光
教会の、使徒様の使いを命じられた時は、
嬉しかった。
私の信心がこの運命を手繰り寄せたのだと、
本気で思った。
…でも、使徒様を見た。
そこにいたのは、人間の子供に似たナニカ。
ツノはあるし、肌のところどころを銀色の硬い膜のようなものが覆っていて、性別という概念すら存在するか怪しい。
正直、怖かった。でもそれ以上に、
可哀想と感じた。感じてしまった。
司祭は静かに言った。
あれは化け物だと、決して惑わされてはならないと。
人間の心を持たないとわかっていながら、どうしても、その闇に沈んだ目に、輝きを灯してあげたかった。
ある日、何となく庭園の脇に生えていた、たんぽぽを与えてみた。そよ風でも吹き飛ばされるわたをじっと見て、何も言わずに、ただどこか寂しそうな表情を浮かべていた。
私は思った。
どうしてこんな生き物を、教会は飼うのだろうと。
私はその必要性を心底疑って、必死になって情報を集めるようになった。
そして、「それ」の持つ魔力で、戦争をふっかけていることを知ったとき、信じていた神は、歪んだ欲が化けていただけだと悟ったとき、
私はどんな顔をしていただろうか。
もはやそこに、信心などは存在しなかった。
残ったのは、いたいけな、その子をこの檻から出してあげたいという想いだけだった。
もう、私には胸を張って召使いだと、
言える自信なんてないし、これ以上ここに、
まして生きていたくもなかった。
そして今、その子は扉を開けて、
閉じもせずに出ていった。
まるで、大きな彗星を見たかのようだった。
まさにそれは、自ら輝くものだった。




