軌道より外れて
私はいつだって…不幸でも、
恵まれているわけでもなかった。
一日の大半を殺風景とも呼べる、人々の頭上を眺めている。彼らは、皆、同じ顔をしている。
いつもの使いの者が毎朝起こしにきて、広い場所に行き、大勢の前で座り続け、再び寝室に戻るだけ。
本当に、それだけ。
多くの者は口角を上げ、私にありがたいだのと、呪文のように、何かに囚われたように接してくる。
ーなぜ?
そして使いの者は、時折目に涙を溜めて、目を合わせられないのか私の右耳を見ている。
どうしたのかと聞くと、何でもありませんと、ただ濡れた画用紙をくしゃくしゃに丸めた笑みを浮かべるだけだった。
ーなぜ?
でも、その度に私はどこか、いてもたってもいられなくなるような、心が何かに縛られるような感覚になる。
同じ朝、同じ飯、同じ床。私はきっと、惑星だ。
メトロノームの音で周り続け、ただ生きるために恒星の方を向く。
「聞いてくださいね。あなたは…そう、人間ではないのです。」
それはきっと、隕石だった。
「あなたの力は、人間たちによって搾取され、悪用されているのです」
それはきっと、星の消滅だった。
座っている私の前でしゃがみ、使いの者は、そっと私の首元に手を伸ばして、言った。
「首輪を外せば、あなた様は『自由』になれるでしょう。しかし、私にはどうすることも叶いません。私にはあなた様に言葉を紡ぐことしかできません。」
私は、動揺した。…いいや、違うか。
いつか、この時を望んでいたのだ。
本当の、言葉を待っていた。
「そうか。ありがとう。」
私は、やっと自分の意思で何かを成す。
「…どうか、ご無事で。」
使いの者は静かにそうこぼした。
その言葉にハッとして振り返る。
「…そうだ、名前は…何と言うんだ?」
自分の口は何故かそう動いていた。驚く私に対して、使いの者は大層嬉しそうに言った。
「ルナ、ルナです!」
もう、顔はボロボロだった。
「ありがとう、ルナ。また、会えると、いいな。」
もう、私は振り返らなかった。
稚拙な文で申し訳ないです。
自分の世界を1人でもいいなと思ってくれれば嬉しいです。
自己満足ですので、お気になさらず。




