病院
横浜市内、大学病院。
田中刑事、
そして吉井刑事と由美は。ほぼ同時に病院へ到着した。
廊下には、緊張した空気が漂っている。
白木刑事が駆け寄ってきた。
「こちらです」
一行は早足で病室へ向かう。
ドアが開く。
部屋の中央。
簡易ベッドへ、小さな子どもが寝かされていた。
由美は誰よりも早く駆け出した。
「春人!!」
そのまま子どもを抱き上げる。
涙が溢れていた。
「春人……!」
だが。
数秒後。
由美の表情が止まる。
吉井が後ろから静かに聞く。
「……お子さんに間違いありませんか?」
由美は子どもの顔を、じっと見つめる。
呼吸が浅くなる。
「……違う」
掠れた声。
「うちの子じゃない……」
「春人じゃない……」
由美は呆然と立ち尽くした。
その瞬間。
バンッ!!
病室のドアが勢いよく開く。
一人の警察官が飛び込んできた。
顔面蒼白。
息も乱れている。
そして。
警察官は由美から強引に子どもを抱き上げた。
「っ……!」
次の瞬間。
男はその場で泣き崩れた。
「よかった……!!」
「莉奈……!!」
「無事でよかった……!!」
病室に嗚咽が響く。
田中と吉井は、一瞬で理解した。
――アキラを連れ去った警察官。
――娘を人質にされていた。
田中は即座に男の肩を掴む。
「どこだ!!」
「アキラをどこへ連れて行った!?」
警察官は震えながら答える。
「……本牧埠頭」
「倉庫です……」
田中と吉井が顔を見合わせる。
田中の目が鋭くなる。
「行くぞ」
吉井も頷く。
「間違いない。タケルと春人はそこにいる。」




