第二十三話:練馬ヶ原の激闘(中編)・血煙と鉄の鳴動
練馬ヶ原の戦場は、もはや統制の取れた陣形など存在しない「泥沼の大混戦」と化していた。
風に揺れていた銀色のススキは兵たちの足で踏みにじられ、舞い散る土煙と鉄の匂いが平原全体を包み込む。
「押せー! 押しまくれ! 採掘坑の入り口を何が何でも死守するのよ!」
チーかま軍の陣頭で、チィが喉を枯らして叫ぶ。
参謀・紋派は冷静さを失わずに粘着兵器の集中砲火でラインを維持しようとするが、そこに立ちはだかったのは、異能を一切封印し、己の拳と腕力のみで突き進むサ・バ・ンナとゆるるの「兄弟連合」であった。
「チーかま軍! 貴様らにこの練馬の資源は渡さん!」
サ・バ・ンナが大剣を薙ぎ払い、チーかま軍の堅固な練り物甲冑を真っ二つに叩き割る。
その背後から、弟のゆるるが電光石火の突進で敵の隙を突く。超能力も魔法もない。愚直なまでの肉弾戦、叩き上げの筋肉と武芸の圧力が、チーかま軍の前線をもりもりと押し戻していく。
「ヒィィィッ! なんなのあいつらの馬力は!? 練り物が潰れちゃうじゃない!!」
悲鳴を上げるチィ。しかし、戦況をさらに複雑化させたのは、漁夫の利を狙う成増のちくわぶ法王と、それを上からねじ伏せようとする品川のペンネ上皇であった。
「ぬはは! 煮込めば煮込むほど味が染みる! 若い者どもがやり合っている隙に、我が成増軍が北の銅鉱脈をいただくぞ!」
ちくわぶ法王がニヤリと笑った瞬間、その背後から地響きとともに重装パスタ兵団が襲いかかった。
「誰の許可を得て、私の前でコソ泥を働こうとしているのかしら?」
「ひぎゃあああっ!? ペ、ペンネ上皇様ぁぁっ!?」
ペンネ上皇の圧倒的な武力と威圧の前に、成増軍の防衛線は一瞬で崩壊。ちくわぶ法王はモチモチの顔を歪ませて逃げ惑う。
四つの勢力の欲望と意地が複雑に絡み合い、練馬ヶ原の地上は血煙と鉄の打撃音が激しく鳴り響く、混迷の極みへと突入していくのだった。




