14−2.
モモの部屋の前には心配そうなアナベルとネコがいた。
「エリック様!来て下さったのですね!よかった!モモ様どうやら塞ぎ込んでるようで元気がないんです!父親として励ましてください!」
「父ではない・・・ダメ元で話かけてみる。」
エリックはモモの部屋にノックして入った。
モモはソファに座って空を見ていた。
「何でアンタが来るんだよ。」
「頼まれた。」
「最悪だな。」
「・・・ネコが心配してたぞ。様子が変だと。」
モモはエリックの方に身体を向き直した。
「アンタも人の事言えねーだろ、俺と同じであの女に困ってんだろ。」
あの女ーーエミリア。
エリックとモモの共通点だ。
「おっさん教えてくれよ。仮にアンタが父親だとして、何で俺はスラムで育たないといけなかったんだ。」
モモは真剣だった。
自分の父がエリックだと言う前提で話をしていた。
モモは純粋に知りたかったのだ、自分の生い立ちが不幸な事を。
エリックは下を向いた。
そしてしばらくして顔を上げた。
「俺がミリアを・・・お前達を迎えに行かなかったからだ。」
沈黙。
モモはエリックを静かに見ている。
「戻って来たら迎える気ではいた。でも、しなかった。ただ待っていた。それでももし・・・。」
エリックの唇が微かに震える。
「ミリアに子どもがいると知っていたら探しに行ったと思う・・・。」
「・・・・・嘘つけ。」
「・・・そうかもな、その時にならないと実際は分からない。」
「クソ親父。」
モモは小さく笑った。
「ミリアと何があった。」
モモは顔を途端に歪め唇を噛み締めた。
「親父、アンタ王太子なんだろ!あの女を追い出してくれよ!」
「待て、何があったんだ!」
モモは言いたくなさそうに拳を握った。
「アイツは・・・アイツは・・・!」
噛み締めたモモの唇から血が滲んだ。
「アイツは俺に客を取らせたんだ!!」
「っ!!!」
エリックは目を見開く。
「女の服を着させて、無理矢理客を取らされた!俺は抵抗した!でも相手は大人で・・・。」
モモの目から一筋の涙が溢れる。
エリックはモモを抱きしめた。
「すまなかった。知らなかったとしてもミリアを探しに行けば、お前にそんな事はさせなかったのに。」
「離せよ!くせーよ!離せよ!今更なんだよっ!バカ!アホ!死ね!くそ!くそっ!」
悪態をつきながらも、モモの目から次へと次へと涙が流れる。
「なんで俺があんな目にあわなきゃいけないんだよ!なんでだよ!なんで!クソ親父のせいだバカ野郎!」
「そうだ全て俺のせいだ。」
「バカ野郎!バカ野郎!クソ親父!」
「すまなかった。」
「バカ!死ね!バカ!親父のせいだ!」
「すまなかった。すまなかった。」
その後、しばらくエリックはモモの悪態を受け止め続けた。
しばらくするとモモは泣き疲れて寝てしまった。
モモをベッドへ寝かす。
エリックのその表情は無表情に怒っていた。
モモの部屋をでるとアナベルとネコが心配そう顔で伺ってきた。
「モモ様の様子はどうですか?」
「色々あってな泣き疲れて寝ている。」
「では起きるまでそっとしておきましょうか。ネコ様わたくしの部屋でお菓子でも食べましょう。」
「・・・うん。」
アナベルとネコを見送ったあと、エリックは廊下をすすむ。
着いた場所は修練場だ。
「エリック殿何用で?」
わらわらと騎士達がエリックの周りに集まる。
「王太子命令だ。」
騎士達の動きがピシリと止まる。
「今、この城にいるミリアという女を追い出せ。命令だ。」
フレディはニヤリと笑った。
「かしこまりました。王太子殿下。」
その場にいた20人もの騎士が、エリックの命令で動き出した。
そして玉座の間にいたミリアを捕まえる。
「王太子殿下の命令で貴女を城から追い出します。」
「はぁ!?王様助けて!」
「ほぉ、エリックの奴権力を使うようになったかいい兆候じゃな。」
「聞けよ!助けろよ!離せ!!」
王様に無視されるミリア。
ミリアはそのまま引きずられるように城の廊下を歩かされる。
そして門の前にくると思い切りつき飛ばれて、石畳みの上に倒れた。
「もう貴女は城に入れませんから。これも王太子殿下の命令です。ばいばーい。」
フレディが煽る様に手を振って踵を返す。
ミリアは怒りで震えた。
「エリック!これで終わったと思うなよ!お前の幸せなんてぶち壊してやるんだから!クソォ!!!」
ミリアはしばらくの間、門の前で罵倒していたそうな。




