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5話:図書委員の仕事

 今日の放課後も俺は図書委員の仕事で図書室に来ていた。


「今日は人数少ないですねー」

「部活とかもあるだろうし仕方ないだろ」


 今日集まった図書委員は4人くらいだった。 図書委員の仕事は必ず参加というわけでは無いので、部活や塾などが忙しい人は来ていない。


 まぁつまり今来ている4人の図書委員は暇な生徒だという事だ。 でも今日の作業する本は少なかったので、4人だけでもすぐに終わりそうな量だった。


「あーあ、今日は七瀬君いないからつまんないなー」


 そう言って俺の隣で朝比奈はぶーぶーと文句を言いながら作業をしていた。 七瀬はバスケ部の練習があるので、今日の図書委員の集まりには不参加だった。


「あ、そういえば穂積先輩! 何で前回先に帰っちゃったんですか? あの後も穂積先輩の意見を聞こうと思ったのに!」

「え? あ、あぁいや……」


 七瀬と朝比奈が2人でファッション雑誌を見てた時の事を言ってるようだ。 セクハラ疑惑を出されたらそりゃ逃げたくもなるだろ。


「結局何か良い服とかあったのか?」

「うーん、色々と見てたらよくわからなくなっちゃいました、あはは。 あ、でも、せっかくだし、今度一緒に服見に出かけようって話にはなりましたよ」

「へぇ、そうなのか」


 どうやらあの後も2人で雑誌を読みながらあれこれと討論を続けていたらしい。 俺は朝比奈の話を聞きながら本にカバーとラベルを取り付ける作業を続けていた。


「あー久々に七瀬君とお出かけするの楽しみだなー」

「うん? 朝比奈は七瀬と一緒に出かけた事あるのか?」

「そりゃありますよ! 七瀬君とは大の仲良しですから!」


 そう言って朝比奈はえへんと、胸を張ってきた。 七瀬と朝比奈は仲良いなとは思ってたけど、一緒に出かける程の仲とまでは思ってなかったのでちょっと意外だった。 2人ともタイプが全然違うし。 ちなみに七瀬は寡黙かつ素直で礼儀正しいのに対して、朝比奈は賑やかで先輩だろうが関係無くフレンドリーに接してくるタイプだ。


 俺はせっかくだし、七瀬について気になった事を朝比奈に聞いてみた。


「なぁ、そういえば七瀬って出かける時はどんな服装をしてくるんだ?」

「え? 何でですか? 先輩ひょっとして七瀬君狙ってるんですか?」

「いや違うわ! 前にお前達がファッションについての話してたからちょっと気になっただけだよ」

「ふぅん、そうなんですか?」


 朝比奈は訝しんだ目で俺の事を見て来た。 決して朝比奈が今言ってきたように、狙ってるとかそういう話ではない。 でも、なんというか……最近の七瀬が気になるのも事実だった。 時折見せてくる悲しそうな顔が俺には気になっていた。


「それで? 結局どうなんだ?」

「どうって言う程でもないんですけど、七瀬君はいつもシンプルな服しか着てこないですよ。 普通のパンツにシャツを着るくらいのシンプルさです」

「へぇ、そうなのか。 なんだか似合いそうな服装とか多そうなのに意外だな」

「えぇ、そうなんです。 あれ? 七瀬君ってファッションに興味無いのかな? って思ったんで前に雑誌持ってきて一緒に見てたんですよ。 それで今度一緒に服を見に行こうっていう流れになったわけです」

「あぁ、なるほどな」


 そういう経緯でファッション雑誌を持ってきてたんだな。


「あ、そういえば先輩。 今日もこのあと七瀬君に会ったりしますか?」

「え? いや、会わないとは思うけど……って何で普段会ってるような言い方で聞くんだ?」

「いやいや先輩、いつも文芸部の部室で会ってるんでしょ?」

「な、なんでそれを……?」


 やばい、七瀬の休憩所がバレてしまったぞ……一体どうして……?


「いやだって七瀬君が言ってましたもん」

「って七瀬が言ったんかい!」


 何でバレた? って思ったら七瀬がバラしただけだった。


「いやそんなに慌てなくても大丈夫ですよ。 私以外には言ってないらしいので。 だから、部室に七瀬君のファンが集まる事は無いんで安心してください、あはは」

「そ、そうか。 それなら良かったけど……」


 それだけが心配だったのでホッとした。 というかその秘密を教えてるということは、七瀬と朝比奈って本当に仲が良いんだな。


「あ、それでですね。 えぇっと……はい、これ!」

「ん? なんだこれ?」


 朝比奈は自分のバッグから雑誌を取り出してきて俺に手渡してきた。 それは前回2人が読んでいたファッション雑誌だった。


「ってこれ前にお前らが読んでたファッション雑誌じゃねぇか。 なんでこれを俺に渡してくるんだ?」

「違いますよ、これは最新号のやつですよ! あぁいや、七瀬君に会うようだったらこれ渡しておいてほしいんです。 どうせ文芸部の部室で会うでしょ、先輩は?」


 どうやら朝比奈は、このファッション雑誌は七瀬に渡してほしいようだった。


「普通に自分で渡せば良くないか?」

「いやだって、せっかく持ってきたのにまた家に持って帰るのメンドくさ……いや、文芸部の部室に置いておけば、七瀬君の手に渡るしちょうどいいかなって、あはは」

「……ったく、わかったよ」


 体のいいお使いを朝比奈に頼まれてしまった。 まぁ別にいいけど。

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