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15年後、“悪役”二人の望まぬ再婚約  作者: 鈴木べにこ


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10.過去との対峙

 あれから三日後。



「養子を取ってください!」


「取らん!」


「取ってください!」


「取らんと言っておろう!」 


「取るんです!」


「何千何百言えばわかる!養子は取らない!」


「私より相応しい者がいます!養子を取ってください!」


「取らん!」


「取ってください!」



 三日間、養子を取る取らないの話をして一日中同じことの繰り返しだった。


 そして王様もエリックも頑固で一歩も譲らなかった。


 その様子をみている騎士やメイドは飽きて大きな欠伸をする。



「今日はもうよい!エリックを連れて行け!(誰に似てなんて頑固なんだ!)」


「まだ話は終わってません!」


「頭を冷やせ!誰かエリックの部屋に冷たい飲み物でも持って行け!」



 毎回話の途中で無理矢理部屋に連れていかれるエリック。


 部屋に着くと冷たいジュースが運ばれたが飲む気もしないので近くにいたフレディにあげた。


 フレディ大喜び。



「どうすれば説得できるんだ・・・・彼女にでも聞くか。苦手だが。」



 彼女とはアナベルの事である。


 馬車の中でのお小言や嫌味が相当堪えたらしいエリックはアナベルが苦手になっていた。


 メイドにアナベルの居る場所まで案内してもらい、アナベルの執務室にやってきた。


 

「王太子妃殿下、エリック様がお会いに参られました。」



「・・・・・・・・。」



 しばらくした後、ゆっくりドアが開いた。


 そこには大量の書類に囲まれ、髪は乱れ目の下にクマがある黒縁メガネの酷い姿のアナベルがそこにいた。


 アナベルの洗練された姿しか知らないエリックは驚きで声がでない。



「カリナお相手して差し上げて。」


「はい・・・。」



 アナベルはカリナという同じく酷い姿の侍女に指示を出すと再び書類に向き合った。



「なんのご用でしょうか?」

  


 カリナは黒縁メガネのズレを直しながらエリックを冷たく見つめる。



「王太子妃殿下と話がしたいのだが。」


「見てわかりませんか?」



 遠回しに忙しくて話す暇はないと言うカリナ。


 カリナの圧に負けたエリックはまた出直そうと考えた。



「また改めて出直します。」



 カリナとアナベルに背を向けた時。



「待ってください!」



 突如としてカリナが引き止めた。



「王太子になってください!」


「カリナ!余計な事言わないでちょうだい!」


「なんで王太子に戻らないんですか?誰もが羨む地位なのに!意地でも張ってるんですか?早く王太子に戻ってくださいよ!」


「カリナ!!止めなさい!!当たるならわたくしに当たりなさい!」


「っ・・・!だって!」



 カリナは目に涙を浮かべ悔しそうに唇を噛んだ。



「この人が王太子に戻らないから王様と王妃様が仕事を押し付けてくるじゃないですか。」



 カリナの一言でアナベルが今どんな目にあっているかエリックは理解した。



「エリック様、カリナが申し訳ありませんでした。あとでキツく言っておきますので。」


「いや、いい・・・気になっていたが、他に侍女はいないのか?」



 昔のアナベルは何人かの侍女を連れている姿を見た事があったが、この三日間の城での生活で見かけたアナベルには目の前の侍女を連れている姿しか見た事がなかった。


 カリナはキッとエリックをにらんだ。



「貴方の弟のせいじゃないですかッ!」


「カリナッ!!!」


「っ!」



 アナベルに怒鳴られカリナは泣きそうになる。



「アナベル様は良い方なのに・・・なんで・・・悔しい・・・っ!」

 

「カリナ何度も言わせないでお止めなさい!」


「止めません!レーゲン様が居なくなって、見つからないと分かった途端、侍女達がアナベル様の元を離れたじゃないですか!」



 アナベルのお付きだった侍女達は手のひらを返して冷たくなり、家の恥になるからと次々にアナベルの侍女を辞めていった。



「その上、王様と王妃様にまで・・・っ!」



 カリナはエリックに詰め寄る。



「貴方が王太子に戻れば全て丸く収まるんです!とっとと王太子に戻って!」


「カリナいい加減になさいっ!!どうやら貴女に仕事を押し付け過ぎてしまったようですね・・・一旦家に帰って休みなさい。1週間は来なくてよいです。」


「1週間!!?そんなに休んだら殿下が死んでしまいます!」


「わたくしの心配など無用です!これは命令です!今直ぐ家に帰って休みなさい!」


「はい・・・殿下。」



 カリナは少量の荷物を持つと、最後にエリックを睨み付けて部屋から出ていった。


 部屋が静かになりアナベルとエリックの2人だけになった。


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