18.国の終わり
半年後。
ロゼリアの小さな家でエリックはパイプ煙草を吸いながら新聞を読んでいた。
「俺が育った国、ガンベールがレイラストになったか・・・。」
両国とも国の半分以上が被害に遭う程の酷い戦争だった。
そして決戦前夜。
ガンベール国の少年王、モモ国王が逃亡。
モモ国王逃亡により、ガンベール国の敗北。
モモ国王を国王に就任した前国王と前王妃を戦争責任として処刑が決まった。
ガンベール国は1ヶ月後正式にレイラストになる儀を執り行う。
現在、逃亡中のモモ元国王を捜索中。
見つけ次第、即刻処刑を執り行う。
「モモは・・・2つの国をめちゃくちゃにしたかったのか。」
エリックにはそんな気がした。
「アナベルさん、大丈夫か?」
アナベルは溢れ出る涙をハンカチで何度も拭った。
「ずっと頑張って運営してた国がこんなあっさりと無くなるなんて・・・好きじゃなかった、むしろ嫌いだった!だけど!だけど!」
アナベルのガンベールに対する想いは複雑だった。
「ぐすっ・・・カリナや騎士の皆は大丈夫かしら?」
「皆に手紙は送った。信じてくれるのを信じるしかない。」
「そうね。」
エリックはララとお上さんに手紙を送り、アナベルはカリナや騎士達に警告の手紙を送っていた。
まさかエリックの悪い予感が当たるとは・・・。
騎士達は戦争に参加は当たり前だろうが、エリックとアナベルは皆んなが無事でいてくれる事を願った。
「父上と母上が処刑されるのか・・・。」
親子らしい会話など何一つ思い出せないが、少しだけエリックは悲しくなった。
「大丈夫?」
アナベルが静かにエリックに寄り添う。
「あぁ・・・大丈夫。」
エリックはアナベルの体温を感じながら目を閉じた。
その頃、レイラストの貴賓牢では。
前国王が真っ白に燃え尽きたようにソファに座っていた。
「何がダメだったのだ。いつからダメだったのだ。」
ずっと同じ言葉を繰り返すが、答えは出なかった。
別の場所では。
「次の人達はこちらの馬車にお乗りください。」
戦争被害にあった村の人達を新しい土地へ送る馬車に、村人達は順に乗っていく。
その中に帽子を深く被った黒髪の少年と、顔の半分の火傷を髪で隠した少女もいた。
「ネコ寒いだろ。もっとこっちこいよ。」
「う、ん。」
人が沢山乗る馬車の中で2人は温め合うように寄り添う。
黒髪の少年は、髪を黒く染めたモモだった。
モモは小声で会話する。
「へへん。あの王様ざまぁみろだ。俺のネコをバカにするから。」
「でも、戦争、やる必要?」
「めちゃくちゃにしたかっただけ。俺を簡単に王様にする方が悪い。」
「そっ、か。」
モモのこれからは逃亡の人生だ。
そうなると分かってモモは二つの国を自分勝手にめちゃくちゃにして逃げた。
そして追われている。
見つかったら処刑だ。
モモは全く怖くなかった。
何故ならーー
「俺にはネコがいるからな。」
モモとネコ。
2人がいるなら、どこまでも生きていけるから。




