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最初で最後の晴れ舞台?

言動がセリアっぽくなっちゃったけど、アリアです。

星爛祭、それはこの地方に昔からある星に祈りを捧げる伝統行事であり、100年程前に現れたこの国を救った聖女を祀る行事でもある。何故この二つが混ざったのかは分からないけど、この国一番のイベントである事は間違いない。


星爛祭は三日間を通して執り行われる。王都には国内外から様々な露店が出店し、サーカスや演劇等も催される。

王族はこの期間が一年で一番忙しいと言われている。民衆への顔見せ、功績を上げた者たちの授賞式、各地騎士団長の任命式、他国からの外交官への対応、貴族との夜会など…

この国の第一王子であるリオン様も勿論その例に漏れない。


「国王陛下だ!」


叫んだのは誰だったか。その声に続くようにワアと民衆から歓声が上がる。


「王妃様ー!」「リオン殿下!」


口々に王族を呼び手を振る民衆達。普段は解放されない王城の中庭には沢山の民衆が詰め寄りバルコニーから顔を出した王族に歓声を送っている。その民衆達の中にはソフィーの姿もあり、私はホッと息をつく。ここにソフィーが現れなければイベントは始まりもしないのだから。


私、つまり悪役令嬢アリアはこの時二階のリオン様達が手を振っているバルコニーの隣の部屋から民衆の様子を見下ろしている。ソフィーの周りの人々を一人一人じっくりチェックすると、ある二人組の男に目が止まる。


「あの二人ね。」


うーん。どうしようかな…

原作のアリアがどこまで動いたかは分からないから迂闊な事は出来ないけど、やはりここは根元から断つべきかしら。


「すみません」


私が声をかけると部屋の隅に立っていた王城のメイドがすぐにやってきた。


「御用でしょうか。アリア様」


私はメイドに耳打ちをして指示を伝える。メイドは特に詮索もせず「畏まりました」とだけ告げた。


それから数分後に現れた騎士に指示を告げると私はまた窓の外を眺める。


今は国王陛下のスピーチの最中。先程の二人組の男が動き出す。それをソフィーが追いかけた。


「ふふ、完璧ね」


そう呟いて私は紅茶を飲む。セリアは私は悪役に向いてないなんて言うけど、今の姿は完全に悪役じゃないかしら?惜しむらくは紅茶がワインじゃない事ね。


民衆の拍手がスピーチの終わりを告げ、私はゆっくり立ち上がった。


***


「嫌です!離して!」


王城の裏庭、食料庫のそばで二人のガラの悪い男達が金髪のか弱そうな少女の腕を強引に引く。


「計画が知られたんだ。黙って帰す訳にはいかねえ!」


男の振りかざしたナイフがキラリと光る。


「何をしている!」


突然響いた第三者の言葉に一瞬男の動きが止まる。その隙に声の主はナイフを持つ男の腕を捻り上げた。


「っクソ、王城騎士か!」


慌てて逃げようとするもう一人の男を別の騎士が取り押さえる。ぐるりと周りを10人もの騎士に取り囲まれ男達は諦めたように力を抜いた。


「あの…」


ソフィーがおずおずと近場にいた騎士に話しかけようとする。


「お怪我はないかしら?ソフィー様」


満を持して私は悠々と登場した。


「…アリア様」


驚いたように目を見開くソフィー。本当にゲーム通りね。


「貴女、どうしてこんな所にいらっしゃるの?」


「私は…先程中庭で国王陛下のスピーチを拝聴していたのですが、この男の人たちの怪しげな会話を聞いたので…」


ソフィーの言葉に私は態とらしく眉をひそめる。


「まさか、一人で男達を付けてきたのかしら?」


私の非難めいた口調にソフィーは言い返してくる。


「でも、彼らはリオン様の暗殺を企んでいたんです!そんなの放っておける訳ないでしょう?!」


「だったら尚更、騎士なり王城の使用人なりに言うべきでは?リオン様に御身の危険が迫っている事が伝わらなくては意味がないでしょう」


私の言葉にソフィーは俯く。


「それは…」


「現に貴女は捕まって殺されかけていた。そうなっては暗殺の件は明るみに出なかったわ。最悪リオン様は殺されていたかもしれない。

男爵家とはいえこの国の貴族でしょう、その自覚を持つ事ね。非常事態に適切な判断も下せないような小娘が王族の隣に立つ資格なんかないわ」


ばっと扇を開いて口元を隠すと、私はソフィーを馬鹿にするようにフンッと笑った。


「彼女を医務室へ。殿下への報告は私がします。賊はとりあえず牢に入れておいて下さい」


騎士が恭しくお辞儀をすると私は素早く踵を返した。






…きまった!


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