第十九話:成増の急襲と、泥臭き肉弾の絆
「調子に乗りおって、ちくわぶのジジイが……っ!」
深海の超能力や異能など必要ない。サ・バ・ンナの強さは、埼玉の寒風を素手で耐え抜き、己の肉体と精神を限界まで鍛え上げた「泥臭い叩き上げの執念」にあった。
「兄上、あやつら……疲れ切った我が兵たちを笑いながら踏みにじりやがった!」
「許すな、ゆるる! 異能など使わん! この拳と鋼の剣で、叩きのめす!」
サ・バ・ンナは愛用の大剣を地面に突きたて、己の腕力と足腰だけで成増の先鋒隊へ躍り出た。サ・バ・ンナとゆるる、常盤台と前野町を背負う兄弟の泥臭い連携攻撃が爆発する。
「う、うわあああ! なんだこのバカ力は! スキルも魔法も使ってないのに力負けするぞ!!」
「ひえええ! 兄弟揃って腕っぷしが強すぎる!!」
一振りで数人の兵を薙ぎ払うサ・バ・ンナの質実剛健な剣技と、前野町で培われたゆるるの軽妙かつ鋭い近接格闘。超能力を封じ、ただ愚直に力と武芸のみで押し込む兄弟の鬼気迫る肉弾戦に、高物見を決め込んでいた成増の軍勢は一気に総崩れとなった。
「 煮込めば煮込むほど味が染みるはずの『ちくわぶ』が、出汁を吸う前に粉々砕かれる!!」
ちくわぶ法王はモチモチの顔を蒼白にし、命からがら成増の山頂寺院へと逃げ帰っていくのであった。
一方その頃——千代田・朝廷本部。
「で? ちくわ、チーかま。いつまで江戸川をあんな魚くさい連中に好き勝手させておくつもりなの?」
品川から乗り込んできたペンネ上皇が、豪華な座布団の上でフォークを鳴らしながらチィ、紋派、そしてちくわ天皇を睨みつけていた。
「ひ、ひぃぇぇっ! 母上、まだ前回の傷も癒えておりませんし、チーかま軍も補給が……!」
「黙りなさい! 官軍の威光を失ったままで、この私(上皇)が満足するとでも思っているの!? 今すぐ第二次江戸川自治区侵攻を開始しなさい! 負けたら全員品川の重装パスタ兵の刑よ!!」
理不尽すぎる上皇の命令に、ちくわ天皇は「ああああ! 私、戦なんて行きたくない!」と涙目になりながら鎧を着せられ、前線へ担ぎ出される羽目になった。
「チィ様……補給線は依然として脆弱ですが、上皇様の命令を拒めば我が軍は品川に滅ぼされます。不本意ですが……行きますよ」
「あーもう! ペンネのババァに怒られるのも、サ・バ・ンナのツラを見るのもアタシは真っ平御免なのよーっ!」




