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第二話:千治の雷鳴、激突の千代田

千代田の街道を、地鳴りのような足音が揺らしていた。

文京国を力任せに排除したチーかま軍に対し、決起した東軍連合——豊島国・台東国・中央国の三国勢力、そして常盤台から駆けつけた武士サ・バ・ンナ、本蓮沼から打って出た陀下門(たかもん)の軍勢が、千代田の境界へとなだれ込んだのである。

「チーかまの好きにはさせん! 我ら常盤台の武士の力、しかと目に刻め!」

陣頭に立つサ・バ・ンナが抜刀し、鋭い声を張り上げる。その眼光には、乱世を切り拓こうとする若き野心がみなぎっていた。

「古き権門の腐敗も、北区の野心も、我が太刀にて断ち切る! 押し通せぇッ!」

湿地の粘り強さを秘めた陀下門の豪快な咆哮とともに、東軍の兵が一斉にチーかま軍の陣営へ襲いかかった。数において圧倒する東軍の圧力が、千代田の街道を埋め尽くしていく。

だが、迫り来る大軍を前にしても、チーかま軍の陣頭に立つ凄腕の参謀・紋派(もんぱ)の表情には一切の動揺がなかった。

「チィ様。東軍は数こそ多いものの、即席の連合体。統制など取れておりません。特に血気盛んなサ・バ・ンナと、一撃の重い陀下門の部隊を分断いたします」

傍らで総大将チィは、不敵で華やかな笑みを浮かべた。

「いいじゃない、紋派! 手筈通りにやりなさい。前線の雑魚どもはあしらいつつ、我らは本丸——千代田の朝廷屋敷を真っ先に抑えるわよ!」

「はッ。全軍、敵の突進をあえて受け流し、左右へ迂回せよ!」

紋派の鮮やかな指揮により、チーかま軍は柔軟に陣形を変形させた。真っ直ぐ突き進む陀下門の突撃を巧みに受け流して無力化し、サ・バ・ンナ率いる常盤台の部隊を狭い路地へと誘導して分断を図る。

「な……!? 敵の陣形が崩れん! むしろ引き込まれているのか!?」

サ・バ・ンナが異変に気づいた時には、すでにチーかま軍の包囲網が完成しつつあった。

千代田の街道は、激しい刃音と叫び声、そして乱戦の熱気で包まれる。互いのプライドと野心がぶつかり合う合戦の渦中、チーかま軍の真の狙いである「朝廷屋敷」への道筋が、冷酷に開かれようとしていた。

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