14.罪な男
「今日こそは!」
ずんずん歩きながらと玉座の間に向かうエリック。
モモがいるので養子を取る話はなくなったが、強制的に王太子に任命されてしまったので今度は「廃嫡にしろ!」と王様に訴える事になった。
もちろん王様はそんな事を受け入れない。
「廃嫡にしてくれ!」
「せん!」
「しろ!」
「しない!」
「父上を殺して俺も死ぬ!」
「やってみろ!」
不毛なやり取りに周囲は呆れた目で見ていた。
その時、1人の従者が王様に近付いき耳打ちをした。
「ほう、そうか。ここに通せ。ついでにモモとアナベルもここに連れてくるのだ。」
王様はニヤリと笑った。
その笑みにイヤな予感がするエリック。
「何のようですかー?」
「王様何用でございますか?」
退屈そうなモモと、ネコと手を繋いでいるアナベルが玉座の間に現れた。
するとバンッと扉が勢いよく開いた。
「こんにちわ~皆様!」
ピンクの髪と水色の瞳の美女が笑顔で現れた。
エリックは目を見開く。
「君は、まさか、ミリアか?」
最後に見た少女の姿から、妖艶な大人の美女へと変わっていた。
「アンタまさかエリック!?何その筋肉と髭!別人じゃない!・・・・・まぁ、その筋肉悪くないわね。」
どうやらミリアはエリックの筋肉が気に入ったらしい。
「なんでお前がここにいるんだよ!」
モモは実の母との再会とは思えない程怒っていた。
「出てけ!出てけよ!」
「せっかくの母親との再会なのに可愛くない子!別にアンタなんかいいわ。私は王太子妃になりに来たんだから!」
アナベルは目を見開く。
王様はアナベルをチラリと見るとミリアに笑顔を向けた。
「まさかそちらから来ていただけるなんて、迎えを寄越さずすまんかったな。なんせ貴殿のいる隣国に我が騎士を数人送るとなると手続きが面倒でな。」
「いえいえ、こうして愛すべき《《夫》》と再会できたんですもの、嬉しい事ですわ・・・エリック。」
「・・・・・。」
エリックは無言で眉をハの字にして困った顔しかできなかった。
ここにミリアがいたら面倒なことになると理解しているエリックだったが、人生をめちゃくちゃにしてしまった女性のもう1人であるミリアにも弱く、何も言えなかった。
「チッ!お前が出て行かないなら俺がでて行く!」
モモは怒りながら玉座の間から出て行った。
モモの後に続いてネコも出ていく。
「王様ぁ私を王太子妃にしてくださいませ。そこの無能な女よりもきっと役に立ちますわ。」
ミリアが王様を誘惑するかのように王様の耳元で話す。
無能と言われたアナベルは下を向くしかできなかった。
「その女は王太子2人を追い出した無能ではあるが仕事はできるのだ。だからは貴殿には側妃になってもらおうと思う。」
「父上!!!やめてください!」
「ああそうか、ホントは王太子妃にしたいと。」
「そんなことを言っていません!そもそも側妃とか王太子妃とか望んでいません!」
「お前は言っている事が変わっているだけで、わがままな性格は変わっとらんな。」
「俺の話を聞いてください!」
相変わらず王様はエリックの話を全く聞かず、エリックは頭を抱えて玉座の間を出て行った。
「はぁ、どうすればいいのやら・・・名ばかりでなく、本当に王太子にされてしまう。」
早く村に帰りたいエリックはもどかしさから頭をガシガシと掻きむしった。
「ねぇエリック。」
ミリアが現れた。エリックの顔が引き攣る。
「そんな冷たい事言わないでよ。あんたと私は夫婦みたいなもんだろ?」
「・・・・それで何のようだ。」
「ほら!王太子なら宝石とかあるだろ!それをプレゼントしておくれよぉ。」
ミリアはクネクネとおねだりする。
「俺は宝石なんて持ってない。」
「はぁ?あんた王太子なんだろ?なんでないのさ!」
「無理やり任命されたんだ!俺は名ばかりでただの平民と変わらない!宝石なら父上に言えばいい!」
「本当にあんたって使えないね!この役立たず!」
ミリアはエリックを罵ると踵を返して再び玉座の間に向かった。
「頭が痛い。」
エリックはタバコが吸いたくなった。
「エリック、さん・・・。」
顔を上げるとネコがいた。
「モモ、様子、変・・・わたし、話かけても、だめ。エリックさん。お父さん。話聞いて、くれる・・・かも?」
「父ではない。君が無理なら俺にも無理だと思うが・・・。」
ネコに片目にじーっと見つめられるとエリックは何も言えなかった。
「多分無理だと思うが、期待しないでくれよ。」
「うん・・・。」




