7-3.
「もしよければ我々にも殿下の仕事の手伝いをさせて頂きたいです!」
「エリック様我々にご命令ください!」
しつこい騎士達に堪忍袋の尾が切れるエリック。
「結構だと言っているだろ!」
その姿はまるでおっかない頑固親父が怒る姿そのもの。
「先程言った通り俺に殿下と様をつけるのは止めてくれ!俺はそのような身分の人間ではない!」
エリックの言葉に騎士4人は顔を見合わせ、4人の中で一番家柄の高い伯爵家の三男坊のフレディ・マーグス(23)がおちょくるかのような態度でエリックに接してきた。
「それ、本気で言ってます?」
「なんだと?」
エリックはさらに眉間の皺を深くして険しい顔になるが、フレディはそれを気にしないとでも言うかのようにひょうひょうとしている。
「エリック様は確かに平民の立場にいますが、ここにいる誰もエリック様をそのんじゃそこらにいる平民だなんて思ってませんよ。正直王太子殿下にお戻りになると聞いてからエリック様は長年《《平民を体験》》していたと我々は思っています。」
「なんだとッ!」
エリックの握っている斧にギュッと力が入る。
フレディの言葉に怒っているエリックの印象は、筋肉質な髭もじゃの眼孔に威圧感のある頑固親父が斧を片手に今にも襲いかかりそうに怒っているという怖い印象を与えていた。
怒っているエリックにフレディ以外の3人の騎士は恐怖を感じ、すぐさまフレディの頭を掴むを下げさせ謝らせた。
「申し訳ありませんエリック様・・・いや、エリック殿!こいつ三男坊で甘やかされて育ったみたいで何でもかんでも口に出してしまうんですよ!」
「俺達から厳しく言っておきますんで許してやってください!」
「はぁ?お前達だって俺と同じ事モガァ!?」
フレディの口は塞がれ騎士達はエリックから遠く距離を取ると3人の騎士はフレディにお説教をし始めたのであった。
「はぁ・・・・・この調子なら町に降りたらどうなることやら。俺は王子に戻る気は無いと言っていても周りはそうは思わないのか・・・仕事がやり辛くなる。」
エリックの予感は的中した。
荷車に大量の薪を積んで町に降りてきたエリック。
町中の人は遠巻きにエリックを見つめヒソヒソと会話をしていた。
さらにエリックの後ろには4人の騎士が護衛かのように居たので、王太子に戻るという噂はほぼ真実かのように思われてしまった。
それを空気でひしひしと感じたエリックは片手で頭を抱える。
「エリック!!」
ララが息を切らせてエリックの前に現れた。
「エリック本当なの?王子様に戻るって!」
ララは必死の形相でエリックに詰め寄る。
「私イヤよ!絶対イヤ!エリックがいなくなるなんて!」
誰がどう見てもララがエリックを愛しているのが明白だった。
4人の騎士はエリックに恋人はいないと聞いていたが、この女性はエリックの恋人では?と顔を見合わせた。
「落ち着いてくれ!俺は王子なんぞに戻る気はサラサラない!」
「じゃあ後ろにいる騎士とこの町にいる王太子妃様はなんなのよ!」
まるで浮気を責める恋人のようだ。
詰め寄るララの勢いで上手く言葉が出てこないエリック。
「それはーー。」
「エリック様、その方も一緒に城にお連れしてもいいですわよ。」
アナベルが現れた。
ララはすぐ様エリックの後ろに隠れ背後からアナベルの姿を伺う。
「君は何を言っているんだ。」
「その方はエリック様が家族の様に思っているお方の1人なんでしょう?報告書には載っていませんでしたが、エリック様の恋人という事でよろしいでしょうか?」
「違う!」
エリックの背後にいるララがガーンとショックを受けた顔をしている。
「そうなのですか?もし想っている方や気になっている方がいらっしゃいましたらすぐにわたくしに相談してくださいね。」
「何故そうなる。」
アナベルはエリックに背を向けると宿に入って行った。
「何よあの女偉そうに!ムカつく!」
「コラ!実際に彼女は偉いんだ!口を慎め!」
エリックから注意されさらに騎士4人から睨まれたララは気まづそうに後ずさる。
「エリック後で家に来てね!詳しく教えなさいよ!」
「ああ、後で家に寄るよ。」
ララは元気よく手を振って走って行った。
「性格は悪そうですがエリック殿を愛しているは伝わってきました。本当に恋人じゃないんですか?」
「違う!妹の様なものだ!」
フレディの指摘に声を荒げるエリック。
「またまたぁ側妃として連れていけばいいじゃないですか~。」
「このガキっ!」
余計な事を言ったフレディにとうとう堪忍袋の緒が切れたエリックは強烈なゲンコツを喰らわせたのだった。




