8.出発の時!拗らせ三角関係!?
薪を届けた後、ララとお上さんの家にエリックは寄った。
「つまりエリックは王子様に戻らないしここに帰ってくるのね?」
「ああ、そうだ。」
「よかったぁ~・・・・・。」
安心したララはその場にへたり込んだ。
「本当に帰ってこれるのかい?」
お上さんは心配そうにエリックを見つめる。
「こんな所まで大所帯でやってきたんだ。エリックをそう簡単には帰さないと私は思うよ。」
「どんなに時間がかかっても陛下を説得してみるさ・・・もし長くなるようなら手紙を出すよ。」
「絶対に安全に帰ってきておくれ。」
お上さん・ララ・エリックで3人で強く抱きしめ合った。
その姿は愛し合う家族そのものだった。
出発の日当日。
エリックは町外れにある墓地にいた。
「親方・・・必ず帰ってきます。過去にけりをつけてきます。あの世で見守っていてください。」
去年亡くなった父のように慕っていた親方のお墓にエリックは摘んだ花を供えた。
「いってきます。」
こうしてあいさつをすると、アナベルと騎士団が待つ町の入り口へと向かった。
「エリック様のお荷物はそれだけですの?」
エリックの荷物は遠出するには小さい袋一つだけだったのでアナベルの視線が袋に目がいく。
「そうだ。」
「そうなのですね。」
そしてエリックがアナベルと同じ馬車に乗ろうとした時。
「エリック!」
息を切らしたララが現れた。
「見送りはいらないと言っただろ。」
「違うわよ!ほら右手出して!」
ララに言われるままエリックは右手を出した。
「はいミサンガ!一時でも私達の事忘れたら許さないんだからっ!」
エリックの右手首には赤い糸で紡がれたミサンガが巻かれていた。
「エリックちょっと屈んで!」
ララに言われるがままエリックは少し屈んだ。
チュッ!というリップ音が鳴った。
「なっ!!?ララお前!?」
「へへーんだ!」
エリックはララにキスをされた。
2人の様子を見ていたアナベルも騎士団も驚きで固まっている。
そしてララは馬車の中のアナベルにしてやったりの顔をした。
最初は目をぱちくりさせていたアナベルだったが徐々に不快そうな顔に変わっていく。
「唾つけといたの!エリックが誰かさんに取られないように!」
「バカな事を言うな!・・・はぁ、この話しの続きは帰ってきてからな。」
「はいはーい!お母さんと待ってるね!」
こうして波乱の出発で馬車は走り出した。




