ガチ
〔ブギィーー!!〕
「デ、デカイ!」
「避けろ!」
ダン教官に押された勢いで、横に跳ぶ。
するとそこをアサルトボアが物凄い速さで通り抜け、少し先で急停止した。
「アイツらはF級の魔物同様身体強化しかできないが、その桁が違う!身体強化と巨体のみでC級に認定される脳筋魔獣だ!」
そうダンさんが言いながらも、アサルトボアはゆっくりと常に俺たちを視界に入れるように回った。
「俺が気を引く!」
ジェリクさんはそう言うや否かの内に走り出し、腰のパウチから左手で小さな爆弾のような物を出し、
「『スモルファイヤ』!」
何と魔法で小さな火の球を作り、それで爆弾の導線に点火。
それをアサルトボアに投げ付けると、頭に当たり―
キーーンッ!
鋭い音を発し、破裂した。
〔フギ―!!〕
アサルトボアがジェリクさんにロックオンした。
「スゲー!ってかジェリクさん左腕使えたんだ!って言うかあの音爆弾何?!って言うか魔法使えるの!?」
「左腕は激しい運動じゃなかったら問題なし、音爆弾はベテラン冒険なら使う冒険道具の一つっ、そして弱い魔法なら訓練すりゃ大概の人は使えるぅっ!だけど今は忙しいから後にしろ!」
アサルトボアの突き上げや突貫を華麗に避けながら、そんな事を言いながらもしっかり説明してくれるジェリクさん。
ベテランは違うな!
「よし、ナイスだジェリク!はぁぁぁっ!」
そしてジェリクさんは上手くアサルトボアを誘導し、ダン教官に向けて真っ直ぐ走り、
ダン教官の頭上を飛び越えて、
そのまま誘導されたアサルトボアはダン教官に突進し、
顎と鼻を両断された。
〔ブゴーッッ!!〕
「チッ、避けたか!」
既のところでアサルトボアは突進を中断させたようで、何とか脳には至らないまで斬撃を避けたらしい。
「うお、っとと。あー、最近運動不足かー。」
ダン教官を飛び越えた後着地に少し失敗してしまったそうで、ジェリクさんが嘆いていた。
「凄いですね、ジェリクさん!まさかこれ程カッコイイとは思っていませんでしたよ!」
「かーっ、テメェ地味に侮辱だからな、それ!」
〔ブガーッ!〕
「お前ら、気を抜くな!まだ敵は存命だぞ!」
ごもっともです、ダン教官。
俺は何もしていないけど、取り敢えず構えといた。
因みに、今の俺の立ち位置はバックアップだ。
...来る前のあの儀式みたいなのは何だったのだろうか。
アサルトボアは、血やら涎やら体液を零しながら、身を振るっていた。
そして二度、三度右前足の蹄で地面を抉り...アイツは何を見ているんだ?
俺達の後ろ...まさか!
「あぶねぇ!」
〔ブキーッ!!〕
「ぬっ!?がはぁっ!」
ジェリクさんの叫びも虚しく、二匹目のアサルトボアに後方からかち上げられるダン教官。
前に向かって構えていたため、背中ががら空きだった。
「ぐっ!」
「ダン教官!!」
地面に叩きつけられる教官。
「っ、チッ、俺が、ゆ、油断してたか...」
「そ、そんな...報告では一匹しか居なかったんでは?!」
「覚えておけ。冒険者は、常に、最悪を想定して...依頼達成報告をするまで慢心、するな...」
「ちっ!少なくとも肋骨は折れてる!」
ささっと容態を見たジェリクさんが言う。
ダン教官は、演習の時などでも最低の箇所しか守らない鎧をつけていて、今回の緊急クエストにも時間が無かったためそのまま来たのだ。
更に、アサルトボアは純粋な力のみでC級とされている。
それだけを取れば、B級に近い。
他の魔法が使えなく、他に特殊な能力を持っていないからこそC級なのだ。
しかもダン教官には衝突時の力に加え、少なくとも五メートルの高さから落とされたのだ。
咄嗟に受け身は取ったようだが、それで助骨しか折れていないのならむしろ凄いことだろう。
「ジェリクさん、どうしましょう!?」
「...糞っ。すまないゲント。俺にはこいつらをぶっ倒す火力がねぇ。」
「何言ってんですか!?ジェリクさんだって剣持ってるし、仮にも元C級ですよね?!」
「ああ。だが今では片手剣を使ってるが、元々は両手剣――グレートソード使いだったんだ。闘技の方はからっきしさ。」
「そ、そんな...」
「だがお前は違う。剣の腕もC級相当なはずだし、強力な闘技も持っている。俺はダンさんを連れて一旦離脱する!すぐ援護しに戻る、持ちこたえてくれよ!」
そう言い切ると、ジェリクさん再度接近してきた無傷な方のアサルトボアを斬りつけ引かせ、ダン教官を拾い、背負いながら全力で逃げた。
それを見た顎と鼻を両断されたアサルトボアは、俺を横目で見るなりジェリクさんを追いだした。
もう一匹のがそのアサルトボアと俺の間に入り、俺が傷つきの方を追えないように陣取る。
魔物にしては頭が回るそうだ。
だが、俺相手には無駄だな。
「【吹風速】!【流水踏】!」
闘技を二つほぼ同時に発動し、一瞬で二体のアサルトボアを回り込む。
「っとと」
通り過ぎざま傷つきを斬りつけたつもりだったが、如何せん早く行き過ぎていてコントロールが効かなく、浅かった。
あと足が縺れた。
だがすぐに体制を立て直し、切っ先を二匹に向け牽制する。
俺が通り過ぎたことと、傷つきに関しては切られたことに動揺し、俺に向ける目が本格的に警戒したものになる。
最近、俺は舞い上がっていた。
それこそ魔物を殺すときは流石に気が沈むが...それでも強いと賞賛されることに、一目置かれる事に、チヤホヤされる事に浮かれていた。
そして、何もできずにダン教官へに攻撃を通されてしまった。
勿論、不要な事はするなとは言われていたが...だとしてもだ。
真剣な戦闘に身を置かないがあまり、戦闘に対して緊張を感じなくなっていた。
だが...
二つの巨体が俺に警戒の目を向けるように。
俺も怒気の篭った目を向けた。
「お前らも生きるためには必死なんだろうが...山を越えなければ良かったな。テメェらは...俺を本気にさせた。」
た、た、た、大変申し訳ありませんでしたーーー!!!!!!!!!
現実で沢山の出来事が重なり、更に唯でさえ難産だった事もあり、長らく投稿を開けてしまいました。
これからはこういうことが極力内容、粉骨砕身頑張ります。
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誤字、脱字、その他諸々の難点をお教えください。
全て読み、善処します。
読んでくれて有難うございます。




