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彼女が騎士になった日 1

お久しぶりです!

更新滞ってしまってすみません!

しばらくセリアの過去編です。

お姉さまに報告を済ませた私は一人でぶらぶらと祭りの街を歩いていた。銀髪は帽子に隠して、顔にはお祭りで売っているお面。そういえば、初めてお祭りに来た時もこんな格好をしていた。


4年前、私がまだ見習い騎士だった頃に団長のガルドに連れられて初めて王都に入った。星爛祭の式典には各騎士団の団長は必ず参加しなければならないのだ。


「ねー、何で私も来なきゃいけなかったの?」


正直言って王都に興味はなかった。


「お前まだ国王陛下を見たことなかったろ?俺たちは一応陛下の家臣として騎士やってんだ。お前がこのまま騎士になりたいんなら一回見とけ」


団長はニカッと笑うと私の頭を乱暴に撫でた。アルバート騎士団の団長である彼は一言で言えば『ゴツい男』だ。身長は飛び抜けて高く、肩幅も広い。顔立ちはなかなか精悍なのだが、どこか田舎臭さが隠せない。


「別に王様の顔なんか知らなくてもいいよ。私は騎士団の皆のために騎士になりたいんだから」


見たこともない王への忠誠心なんかこれっぽっちもない。他の見習いの子もそうだと思うけど、私達は今まで自分を育ててくれた団長とか騎士団の皆が好きで、かっこいいと思うから騎士になるんだ。


「その言葉は嬉しいけどね、セリア。」


そう言って苦笑するのは副団長のアレクさん。アレクさんは団長とは正反対の線の細いタイプ。長い茶髪を無造作に束ねていて、服装も団長と大差ないのに何故か洗練した雰囲気を醸し出している。


「君は同世代の中でも一番剣の腕が立つ。だからこのまま騎士になってくれたら確かに俺たちは嬉しいよ。けどね、道はそれだけじゃないんだ。王都で沢山の物を見て、これから色々考えて、それでも騎士になりたいと思ったら言ってほしいな」


アレクさんがこう言うのは、私の出自が関係しているんだろう。あと私が女だから。


「はーい」


なんとなく面白くなくて、私はそっぽを向いた。


***


王様なんか興味ない?…昨日の私をぶん殴ってやりたい。


一言でいうと、団長の任命式に私はいたく感動してしまったのである。


国王陛下は意外と若い、怜悧な雰囲気を持つ方だった。いつもとは違う、少し豪華な服を身に纏った団長がー朝会ったときは似合わないと大爆笑したけどー国王陛下の前に跪く姿はまるで一枚の絵みたいだった。


団長が誰かに跪く所なんか想像もした事が無かったし、団長は私たちの長だから誰の下にもつかないと思ってた。


けど違った。


団長は間違いなく国王陛下の臣下なんだ。


団長が陛下から剣を賜った瞬間、主がいるということはこういう事なんだと思った。


「アレクさん、私やっぱり騎士になります。」


舞台に目を釘付けにしながら私が言うと、アレクさんは「そう」とだけ言った。


***


「すっご…」


団長とアレクさんは王都の馴染みの店(未成年は入れない)に行くとかで、半日ほど暇になった私は祭りの催し物でも見ようかと一人でぶらついていた。


髪の毛は三つ編みにしてからお団子にしてフードの中。顔には、お芝居でつけるみたいなオシャレな仮面。普通に街を歩いていたら不審がられる格好だけど、祭り中なら不自然ではない。子供だからなのもあるけど。


今私がいるのは、魔術師が多く古くからの文化を重んじる事で有名なシェヘラザード王国から出展された工芸品の展示場。元々ある洞窟の中に、これまたシェヘラザード王国産のランタンを灯していて幻想的だ。


私が目を奪われたのは、タイニー二の聖剣と名付けられた剣。普通の剣より少し太めの刃は赤やオレンジの光を浴びて妖しく輝き、紅の鞘はツヤツヤとしていて、鞘に巻かれているホルダーは皮ではなく布で見たこともない織り方がされている。


「…欲し〜い!」


人より力が強く、すぐに剣を折ってしてしまう私には頑丈そうな太い刃は魅力的だったし、何よりその美しさに心が奪われた。


見つめていたってガラスケースが無くなる訳では無いし、無くなった所で取っちゃダメな事くらい分かっているけど目が離せなかった。


バリーン!


突然、入り口の方からガラスの割れる音が響いた。私がいるのは展示場の奥の方だから入り口の方といってもどの辺りなのかは見当がつかない。


どうせ展示場の入り口にいた騎士が何とかするだろうと思ったけれど、気になったので様子を見に行く。


「からー・・・ってーーだろ?!」


聞こえてきたのは男の子の声。


(喧嘩?)


そう思った瞬間、ドサッと音がして視界に尻餅をついた男の子が飛び込んできた。それに続いてその子に棍棒を振り下ろす男も。


ーガッ


私は男の子の前に立ちはだかり男の振り下ろした棍棒を護身用に隠し持っていた短剣で受け止める。


走った拍子に帽子が脱げ、お団子が解れた髪の毛が背中に揺れた。


「…何してんの?」


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