グレーターアースドラゴン、後編
長めです。
や、やりきった...
ズガッッッキィィィンン!!!
角が折れる豪快な音と、剣が割れる澄んだ音が続いて鳴る。
お互い予想外な出来事が起こった事に驚いたのか、追撃等せずにただ互いから距離を取る。
最も、今の俺には反撃なんて出来ないんだが。
そして自分で何が起こっているのか整理できる前に、後ろからローグさんや他の皆の声が聞こえてきた。
「...嘘だろ、おい」
「や、やべぇ、お終いだ!どんな剣士でも剣が無いんじゃどうしようにもない!!」
「...クソ、ここでアタイもここまでか?!」
全員、悲痛な顔で俺の手に握られた、刀身が半分になった剣を見ている。
「ゲント」
「...はいっ」
「下がれ」
「な、なんで...」
急な命令に、反射的に口答えるが...
「お前は頑張った。もう、俺一人でも行ける。下がれ。」
「まだです!まだ行けます!!」
「黙れ!!オメェの冒険できる時間はもう終わりなんだよ!!良いからこっち来い、後は俺がやる!!死んででも!!」
「ッッ!!」
元々、俺が行くと言うまでは刺し違えてでもアースドラゴンを倒す覚悟でいたローグさんだが...まだその覚悟は行きていた。
そうか...俺にはあの覚悟を消せるほどの説得力は無かったか。
...クッソ不甲斐ねぇな。
『最も血と汗を流して人類を守ってきたのは、冒険者達だと儂は思う』
っ!?
急に、あの日の...初めての狩猟クエストを受け、ティムさんにハウルウルフを運んでもらったあの日の事を思い出した。
...そうだな。
人類を守ってきたのは、冒険者だよな。
それを何だ?
冒険者を引退したただのお爺さんに命を掛けて人々を守ってもらうのか?
俺も、守ってもらうのか?
「...ざっけんな、爺。冒険者引退した老いぼれが何言ってんだよ。」
「...!?おい、ゲントォ、もうそんな事言ってる場合じゃねぇんだよぉ――」
「うるせぇ!!まだ...終わってねぇ!!」
「おい、ゲントぉ!?」
ローグさんの静止の声を無視し、俺はアースドラゴンへ向けて駆ける。
...どんな剣士でも剣がなけりゃ戦えないだぁ?
ざっけんな、見せてやるよ!!
「『超集中』!『吹風速』!『流水踏』!」
まずは、剣を必要としない闘技を使い、間合いを詰める。
...竜の野郎、俺の武器が無くなったの知ってお互いから距離を取った時にあった緊張感を欠片も残さず雲散させやがった。
舐めきった目で俺を見て、悠長に口を明けて俺に振ってくる。
「はぁぁぁぁっっ!!『飛斬』!!」
そこに俺は、魔力を纏った手刀を振り、その魔力を移出させ...そう、初めて『飛斬』を使った時と同じ要領で、斬撃を飛ばした。
ズバッ
〔ギギャアァァッ!?〕
「「「なっ!?」」」
不意打ちを食らったアースドラゴンが顔を振り上げ逃げ、俺の無謀とも見える特攻に唖然としていた冒険者や職員の皆とローグさんが驚愕した。
「...っよし!!素手でも頑張れば闘技は発動する!!『流水踏む』」
振り抜いた手刀をガッツポーズに変え、俺は一先ずアースドラゴンの射程内から出る。
途端、巨大な左足が直ぐ前まで居た場所を潰した。
にしても、まさか休み時間の度に友達にすり足で寄って手刀で面打ってた経験がここで役に立つとは...
有難うな、お前、二回目以降ウザがってたけど。
アースドラゴンの瞳に再度警戒の色が宿り、翼腕も含めた全ての脚を地面に付けてきた。
この動作は、当然――
「ブレスッ!」
〔ギャゴォォォォーー!!〕
ゴウッッッ!!
途轍もない勢いで土の奔流がドラゴンの口から発射される!!
街に向かったが、幸いローグさん以下皆は予備動作で察知していたのか直線状から避けていて、その避けたブレスもヴェルドゥーが建っている丘に当たるだけで、俺達が戦っているところから数十メートル高い場所にあるヴェルドゥーは無傷だ。
揺れただろうが。
そして、俺はと言うと――
「直線攻撃は威力が高い代わりに横薙ぎしないと当たる場所が少ない!!」
ブレスに沿ってアースドラゴンに向かった!!
これには驚いたのか、ブレスをこっちに薙ごうとするが――
「もう遅い、『流水踏』!!」
『吹風速』を発動させた俺は、もう顔の真横だ!
最後に、一気に顔まで肉薄し、
「『岩砕き』!『光刃』!」
闘技を二つ発動し、頭のもう二度打った所に切り込む!
ズガン!!
〔グギャァァァ!!!〕
何度も同じところを叩かれた痛みからか、段々声が弱々しくなって来た。
って、
「うおっ、『岩砕き』!フンッ!!」
体全体を振るって尻尾を叩き込んできやがった!
即座に『岩砕き』を使うが、吹き飛ばされてしまう。
こういう時こそ、『超集中』で反応速度を上げといてよかったと切に思う。
ドスンッ
「いちち、やりやがったな...ポーション、ポーション...」
幸い、怪我は大した事なさそうだ。
これからは、もしもの時は『岩砕き』を腕に発動して盾にしよう。
「なぁ、ゲント...」
アイテムバッグからポーションを一瓶取り出して呷るように飲んでいると、ローグさんが声を掛けてきた。
うわっ、マジかよ...こんな後ろまで飛ばされたのか。
「...何ですか?」
「ああ、もう引き止めもたりしねぇよ。おめぇの気持ちは本物だって分かったしな...ただ、いけるのか?」
「ええ、今やった所後三回同じことをすれば殺れると思います。でも、そうなるとポーション足りなくなるので、殺った後はよろしくお願いします。」
「...そうか。」
それだけ言うと、ローグさんは腰から自分の剣...サーベルを抜いた。
「やるよ。」
「ええっ!?これ、二十年間使い続けた愛剣だって言ってなかったですか!?」
「大丈夫だ、ダンジョンで見つけた良い剣だからまだ使えるぜ」
「古いって言ってるんじゃなくてですね!!」
あんた、何度も生を救われた相棒だって言ってたじゃないですか!
「良いって。こんな爺が碌に使うこともないのに持ってるくらいなら...お前みたいな将来有望な小僧に使われた方がこいつも嬉しいだろ。さぁ、行けっ!!」
そこまで言うと、有無を言わせず剣を握らされる。
「...分かりました。殺ってきます、この剣で」
「堅剣ストラネーゼって名前がある、ちゃんとした魔剣だぜ。効果はただ硬くて鋭いだけの、堅実さだけが取り柄の地味な魔剣だが...下手な属性魔剣よりよっぽど良い剣だ。」
「ああ。じゃぁ、行くぜ、ストラネーゼ!!『吹風速』!」
これ以上の魔力は温存したい。
だから『吹風速』だけ使って、ただひたすらに駆ける。
途中、アースドラゴンが地面を隆起させ石柱を作り足場を崩そうとするが...構わず、突き進む。
壁は飛び越える。
土の槍は逸らす。
そして、俺を跳ね上げようと隆起させた壁を足場に――真横に跳ぶ
「『火点撃』、『獣落とし』、『岩砕き』、『光刃』!!うおぉぉぉぉぉ!!!」
アースドラゴンの顔めがけて数々の闘技を使い、更に俺の残った全ての魔力も剣に注ぎ込む。
すると、『光刃』の輝きを超えるとてつもなく眩い光が剣から溢れ出る。
〔グオォア!?〕
閃光に奴がが思わず怯むし、俺も見えないが、俺は迷わず剣を振るう。
アースドラゴンに当たるように願って。
「『流れ星裂斬』!!!」
ズバァァァッッッ!!!
誤字、脱字、その他諸々の難点をお教えください。
全て読み、善処します。
読んでくれて有難うございます。




