閑話③双子が忌み嫌われる訳
クランベルク王国には御三家と称される公爵家がいた。
武力に秀でたアルバート家、
国より古い歴史を持つ知識の塊のドミニウス家、
外交・社交に秀でたレイフィールド家、
この三家が王家を支えることで、クランベルク王国は緩やかに発展を遂げていった。
王家を支える家柄という理由から、王妃は御三家の娘が選ばれることが非常に多かった。
7代目国王の妃が同盟国の王女だったため、その息子であるエドモンドの婚約者は御三家の中で歳の近い娘のいるドミニウス家から輩出されることとなった。
しかし、ドミニウス家の娘は双子だったため、どちらを王妃とするかは、適正を判断して後ほど決めることとし、暫定的に2人とも婚約者候補としてエドモンドと平等に時を過ごすことになった。
ドミニウス家の双子ーレイチェルとエミリアは外見は瓜二つで、2人とも同じくらい賢い少女だった。ただ、レイチェルの方が社交的で友人が多く、エミリアは読書や刺繍を好む大人しい性格だった。
エドモンドは引っ込み思案なエミリアを気にかけることが多く、エミリアもエドモンドが苦戦していた外国語を教えるなどして、2人の距離は縮まっていった。
エミリアは大人しいとはいえ、社交が全くできない訳ではなかったし、彼女を慕う貴族子女もいたことから、2人の気持ちを優先し、婚約者はエミリアに決まった。
しかし、その頃から王都にクーデターを企む一団が潜んでいるという噂が実しやかに流れ、実際に騎士団の駐屯所を破壊する者が出て、次から次へと暴動騒ぎが勃発するようになった。
この調査を進めたアルバート家は、ある事実に気づく。それは、犯人たちは何かしらの魔術で洗脳されていた可能性があるということだった。
魔力のある者がほとんど生まれないクランベルクには魔術の知識のある者はおらず、魔術師の国であるシェヘラザードに調査協力を依頼、結果としてこの国で唯一魔力を持っている者が判明した。
驚くべきことに、それはエミリア・ドミニウスだった。
彼女の魔力量はシェヘラザード国民と比べても多いほどであり、民衆を操ることくらい容易だということ、そして、暴動の実行犯と話している姿が目撃されていたため、エミリアは国家反逆罪で投獄され、そのまま病で亡くなった。
その後、エドモンドはレイフィールドの年の離れた娘と結婚し、ドミニウス家は事件の責任を取り爵位を返上、アルバート家も『いつまでも同じ家門が重責を担うのは危険だ』と判断し伯爵位への降格を願い出た。
御三家は実質的に解体となり、クランベルク王国は新しい体制へと移行していった。
それからというもの、貴族や民衆の間では双子、とくに女の子は災厄の前触れ、邪悪な力を持った魔女と言われるようになったのである。




