ヴェルドゥーに、お別れ
「じゃぁ、行きます。」
「おう、元気でな。」
長かったようで短かったヴェルドゥーでの十日間も、今日で終わりか。
そう思うと感慨深いな...本当に色々な事が有ったからな...
それに、ヴェルドゥーではルールリアンよりも沢山の人と知り合えたしな。
「...ゲントさん、またヴェルドゥーに来たら次も絶対に猫のごろ寝亭に泊まってニャ。絶対に。」
「えぐっ、あんたは悪いやつじゃニャいからニャ。次回も歓迎するわ。だから、また会おうニャ」
「あはは、ゲント君と一緒の時間は濃厚だったからね...いなくなると思うと、寂しくなるニャ。」
ローグさんの次にマリーさん、トゥーリさん、エリさんの猫獣人三人がお別れを言ってくれた。
ってか、トゥーリがデレてる!?
だが、こんな時だしな。
絶対いじらないぞ。
「あぁ、もちろんだ。その時は、トゥーリも今日みたいに優しくしてくれるかな?」
「にゃ、にゃ、にゃ、ニャに言ってんのよ?!ばっっっかじゃニャイの!?」
しまった、つい反射的に!
「まぁ、今回は特別に許してやるニャ。特別ニャよ!」
「あはは、もうこの絡みも見れないのか...って言っても、十日しか見てないんニャけどね。」
「...本当に寂しくなるニャね...」
「また会えるさ、俺もS級になったら色々落ち着くだろうし。」
次にお別れを言ってくれたのは、受付嬢のアイリさんだった。
「ゲントさん、初めて会った時は少し怖くて、苦手だったんですけど...あの朝のルーティーンがもう無いとなると、それはそれで寂しいです。次の街でも元気でいてください!」
「有難う御座います、アイリさん。また、お世話になるかもしれませんね。」
そして、
「また、うちの店に来てくださいね!」
錬金店のメイリさん。
「打算なしにあれほどの大金を喜捨してくれるあなたです。きっと、神も見守ってくださります。」
大神殿の神官さん。
「あー、アイツらも言ってたけど、次ヴェルドゥーに来る機会があったらまた泊まってくれ。そして俺の飯を食ってくれ!」
ヴァオさん。
「おう、ゲント。頑張れよ。オメェはS級になる逸材だ。別にうちの武器防具を使えと言わねぇ。自分にあった武器を使え、そして世界一になれ!」
そして、熱く語ってきてくれたルークさん。
って、あれ?
既視感。
「...あの、マイケルはどこですか?流石に十日で習えるもの全て習った訳じゃあ無いでしょうが...」
「ん?アイツ、言ってなかったのか?俺達はお前のためにここ数日、結構頑張ってたんだが...」
「え?いえ、多分言ってないと...と言うか、なんの話ですか...」
「おーい!!ゲントぉ!!」
と、話しているうちに本人が来た。
「今回も遅いなぁ。」
「悪い悪い、最後の仕上げって奴だ。」
「何のだ?」
「前回は剣を打った。生憎折れちまったが...まぁ、あれは素材からしてA級の魔物に耐えられるもんじゃなかったしな。だが、今回は違うぜ。俺とルークさんの力作だ!」
そう言って、ルークが背負っていた鞄から取り出したのは...
「うおおおおぉぉぉっっ!!なんだこれ!!」
「アースドラゴンの皮でベースを、腕と脚は鋼鉄とミスリルの合金で騎士の篭手とグリーブの様なものを作った!あと胸、背中、肩、太腿の外にもその合金でプロテクターを作った。それ以外のところも並大抵の攻撃じゃぁびくともしねぇけどな!!」
「すげぇぇぇ!!...頭部鎧は?」
「無いのがロマンだろ!」
「解ってんな!!」
クーーッ、カックイイ!!
ピカピカに光る合金とアースドラゴンの深い赤茶の装甲が上手い具合にマッチしてる。
しかも、必要な場所にしかプロテクターを付けてないから、動きを阻害しない筈!
前、マイケルに剣道具の事を話してた時の事を覚えてたんだ!
「...マイケル、有難うな。」
「おうよ!俺はいずれS級冒険者になる男を支える鍛冶士になるからな、今のうちから出来ることを全てやっとかねぇとな!」
「...あぁ!」
ガシッ!と握手する。
「...何時見たって若い奴らが友情を育む姿は良いもんだニャー。」
「おい、ヴァオ、おっさん臭いぞ。」
「俺たちはもう全員立派なおっさんだぜ、ローグ。」
何かおっさん三人衆が言ってるけど、今は無視だ無視。
「ゲント様。領主様からお言葉です。」
と、そこにルーカスさんから使者が来た。
「はい、何でしょうか?」
「一言、『達者でな!』とだけ。」
「...あの人らしいな!それじゃぁ、皆!言ってくるぜ!」
「おう、頑張れよゲント!」
「また何処かで出会えるのを待ってるぜ!」
「いつでもアタイに会いに来てー!」
「だから姐さんはゲントさんのいい人じゃな...へぶしっ!」
共にアースドラゴンに向かった冒険者達も含めた皆の声を背に、俺は乗り合い馬車に向かった。」
「...へい、らっしゃ...て、お前はこの前のうるせぇ奴!」
「あ、ツンデレのオッサンだ!」
なんと、偶然にも、俺とマイケルをヴェルドゥーにつれてきてくれた人だった。
誤字、脱字、その他諸々の難点をお教えください。
全て読み、善処します。
読んでくれて有難うございます。




