7.エリックを愛する者達
アナベルとエリックが再会を果たす少し前。
王家の紋章が入った豪華な馬車に40名程の高級な騎士服を纏った騎士の団体が現れた。
その団体が町の大通りを通って行く光景を町の住民はぽかんと見ていた。
住民の1人である女性は外で他の住民と共にその光景を眺めていたが、キッと豪華な馬車を睨みむと家の中に走って入って行った。
「お母さんどうしよう!あの馬車と騎士達はきっとエリックを迎えて来たんだわ!エリックが連れていかれちゃうっ!」
女性は泣きそうになりながら母親に訴えた。
「噂であってほしいと思ってはいたけれどね・・・王太子様が何年も行方不明で、各地で王太子妃様が血眼で夫を探していてなかなかこのまま見つからなかったらエリックを王太子に戻すかもなんて噂があったげど、戻す為に迎えに来たんだろうね。」
「そんなっ!私はイヤよ!エリックは私達の家族なんだもん!エリックはずっとここにいるの!」
「そうは言ってもね・・・ここにいるよりも育ったお城で贅沢な暮らしに戻った方がいいだろうし、ここにいて馬鹿な連中からの嫌がらせを受け続けるならお城に戻った方がエリックも幸せだろうね。」
「それはっ、そうだけど・・・!長年エリックを助けずにほっといた癖に今更何よ!腹が立つ!」
「あたしも同じ気持ちさ。」
女性の名前はララ。
ララの母親は棟梁の奥さんで皆んなからとお上さんと呼ばれている。
ララとお上さんは血は繋がってないが実の親子のように強い繋がりあり、2人ともエリックを家族のように想っていた。
ララはエリックがこの町に来て2年目に養子としてやってきた当時5歳の時、髭を生やす前のエリックに一目惚れをしてから20歳に至る現在までエリックを一途に愛していた。
ララのエリックに対する愛ある言動は誰がどうみても分かりやすいくらいにエリックを一途に愛していると丸わかりな程だった。
「自分達で捨てた癖に都合の良い時にエリックに頼るなんて最低よ…。」
おかみさんとララはこのまま変わらずエリックがいなくならないで欲しいと祈るしかなかった。
しばらくすると数人の男達が町の中心の噴水広場で大声で騒ぎだした。
「馬車と騎士達はエリックの家の前で止まった!」
「馬車に乗っていたのは王太子妃だ!エリックの家に入っていった!」
「エリックが王太子に戻るぞ!」
町の数人の男達はもしやと思い、エリックの小屋の方向に向かう馬車と騎士団の後を密かに追った。
そしたら案の定エリックの小屋の前で止まった。
その後、馬車から降りてエリックの小屋に入っていく王太子妃の姿は新聞を読んでいる人間なら知っている姿だったので、王太子妃が行方不明になったレーゲン王太子の代わりにエリックを直接王太子に戻しに来たのだと確信して男達は町中に聞こえるように叫んだ。
「エリックが王子に戻るぞーーー!!!」
ララは絶望する。
「そんな!やっぱり!エリック・・・。」
ララはショックでフラつきお上さんはララを励ますように支えた。




