13.モモとネコ
「ネコどうだった!初めての風呂は?」
「うん。水、綺麗だった。」
「綺麗な水で驚いたよな!やっぱ城に来てよかったぜ!気持ち良かったか?」
「うん!ちょっと、寒かったけど、気持ち良かった!」
「は?寒い?」
「うん?綺麗なお水気持ち良かったよ?」
「お前、お湯に浸かったんじゃないの?」
「お湯?何?お水と違うの?」
「あいつ等!」
モモの脳内に浮かぶのはネコの世話を任された数人のメイド達。
モモはズンズン歩きながらネコの部屋に向かう。
廊下の角を曲がった時、ネコの部屋の前でキャハハと下品に笑う声が聞こえてモモはピタリと足を止めた。
「それにしても見たあの火傷跡?」
「見た見た!酷かったよね!」
「なんで王宮メイドの私達が平民のあんな子の世話をしなくちゃなんないのよ!」
「水風呂でも入ってろ!」
「わかるー!綺麗な水なだけ感謝してほしいよね!」
キャハハハハ!!!
その下品なメイド達の笑い声に、モモは怒りで拳を強く握りしめる。
「あいつ等!」
モモがメイド達に言ってやろうとした時、裾を掴まれる。
見るとネコが困ったような顔でモモを引き止めた。
「ダメ・・・モモ。」
「でもあいつ等!」
「ダメ。私は・・・大丈夫。慣れてる。」
「慣れるなよ!」
「ダメ。」
「俺王子になったんだ!あんな奴等追い出せるんだぞ!」
「ダメ。」
「ムカつかないのかよ!」
「私は・・・大丈夫。だから何も、しないで。」
「・・・・わかった。その代わり俺の部屋に住め!俺と一緒なら何かしてこようなんて思わないだろ!」
「うん。」
一旦はその場から去ったモモだったが、ネコをバカにしていたメイド達の顔をその目に焼き付けていた。
モモは部屋に戻ると、プレゼントの山を興味津々で見ているネコを見ながら考えていた。
「(ネコが辛い目にあうならスラムもここも変わりない・・・。)」
この国の王に孫だといわれたが本当の意味で王子になっていない。
「あの人に言っても、意味ないよなぁ・・・王太子妃なのになんか舐められてるし。」
アナベルが名ばかりの王太子妃であることはモモにも知られていた。
「仕方ないけど直接王様に相談するしかないか。」
ネコを敬うように、ネコをお姫様のように扱うように。
モモは王様に会いに行った。
「おお~来たか孫よ!」
王様はモモが来た事を喜んだ。
「お祖父様、相談があります。」
「おお!なんでもいいなさい!」
「僕の家族のネコを敬うように城中の皆んなに言ってください!」
「・・・・ネコってあの顔を半分隠した?」
「はい!」
王様は清々しい笑顔で笑った。
「そんな平民の醜い女よりも、お前にはもっと似合う相手がいっぱいおる!」
「は?」
モモは唖然とした。
「安心しろワシが素晴らしい婚約者を用意してやる!ワッハッハッハッ!」
「あ、ははは、そう、ですよね。」
モモは俯いた。
傍目には落ち込んでたように見えただろう。
実は王様に見えないように、王様を殺さんとばかりに激しく睨みつけていたのだった。
大切なネコを醜い女と言って、自分に別の女をあてさせようとしている王様。
モモの中ではお祖父様ではなく敵となった。
「(絶対に、許さねぇ。)」
モモにとってネコは誰よりも大切な女の子だから。




