C級になってまずやる事...それは...
鷲をアイテムバッグに入れ(ギリギリ入った)ローグさんに上級冒険者としての心構えを教えられながら冒険者ギルドに戻り、クエストの達成証明をした後、俺は...
「もう一個クエストください!」
「ばかじゃねぇか!?上級に上がったその日に上級のクエストを受けるやつがいるか!もっとお祝いとかあるだろ!?」
「それは、日が暮れてからです!今はまだ昼前ですよ?まだまだ時間に余裕はあります!これでも流石に今日は何個も依頼を受けるのは問題かと思って自重してるんですよ?」
「......はあ。まぁ、どうせ俺が止めてもアイリに頼むんだろう?アイツはお前の事苦手だから、受注するだろうし。」
アイリさんはあの眼鏡受付嬢さんだ。
「えー、俺別に苦手意識なんて持たれて無いですよー。」
「いやいや、毎朝あの剣幕で迫れれたら誰だって苦手意識持つと思うぞ。むしろ嫌われてないだけマシだと思え。」
後ろでアイリさんがコクコクと頷いていたのが誠に遺憾だったが...まぁ依頼さえ出してもらえるならいっか。
ローグさんが言ってたように、嫌われてはいないそうだし。
「今ある依頼だと...こんなところだな。どれにする?」
「ああ、有難う御座います...って、うん?ああ、そっか。」
「ん?どうかしたか?」
「いえ、ただちょっと気になることがあって...ま、選択肢として出されてるしな。よし、やってみっか!」
ー✦森にて✧ー
「よう。前回の事に、お前は関係ないが...どれだけ強くなったか、試させてくれよ。」
〔ブギィィィーー!!〕
【C級:アサルトボア】
そう、俺はアサルトボアの狩猟依頼を受けた。
そもそもアサルトボアはF級のスクイールボアの上位種、チャージボア...のまた上位種、ラッシュボア......のまたまた上位種である。
デカくもならず、属性も帯びず、ただひたすらに突進力が増すように上位種への進化を重ねてきた種族だ。
よって適応力は無いし、変則的な攻撃をすることもない。
ただひたすらに速く、それでいて力強く、重い突進をする...まさに猪突猛進その物な魔物なのだ。
よって、魔法使いも戦士も揃って戦うことを嫌う魔物だが...俺はもう一度戦ってるから、むしろどれだけ強くなったのか測りやすい。
尚、魔物の上位種同士で交配するとその上位種の子供が生まれるぞ。
上位種への進化は不可逆な行程なのだ。
そうやって、アサルトボアは独自の種族として独立した。
ユーランド王国ではそこそこ見かける魔物らしい。
はい、意識を戻して...今は、戦うだけだ。
「こっちから行くぞ!『飛斬』!」
『飛斬』を飛ばしながら、それに追随する形でイノシシに向けて踏み込む!
出鼻を挫かれたアサルトボアだったが...
〔ブギャーー!!〕
なんと、『飛斬』ごと俺を轢き殺すべく突進してきた!
「!?...『岩砕き』!ふんっっ!」
流石C級の魔物、『飛斬』でも革を貫通せず、僅かに怯ませるに終わった。
だけど、一瞬時間を買うだけでも十分だ!
『岩砕き』を発動させた剣を振り下ろさず剣の背に片手を置き、全力で堪える!
すぐにとてつもない衝撃が襲ったが...ダメージを受けたのは確実のこいつだ。
〔ブッガァーー!!〕
頭を下げて突進してきたせいで、剣が目と鼻の間に食い込み、上顎が半ば切断されかけている。
だが、普通の剣ならポッキリ折れていただろう。
マイケルにしっかりと作ってもらった剣に、『岩砕き』を掛けてようやく耐えられたんだろう。
柄から、少しミシミシといった音が聞こえる。
「...マイケルからなるべく剣にストレスを掛けないように言われてるのに...」
以前、剣を研ぎ直してもらった時、マイケルに剣がやや脆くなっているって言われた。
今すぐどうこうなる事は無いそうだが...なるべく『獣落とし』とかは、少なくともそのままでは使わないようにと言われた。
たぶん、あの鳶との戦闘が一番ストレスを与えただろうから、と。
だが、逆に言えばそのまま使わなければどういった事も...ない!
「『光刃』、『獣落とし』!うおおおっっ!突きいぃぃ!!」
ドスッッ
〔ブホッ〕
顔を断ち切られそうになった痛みで仰け反っていたイノシシは、急に二倍に伸びた刀身に反応できず、『光刃』が付与された切っ先に抵抗もなく突かれた。
「ふぅーっ、南無三。...流石に行動パターンが単純なだけあって、ってか一度戦った事もあったし、まぁ問題なかったな。」
当然、全力ではあったが...まぁ、以前でも倒せた相手だしな。
それに、俺は確実に中級戦士以上の力を持っている訳だし。
ま、何はともあれ、依頼達成だ。
...俺も強くなったんだな。
ー✦冒険者ギルドにて✧ー
冒険者は、基本、いつ死ぬかわからない職業だ。
一度別々の道へ旅立ったら、もう二度と会えなくなることなんてザラだ。
だから今日と言う日を、そして今日出会った人達と過ごす時間を大切にする人達が多い。
つまり、何が言いたいのかと言うと...
「俺は今日、C級に昇級したぜ!今日は、俺の奢りだぁ!!」
「はぁ、テメェみたいな若造がかよ!おい、冒険者カード見せてみろよ!って、本当だ!錫のギルドカードだ!」
「おお、有難な!これで今日の一杯はタダだぜ!」
「かーっ、最近の若いのはスゲェな!だけど奢らされるだけなんてこっちの面子が立たねぇ、俺も一杯奢ってやる!」
「はーん、イケメンじゃねぇか!顔も良くて腕も良いなんて、最高にカッコイイな!どうだ、アタイと付き合ってみるか?」
「姐さん、その筋肉じゃ男なんて土台無理...へぶしっ!」
冒険者にはノリがいいのが多くて助かる。
対して親しい人がいなくても、こう祝ってくれる。
こうして、冒険者ギルドは混沌に...じゃなくて、お祭り騒ぎに染っていくのであった。
誤字、脱字、その他諸々の難点をお教えください。
全て読み、善処します。
読んでくれて有難うございます。




