7-2.
豪華な馬車と騎士団はエリックの山小屋から町に降りて来て、王太子妃と40名程の団体が町で1番高い宿に一週間程泊まるとの事で町は大騒ぎになった。
王太子妃と騎士団の美しく洗礼された姿に若い女性は黄色い声上げたり、大人達はこんな田舎に似つかわしくない一団に不安そうにヒソヒソと話し合っている町民と、たくさんの観光客が来たといくつかの店の店主は張り切っていたりと町民の反応はそれぞれだった。
その中でも一部の町民は顔色が悪かった。
その町民とは、エリックを虐げていた者達である。
エリックを虐げていた町民達はエリックが現在平民として真面目に生きていたとしても元王太子で誰よりも贅沢な生活をしていたという理由で嫉妬から15年経ってもエリックを虐げでいたのだ。
虐げていたエリックが王太子に戻るかもしれないと知ったその町民達は、エリックに復讐されるのではないかと顔を真っ青にして震えていて、15年前にこの町に来た当初のエリックを半殺しにした連中に至っては顔が真っ青通り越して真っ白になってガタガタと震えていた。
エリックを虐げていた町民の1人である中年の細身の男が近くにいた騎士の1人におずおずと話しかける。
「騎士様、騎士様、つかぬことを聞いてもよろしいでしょうか?」
「なんの様だ?」
「もしやエリックの野郎は、ちち違いましたっ!エ、エエ、エリックさんは王子様に戻るのですかねぇ?」
その町民の問いに騎士はなんと答えようかと数十秒考えた。
「(エリック殿下は平民にままでいるつもりだと話は聞いたが、王太子妃殿下と我々の目的はエリック殿下を王太子に戻るようにする事。結果的にそうなるのだからこの平民に話しても大丈夫だろう。)・・・そうだ。エリック殿下は王太子にお戻りになる。」
騎士は当人の意思を無視して悪気なく
目の前の平民にエリックが王太子になると勝手に話してしまった。
騎士の言葉にその平民は顔を真っ白にさせてガタガタ震えると、まるで何か恐ろしいものから逃れるように逃げて行った。
突如として逃げ出した平民に気にすることなく騎士は再び歩き出した。
この1、2時間後には一部の町の連中が大慌てで町から逃げしたのはまた別の話しである。
その頃エリックはというと、自分が住んでいる小屋よりも奥の森に行き木を切っていた。
木を切っているエリックを少し離れた場所から4人の騎士が見守っていた。
「気が散るのですが・・・貴方達も妃殿下のいる町に行ったらどうですか?」
「いえいえ、我々はエリック様の護衛ですので。そして我々に敬語は止めてください。」
「殿下に何かあっては我々が処罰されてしまいますからね!エリック殿下をお守りするのが我々の勤め!」
エリックは眉間に皺を寄せた。
「私に様と殿下は不要だから止めて欲しいのですが。安心してください自分は逃げません。見張りなどしなくても姫殿下との約束は守ります。」
「見張りという訳では・・・ハハハ。」
建前は護衛だが実際にはエリックが逃げ出さない為の見張りという事がエリックに見透かされている騎士4人は気まずそうに困り顔で笑う。
「殿下!敬語は止めてくださいよ!怒られてしまいます!妃殿下には敬語ではなかったのに何故我々には敬語なんですか!?」
騎士の問いにエリックは気まずそうに渋い顔をする。
「それは・・・・・なんとなく分かるでしょう?」
騎士4人は分からないという顔をする。
「俺が彼女・・・妃殿下にやった事を考えれば敬語を止めろという言葉くらい叶えるべきだと・・・だから、その、わかりますよね?」
「え?だからってなんで妃殿下に敬語を使わないで我々に敬語なるんですか?」
じーっと4人の騎士に見つめられたじろぐエリック。
「それは・・・・・う、うるさい!お前達なんて知らん!俺に構うな!」
アナベルが弱味となっている事が騎士達にはなかなか伝わらなかったようで、エリックは逆ギレしてプリプリ怒りながらと斧で木を切っていく。




