」
敦盛は背筋を伸ばし、真剣な表情でそう言った。
「……。」
俺は何も言えない。
来るべきものが来た。
彼女にとって、いや自分にとって良いことなのか、わからない。
ここ数日の敦ちゃんは、どこにでもいる普通の女の子だった。
好奇心旺盛で、よく笑い、よく泣く。
ドラマやアニメを見るのが好きで、好きな食べ物はお刺身。
今の彼女の表情は、数秒前と比べ別人のようだった。
緋色の目には光がともり、桜色の小さく少し厚めの唇は、固く結ばれていた。
声のトーンも低い。
「敦ちゃん……。」
信太朗がそう呼びかけると、敦盛は唇をぎゅっと結んだ。
「信太朗様。私は、やらねばならない事、課せられた使命があります。」
「敦ちゃんの使命……」
「はい、私がおなごの身でありながら、おのこのなりをしている理由。私が平敦盛として生をうけたのには、理由があります。」
「理由?」
「すべてお話しします。どうかお聞きください」
恐怖した。話を聞いてしまった後では、今までの敦ちゃんではなくなってしまうのではないだろうか。
しかし、彼女のためを思うのなら、真剣に聞き、理解しなくてはいけない。いや理解したい。
それから敦ちゃんは、驚くべき物語を語り始めた。
このお話は、必ず完結させます。
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