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21本の聖剣の物語  作者: ジャスティン
第1期
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碧藍の救済1-3

雨の中で、少年が叫んだあの一言――。――回想。「俺が頼んだんだ!お前たち大人は、いつも俺たちを縛る!」「どれだけ頑張っても、満足しない!」「だから復讐してやる!大人にも、俺の痛みを味わわせてやる!」――あの言葉。ライトは息を呑む。「……そうか」チーランは静かに言った。「戦場では、感情に流されないこと」「冷静に聞けば、敵は必ず“情報”を漏らさず(もらさず)」「それは、後で武器になる」――場面は戻る。水泡は限界を迎え、疾影は拘束を引きちぎった。「ははは!あんなもので俺を止められるか!」ライトとチーランが立ちはだかる。「疾影!今度こそ止める!」そのとき―― 一人の女性が、ゆっくりと前へ歩み出た。「……アーカン」疾影が眉をひそめる。「誰だ、お前」「邪魔するなら……斬る」刃が振り上げられる。だが―― その瞬間。動きが、止まった。雨の中、少年の瞳が、わずかに揺れる。「……母さん」その声は、かすれていた。「アーカン……」女性は震える手を伸ばす。「どうして、こんなことに……」「もう、間違った道を進まないで」少年の瞳が揺れる。「母さん……俺……」「ごめんなさい」母は涙を流しながら言った。「お父さんが亡くなってから…… あなたを守ることばかり考えて……」「あなたに、私の願いを押しつけてしまった」「それが…… あなたを追い詰めていたなんて……」雨が二人を濡らす。「このまま続けたら、あなたと同じように、誰かが父を失う」「あるいは…… 母を失うかもしれない」「それを、あなたは望んでいるの?」少年は強く首を振る。「違う!そんなの……望んでない!」声が震える。「母さん……」母は一歩近づく。「私、変わる」「あなたに重荷を背負わせない」「これからは…… 一緒に考えて、一緒に乗り越えよう」「一人で抱えなくていい」少年の瞳に、涙が浮かぶ。「……本当に?」「本当に、変わってくれるの?」「アーカン…… 昔の優しくて、まっすぐなあなたに戻って」「他人のために。私のために。そして……あなた自身のために」少年の唇が震える。「……母さん、ごめん」涙が頬を伝う。「……俺、帰るよ」母は強く抱きしめようとした。だが―― 低く、冷たい声が響く。「……簡単に返すと思ったか?」少年の表情が歪む。「なに……?」「約束したはずだ!俺が戻りたいと言ったら、体を返すって!」疾影は嗤う。「約束?あれは口約束だ」「まさか、こんなに早く揺らぐとはな」「数言葉で心変わりか?ずいぶん単純だ」「思い出せ。あの女は、今までお前をどう扱ってきた?」少年の瞳が揺れる。「……違う!」「俺は帰る!体を返せ!」疾影の声が冷たくなる。「アーカン……」「私に逆らうのか?」「ならば――」雨が強く打ちつける。「覚悟しろ」「アーカン、母さん危ない!」疾影が一瞬で間合いを詰める。刃が振り下ろされる―― 「波浪イルカ(はろうイルカ)!」水が弾け、イルカの形を取った奔流が女性を押しのける。衝撃は空を裂き、地面に深い亀裂を刻んだ。「……っ!」女性は無事だった。チーランは息を吐く。「間に合った……」少年の口元が歪む。「どうして邪魔をする?」「なぜ母親を守る?」声は、もうアーカンのものではない。「アーカン……眠れ」「夢の中なら、苦しみはない」「……まずい!」ライトが叫ぶ。少年の瞳から、迷いが消える。完全に――疾影が支配した。「いいだろう」「今日で終わりだ」「お前が死ぬか、私が生きるか」チーランが横に並ぶ。「ライト、行くわよ」「ああ」ライトは柄を握る。「――抜剣!」緑の光が迸る。雨が強まり、空気が震える。ライトはまっすぐに構えた。「疾影――」「今度こそ、決着をつける」「……話し合いは終わりだ」「戦おう」「さあ、追いついてみろ!」疾影が嘲笑う。「逃がすか!」ライトが踏み込む。「ライト、後ろ!」「神龍召喚(しんりゅうしょうかん)!」緑の龍が空に現れ、疾影へと絡みつこうとする。「無駄だ!」疾影は限界まで加速する。ほとんど瞬間移動に近い速度。一瞬で背後へ回り込み―― 「終わりだ、緑の忍者!」重い拳がライトの背に叩き込まれる。「ぐっ……!」だがその瞬間。「……また雨か!?」降り注ぐ雨粒が、疾影の体に触れた途端―― 水の“手”へと変化する。「はは!またその手か!」「違うわ」チーランの声が低く響く。「――水神海嘯(すいじんかいしょう)」巨大な水壁が立ち上がり、周囲を包み込む。「お前は陸では速い」「でも――水面では?」疾影の足元が崩れる。「くっ……!」ライトが叫ぶ。「街は大丈夫なのか!?」「心配いらない!」チーランは集中を切らさない。「この水は、この区域だけを包む!」「―水浪流(すいろうりゅう)!」奔流が疾影を中央へ押し戻す。「今!」水が鎖へと変わり、疾影を拘束する。「ライト、援護!」ライトは剣を構え、疾影の動きを封じる。チーランは、少年の体へ向かって叫ぶ。「アーカン!」「これはあなたの身体よ!」「支配されるな!」「目を覚まして!」ライトも叫ぶ。「お前ならできる!」「自分の体を、取り戻せ!」――アーカンの内なる世界。そこは、闇だった。果てしなく、黒い空間。「……ここは……どこ?」足元も見えない。「どうして……何も見えないんだ……」闇の中に、映像が浮かぶ。いつも二位の成績表。俯く自分。母の失望した顔。(もっと頑張れば……)(もっと上に行ければ……)(認めてもらえると思ってたのに……)そのとき。闇を裂くように、鋭い“水の刃”のような声が差し込んだ。「……?」「アーカン、聞こえる?」「アーカン、起きて」その声は、揺らぎながらも確かに届く。「あなたならできる」「自分の身体を、取り戻せる」「お母さんが待ってる」「帰る場所がある」「だから……負けないで」闇の中で、アーカンの瞳が揺れる。「……母……さん……?」遠くから、温かい声が響く。「アーカン……」心臓が、強く脈打つ。「……俺……」闇に、ひびが入る。現実世界。拘束された身体が、わずかに震えた。「……っ」指先が、動く。意識が、戻りかけている。――戦場。水と風がぶつかり合い、光と影が交錯(こうさく)する。「――源力オーブ!」ライトが放つ。だが疾影は首をわずかに傾けるだけで回避。次の瞬間、背後へと瞬間移動のように回り込む。「遅い!」連続の蹴りがライトを襲う。「ぐっ……!」「まずい、鎖が!」水の拘束が弾け飛ぶ。「ははは!俺を縛れると思うな!」そのとき―― 「――水剣刺斬(すいけんしざん)!」チーランの身体が水へと溶け、疾影の周囲を高速で巡る。無数の水刃が突き刺さる。「ぐあっ!?誰だ、俺を刺すのは!」ライトが叫ぶ。「チーラン!アーカンの体は大丈夫なのか!」「大丈夫!」チーランの声は冷静だ。「これは“浄水の剣(じょうすいのけん)”の力」「悪しき源だけを断つ」「アーカンの身体は傷つけない!」水刃がさらに加速する。「もう十分暴れただろう!」「その体から出ていけ!」疾影の動きが鈍る。「くっ……!」だが、まだ消えない。「……先にあの緑を潰す」目が赤く光る。「それから、お前を始末してやる」空気が震え、疾影が再び加速する。「ライト、危ない!」疾影が目前に現れる。だが――ライトの呼吸は荒く、足は震えている。「……もう終わりだ、ライト」拳が振り上げられる。チーランが駆け出す。「やめ――!」だが一瞬で捕らえられ、建物へと投げ飛ばされる。瓦礫が崩れ、水の拘束が断たれる。ライトは、迫る拳を見つめる。(……ここまでか)拳が振り下ろされる―― その瞬間。止まった。空中で、拳が静止する。「……?」疾影の腕が震える。「な、なんだ……!」再び振り下ろそうとする。だが、動かない。まるで、内側から押さえ込まれているかのように。そのとき――かすかな声が響く。「……ライト兄ちゃん……」「俺だ……アーカンだ」「今だ……!」「俺が抑えてる……長くは持たない……!」「今のうちに……!」ライトの目が見開かれる。「アーカン……!」その瞬間。崩れた建物の残骸(ざんがい)から、無数の水鎖が飛び出す。「ライト、行け!」疾影が完全に拘束される。ライトは聖剣を握り直す。光が剣身を包む。「これで終わりだ」疾影を真っ直ぐ見据える。「――源力・真斬撃(げんりょく・しんざんげき)!!」一閃。緑の光が、雨を裂いた。光が弾けた。次の瞬間―― アーカンの身体が力なく崩れ落ちる。「……アーカン!」ライトが駆け寄る。その身体から、黒い風のような存在が抜け出した。疾影の本体――。「ははは……!」歪んだ声が響く。「今回は負けたかもしれない」「だがな…… また“負”を抱えた者を見つける」「次の宿主をな」「俺は、何度でも戻る」ライトが剣を構え直す。「……その機会はない」その瞬間。空間が歪む。闇が滲み出る。「ああああああっ!!」疾影元素が悲鳴を上げる。

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