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15年後、“悪役”二人の望まぬ再婚約  作者: 鈴木べにこ


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9.善悪はどこへ

 門を潜り城内へ入ると大きな扉がある。


 その扉の前には城の従者や騎士などが噂を聞きつけてたくさん集まっていた。


 皆んな現在のエリックの姿を一目見ようと押し合っていた。


 そしてエリックが馬車から降りるとあたりは静まり返る。



「あの人がまさか、あの?」



 城に飾られている絵から16歳の美少年の時の姿を皆が知っていたので、将来は線の細い美しい男性に成長していであろうと期待していたのに。


 実際に目の前にいるのは髭もじゃのマッチョおじさん。


 真逆の成長である。


 意外な成長に全員がガッカリしていた。



「エリックー!エリックー!」



 その声で集団が綺麗に二つに分かれ。

 その間を走って現れたのはこの国の王様であるアントニオ陛下と王妃のマリア妃殿下の2人。


 2人は震えながらエリックに近付く。



「もしやエリックなのか?」


「貴方がわたくしの息子であるエリックなの?」



 エリックは15年ぶりに父と母を見つめた。



「はい。エリックです。お久しぶりです。」



 その瞬間、エリックは王と王妃に強く抱きしめられた。



「エリック!わたくしの可愛い息子のエリックだわっ!目元が陛下の若い頃にそっくりですもの!こんなに立派に育って!」


「あのエリックがこんなに逞ましい男になるなんて想像してなかったぞ!ワシは嬉しい!ワッハッハッハッ!」



 両親の熱烈な歓迎にエリックは困惑した。


 何故なら15年前に最後に言われた言葉が罵倒だったからだ。



『婚約者を大事にしない男など王太子に相応しくない!我が儘に育った貴様なんぞ平民にでもなって苦しむがいい!二度とその面をワシの前に出すな!』


『貴方の為に努力したアナベルを裏切るなんて人として最低よ!貴方なんて産むんじゃなかった!貴方を立派に育てられなかった自分が恥ずかしい!』




 当時は愛すべき両親からの言葉に酷く傷付いていたが、エルカーデの町に住む様になってからは徐々に自分がどれ程の事をしたのか自覚をしたし、『産むんじゃなかった!』と言われても仕方ないとすら思えた。


 必要とされて王太子戻るように城に呼ばれたが、あの最後の両親の言葉からしてここまで熱烈なお出迎えをされると思わなかったエリックは両親にされるがまま抱きしめられていた。

 


「なんだ、お前はまだ居たのか。不快だ。

用がないなら早くどっかに行け。お前が居ては場がしらける。」



 王様がアナベルに目を向けると手をヒラヒラさせてどっか行けとジェスチャーした。

  


「かしこまりました。」



アナベルは静かに目を伏せその場から去って行く。


 エリックはアナベルに冷たい父の言動にショックを受けた。


 何故なら15年前は王様はアナベルに優しく、我儘なエリックよりもアナベルを大切にしていたかのようにも見えたからだ。



『エリック!何故アナベルに冷たく接する?お前を支える為に努力をする彼女を蔑ろにするなどお前は最低だぞ!』



 あの頃の父は人として至極真っ当な事を言っていた。



「エリック、憎いアナベルとの長旅は不快で疲れたでしょう?さぁ、早く城の中にでも入って湯浴みでもして疲れを癒して。わたくしも久しぶりにアナベルを見たから気分が悪いわ。」


「・・・・・・。」



 王妃の言葉にも驚き固まるエリックは、流されるままに王妃に手を引かれて城へと入っていった。



「(父と母から嫌われていると聞いていたが実際に見るまで信じられなかった。こんなに分かりやすく彼女に対して敵意を抱いてるなんて。)」



 自分とアナベルの過去との対応の違いにエリックは気分が悪くなってきた。

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