第二十四話:練馬ヶ原の激闘(後編)・泥と執念の限界突破
激戦が始まって数時間。練馬ヶ原の泥濘の中で、すべての軍勢が疲弊の限界に達していた。
「ハァ……ハァ……! まだだ……! まだ膝は折らんぞ!」
泥と返り血に塗れながらも、サ・バ・ンナは大剣を支えに立ち上がる。
隣ではゆるるが肩で息を切りながらも、兄の背中を守るように泥臭く槍を構え直していた。
「兄上……敵も、味方も……もう限界です」
「ああ、だがここで引けば、チーかま軍に都の全てを握られる! 前野町も、ときわ台も、本蓮沼も……俺たちの居場所を守るために、ここが踏ん張りどころだ!」
サ・バ・ンナの咆哮に呼応し、傷だらけの陀下門も大槌を握り直す。
「そうだ! 本蓮沼の底力、見せてやるわい!」
この兄弟連合の底知れぬ「泥臭い肉弾戦の執念」の前に、チーかま軍の兵たちは恐怖で足がすくみ始めていた。
「チィ様……限界です」
参謀の紋派が、珍しく汗を流しながらチィに耳打ちする。
「補給を求めてここへ来ましたが、サ・バ・ンナたちの執念と、品川のペンネ上皇の乱入により、これ以上の戦線維持は我が軍の全滅を意味します。……一度撤退し、陣形を立て直すべきです」
「くっ……! 悔しい……! 悔しいけど、あの筋肉モグラどもに押し潰されるのは真っ平よ! 全軍……一時撤退!!」
チィの金切り声のような撤退命令が響き渡る。
チーかま軍が後方へ雪崩を打って引いていくと同時に、ペンネ上皇の圧力を前にちくわぶ法王の成増軍も蜘蛛の子を散らすように逃亡した。




