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見破る男  作者: パンジ
12/22

逮捕

事件発生から二日目の夜。


山下公園のベビーカー爆発事件を受け、警察は特別対策本部を設置した。


もはや、ただの誘拐事件ではなかった。


爆発物を使用した計画的犯行。


一般市民を巻き込む可能性。


そして、乳児の生命が危険にさらされている。


投入される捜査員の数は、一気に数倍へ膨れ上がった。


そして効果は、すぐに現れた。


防犯カメラの解析により、ベビーカーを山下公園へ置いた人物が特定されたのだ。


飯塚泰明、三十五歳。


数時間後、飯塚は自宅に潜んでいるところを確保された。


取調室。


田中刑事が到着した時、飯塚は椅子に座ったまま震えていた。


大柄な男だった。


だが今は、その大きな身体を小さく丸め、顔色も悪い。


目は赤く、唇は乾ききっていた。


田中は机の上に一枚の写真を置く。


伊藤タケルの写真だった。


「知ってるな?」


飯塚は写真を見る。


そして、ゆっくり首を縦に振った。


田中の目が細くなる。


「話せ」


飯塚は震える声で言った。


「……脅されてるんだ」


「誰に」


飯塚は、写真のタケルを指差した。


「その男だよ」


田中は黙ったまま飯塚を見る。


飯塚は堰を切ったように話し始めた。


「妻の愛美を人質に取られてる」


田中の表情が変わる。


「どういうことだ?」


飯塚は両手で顔を覆った。


「一昨日だ……ベビーカーと人形が送られてきたんだ」


「中には、手紙も入っていた」


「人形をベビーカーに乗せて、指定された時間に山下公園へ置いて来いって」


飯塚は荒く息をする。


「最初は冗談だと思った」


「でも、そのすぐ後に愛美から電話があったんだ」


田中は身を乗り出す。


「愛美さんは何と言った」


飯塚の目から涙が落ちる。


「言う通りにしないと殺されるって……!」


取調室に、飯塚の泣き声が響く。


「俺は、あれが爆弾なんて知らなかったんだよ!」


飯塚は机にしがみつく。


「頼む…… 愛美を助けてくれ……!」


大きな身体を丸め、飯塚はその場で泣き崩れた。

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