第二十二話:練馬ヶ原の激突、群雄割拠の大混戦
銀色のススキが地平線まで波打つ、練馬ヶ原。
突如、その静寂を破って四方から地響きが轟いた。
地中に眠る膨大な鉱物資源——鉄、石炭、銅、ボーキサイトを求め、都の全勢力がこの大平原へと一斉に雪崩れ込んだのだ。
「全軍突撃! あの鉱山地帯を真っ先に抑えた者が、この世の覇者となるのよ!」
金の飾りがついた陣輿の上で、モ・ト・ハ・チィが扇を掲げて叫ぶ。
チーかま軍の先鋒が練馬ヶ原の中央へ向かって怒濤の進撃を開始。参謀・紋派の緻密な陣形のもと、粘着兵器を構えた兵たちが前線を押し上げていく。
だが、その側面に怒りの疾風が突き刺さった。
「ちくわぶのジジイも、チーかま軍もまとめて吹き飛ばす! 練馬の資源は奴らの自由にはさせん!」
サ・バ・ンナ第一王子と、弟のゆるる率いる「ときわ台・前野町・本蓮沼連合軍」だ。
異能も超能力も一切使わない。泥と血に塗れた本物の肉弾戦。サ・バ・ンナは大剣を一閃させ、チーかま軍の重装歩兵を力任せに薙ぎ払い、ゆるるは鋭い槍さばきで敵の側面を破っていく。
「ぬははは! 泥の強さを見せてやるわい!」
傷を押し押して出陣した陀下門も、大槌を振り回してチーかま軍の陣形を粉砕する。
「ひえええっ!? あの兄弟、相変わらず無茶苦茶な馬力だぞ! 押し戻せ、押し戻すんだ!」
悲鳴を上げるチィ。しかし、混戦はこれだけに留まらなかった。
「ふふふ……煮込めば煮込むほど味が染みる。若い者どもが争う隙に、我が成増が裏から資源の採掘坑をいただくとするか」
平原の北側から密かに忍び寄るのは、ちくわぶ法王率いる成増の寺社自衛軍。高物見を決め込み、棚ぼたを狙う姑息な立ち回りである。
しかし、その背後から更なる絶対的な圧力がのしかかる。
「おい、ちくわぶ。誰の許可を得て、私の目の前でコソ泥を働こうとしているのかしら?」
「ヒィッ!?? ペ、ペンネ上皇様!?」
品川から直々に乗り込んできたペンネ上皇と、ずらりと並ぶ重装パスタ兵団。
上皇の容赦ない一撃が成増軍の背後を襲い、練馬ヶ原は「チーかま軍」「兄弟連合軍」「成増軍」「品川・朝廷軍」が入り乱れる、前代未聞の四つ巴の大混乱へと突入した。
ススキが激しい風と兵の足音で踏みにじられ、大地の底に眠る鉱脈の上で、男たちの意地と欲望が泥臭くぶつかり合うのだった。




