第二十七話:相打ちの果て、揺らぐ盤面
「ぬおおおぉぉッ!」
「破ぁぁぁッ!」
練馬ヶ原の泥濘の中、重厚な大槌と大剣が真っ向から激突し、凄まじい肉圧と衝撃波が周囲の泥を派手に巻き上げた。
超能力も異能も介さぬ、愚直なまでの力と力のぶつかり合い。サ・バ・ンナと陀下門の死闘は、双方の刃と体が限界を迎えるまで打ち合い続けた結果、両者同時に膝をつく形での完全なる相打ちとなった。
「ハァ……ハァ……! ワシの……『いい国』は……譲らんぞ……」
「くっ……泥に塗れて……どこまでも意地汚い男だ……!」
決着はつかぬまま静寂が訪れたが、練馬の大戦から連戦を重ねていたサ・バ・ンナ&ゆるるの兄弟連合軍は、土着のタフネスを誇る陀下門軍の猛攻の前に実質的な甚大な被害を被っていた。兵の疲弊はピークに達し、軍勢はボロボロ。サ・バ・ンナたちは練馬の資源確保を諦め、本拠地である常盤台・前野町本土への撤退を余儀なくされたのである。
一方、この泥沼の事態を冷ややかな目で見下ろしていたのは、千代田・朝廷であった。
「見たか? ちくわぶのみならず、サ・バ・ンナも陀下門も共倒れ。そして、真っ先に兵を引いて逃げ戻ってきたチーかま軍の不甲斐なさよ」
品川から直々に圧力をかけるペンネ上皇の影が、朝廷内で再び絶対的なものとして拡大していた。真っ先に練馬から退却したチーかま軍の威信は失墜し、朝廷内での「主導権」は完全にペンネ上皇の手へと傾きつつあったのだ。
「チィ様、このままでは我らはペンネ上皇の傀儡に成り下がります。朝廷の主導権を完全に取り戻さねば、チーかま政権の命数は尽きます」
北区の本陣で、参謀・紋派が冷徹に告げる。
チィは唇を噛み締め、豪華な椅子を叩いた。
「冗談じゃないわよ! あのパスタババァの好き勝手にはさせないわ! アタシたちには朝廷の象徴があるじゃない!」
チーかま軍が打った次なる手は、朝廷のトップであるちくわ天皇、そして空気読めぬ能天気さを保つかまぼこ親王を徹底的に囲い込み、自陣営の「絶対の盾」として抱え込むことであった。
「ひ! また私を巻き込むの!? 母上に怒られるよ?!」
「まあまあ母上、チーかま軍の出すチーズおやつは美味しいですから、こちら側にいましょうよ」
ちくわ天皇とのかまぼこ親王の身柄をガチガチに確保したチーかま軍。
これにより、朝廷内は「絶対的武力で支配を強めるペンネ上皇」 vs 「天皇と親王を擁立して対抗するチーかま軍」という、致命的な内部対立の深まりを見せるのだった。




