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異世界転移したのに程々にしか強くねぇ。  作者: 魚ハンバーガー
序章
12/44

E級昇格クエスト

【E級 昇級クエスト イエロードレイク 一体の討伐】


ほえー。

F級の魔物は殆ど「ハウル」だとか「ヒッシング」だとか言った動物の名前に擬音がついた形の魔物ばっかりだったから、名前に色がついただけでなんか特別感があるな。

そう思いながら依頼書を読んでいると、ギルドの奥から偉丈夫が出てきた。

丸メガネをかけて、冒険者ギルドの制服を着ているがいるが、それ以外は完全に冒険者だ。

いや、もう一点、冒険者じゃありえない部分がある。


「おお、てめぇがびっくりするほど早く昇級するまでに至ったやつか。俺はジェリクだ。ジェリクさんて呼べ。」


「んな強情な...と、それはともかく、あの、失礼じゃなかったら...」


「ん?ああ、どうせ俺の左腕のことだろう。なーに、若い頃無茶しただけさ。お陰でC級止まり。でも、書類作業はできたし、この辺りに出現する程度の魔物なら文字通り片手で捻れる程度だからな。ギルドに拾ってもらったんだ」


「...ご苦労お察しします」


「おう...ほんっとに丁寧なガキなんだな。そんじゃ、今日は俺が審査官だからな。付かず離れずの距離から見守ってるから、頑張れな!」


街を出ると、それまで一緒に歩いていたジェリクさんは有言実行で離れていった。

そして、一人で依頼にあった場所へ向かったんだけど...絶対あれだな。


E級【イエロードレイク】


そもそも、野生の動物が基本的に地味な色をしているのは野生で他の生き物に見つかりにくくするためだ。

僅かに存在する色鮮やかな鳥だとかは、異性の気を惹くために派手になった系と、そして自分は毒がありますよアピールのために派手になった系が殆ど。

あと深海魚に派手なのが沢山いるのは...なんでだっけ?

海が赤い光を通さないからだっけ?

まぁいいや。

にしても、肉食動物でさえも捕食対象にばれずに近づけるように地味な色合いだっつうのに...

あれはないわ。

名前に類わず真っ黄っ黄な竜のような魔物が俺の前にいた。

でもあいつ派手だが...強そうだ。

今はこっち向いてないが...頭から尾まで六メートルの巨体。

パット見はワニだが、ワニよりも遥かに脚が発達している。

横に広い大きな口、更に体には岩のような鱗が連なっている。

そして、ここからでも見える右腕には、レモンのような色の鱗とはまた違う、深みのあるキャッツアイのような爪。

綺麗だな...あの色には何か魔力的な物が関係しているのかな?

そして見るものを怖じ気つかせるような恐ろしい顔が、まるで威嚇するようにこっちに歯を見せていて...ん?

あ、こりゃ見つかったな。


〔ギャオオォオォオォオ!!!〕


ぬおー、音で体が震える!?

そしてひとしきり威嚇した後、こっちに突進して来るうぅぅぅぅう!?!

やべえ、やべえ、と思っているうちに奴は右手を挙げて...何するつもりだ?


反射的に手が腰の剣へ行き、引く。

そしてそれで奴が作り上げた直径二十センチ程の土塊を切り割った。


こ、これが魔物の魔法。

この世界では、魔法を使うためには詠唱しなければいけない。

高位の魔法使いは無詠唱でも魔法は使えるみたいだが、やっぱり詠唱した方が集中して魔法を構築できるそうで、普段は詠唱すると言う。

だが、魔物は感覚的に魔法を使える。

その分魔法のバリエーションは少ないみたいだが、だとしても遠距離の魔法は俺のような戦士には厄介だし、すぐに出てくる魔法は長々詠唱する魔法使いにも厄介だ。

だから、基本的冒険者はパーティーを組むんがだ...俺のスピード出世についてける人いなさそうだったし...

まぁ微妙とは言え異世界転移者だし?

俺より昇格早い人達、全員勇者や伝説級の冒険者だし?

当時は俺より昇格速度下だった人の中にも今では伝説って呼ばれる冒険者まぁまぁいるし?

少なくとも将来伝説級になりえる人たちとパーティー組まなきゃ、昇格速度落ち―どわっ!

また放たれた土塊を剣で切った。

これ、野球の球くらいの速さで飛んで来るぞ?

まあこれを打つくらいの動体視力は転移前でもあったけど、やっぱり俺強くなってるって実感はするわ。

魔法が放たれるのを見てから切れるし。

そうこうしているうちに、イエロードレイクはもう目の前だ。


〔グオオォォォ!!〕


集中して、一歩退く。

いつでも斬り掛かれる体制で、剣を上段に持ち、奴を待つ。

そして、間合いに入った途端―


「セイッ!」

ズバッ

〔ォ〕


亜竜の巨体の横へ滑り、通り過ぎる隙に溜めていた力を一気に振り、斬首した。

イエロードレイクは断末魔の悲鳴を上げる間もなく、胴と頭が別々のところに落ちた。

途端にこみ上げる罪悪感。

だが、最初ほどでは無い。

俺はついさっきまで生きて俺に襲い掛かって来ていた亜竜の頭へ近寄り、手を合わせて、目をつむる。

すまん、ドレイクよ。だが、これも自然の摂理だと許してくれ。

そして再び目を開けると、胸はまだ晴れないまでも、少しは楽になっていた。

はぁ...さてと。

こいつは、今まで倒した中で一番デカイ。

暫定一位だ。

そして、相変わらずの問題。

...どうやって持っていこう。



ー✦ルールリアンにて✧ー

ジェリクさんに手伝ってもらい、何とか熊を街まで運べた。

ちなみにジェリクさんに聞いてみた所、普通は昇給する冒険者のパーティーメンバーが輸送を手伝うのだとか。

一人の冒険者の昇級をその冒険者の所属しているパーティーの仲間が直接手助けするのは規約違反だが、戦闘に加わらなければ付いて行ってその冒険者が戦うのを見ているのは問題ないとか。

それで冒険者が勝てば、一緒に倒した魔物を担いで帰って、友情が深まるとか。

...仲間か。

いいな...

尚、パーティーメンバーが戦闘に加われば、昇格は失格になると。

まぁ当然だな。

にしても、ジェリクさん隻腕なのに、迷惑をかけちまったな...

基本的にこの街での昇格はジェリクさんが審査員をするので、今度昇格するときはお手を煩わせないようにしないと...

なんか、マジックバックみたいな物があれば良いんだけど...

あったとしても、買えるかな...


そして、俺はギルドでみんなに祝ってもらった。

普通のお祝いだった。

みんな気が良い奴だった。

後、初めて本格的にお酒を飲んだ。

経験から言おう。

未成年飲酒、ダメ。

※未成年飲酒はいけません。

異世界だからこそ飲酒法が緩く、玄人は飲めたんです。

どうしてもお酒が飲みたい未成年の方々は十六歳以上ならドイツへ行けば飲めます

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

誤字、脱字、その他諸々の難点をお教えください。

全て読み、善処します。

読んでくれて有難うございます。


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