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21本の聖剣の物語  作者: ジャスティン
第1期
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碧藍の救済1-4

黒い手のような影が、それを掴み――吸い込んでいく。「……ウーミエ!」ライトが叫ぶ。ウーミエは静かに降り立つ。「やあ、ライト」「最近はどうだい?」その声音(せいいん)は穏やかだが、底知れない。「……速度を吸収したな」「なぜだ!」ウーミエは微笑む。「世界を“創り直す”ためだ」「創り直す……?」「説明は今は不要だろう」「計画は、もう動き出している」「君たちでは止められない」闇が揺らぐ。「待て、ウーミエ!」ライトが踏み出す。だが―― ウーミエの姿は、霧のように消えた。雨だけが残る。チーランが低く呟く。「……封印されたはずよ」「どうして、ここに……?」「アーカン!」母親が駆け寄り、倒れた息子を抱き起こす。「大丈夫ですか!?息は……ありますか?」ライトが静かに答える。「心配いりません」「気を失っているだけです」「すぐに病院へ連れて行ってください」「……はい!」やがて救急車が到着する。担架に乗せられるアーカン。救急隊員が振り返る。「あなたたちも一緒に来ますか?」チーランが首を振る。「いえ、私たちは後処理があります」母親は深く頭を下げる。「息子を……助けてくれて、本当にありがとうございます」ライトは穏やかに言った。「彼は、あなたを愛しています」「でも…… あなたが追い詰めてしまった」「どうか、これからは」「ちゃんと向き合ってあげてください」母親の目に、涙が浮かぶ。「……はい」チーランが付け加える。「成績は、押し付けるものじゃありません」「子どもは“数字”じゃない」ライトも頷く。「プレッシャーをかけすぎないで」「彼は、もう十分頑張っている」「……分かりました」何度も頭を下げ、母親は救急車へ乗り込む。サイレンが鳴り、車は雨の街を走り去った。残されたのは、静まり返った街と―― 濡れた二人の忍者だけだった。「だから言っただろ、病院なんて大丈夫だって……!」ライトは抗議するが―― 次の瞬間。背中はぐるぐると包帯で巻かれ、まるで蜂の巣のような状態に。「痛っ、痛いって!」看護師が冷静に言う。「動かないでください」治療が終わり、アーカンの母は別の手続きをしに行った。その間に、チーランが近づく。包帯だらけのライトを見て―― ぷっ。「……何笑ってる」「笑ってないよ∼?」「絶対笑ってるだろ」「そんなことない」「今、肩震えてたぞ」「咳よ、咳」「明らかに笑いこらえてるだろ!」チーランは真顔を作る。「私たち忍者は、専門訓練を受けている」「どんなに面白くても、笑わない」一拍。「……我慢できれば、ね」「おい!」ライトが睨む(にらむ)。「……ありがとう、看護師さん」処置が終わる。チーランが肩を叩こうとして―― 「行こ――」「痛っ!!」「あ、ごめん」「怪我してるの忘れてた」「忘れるなよ!」二人は歩き出す。その途中。ライトが少し得意げに言う。「……なあ」「さっきの俺、どうだった?」「結構、カッコよかっただろ?」「ほんと、子どもみたい」チーランが呆れたように言う。「子どもって……俺もう18だぞ?」「ふーん」「さっきの戦いは?」「まあ……及第点(きゅうだいてん)ってところ?」「え、そこは“すごかった”って言うとこじゃないの?」チーランは何も言わず、前を歩く。「ちょっと!?無視はひどくないか!」しばらく沈黙が続いたあと、ライトが真面目な声で尋ねる。「なあ……ウーミエのこと、知ってるか?」チーランの歩みが少しだけ遅くなる。「……少しだけ」「師匠が前に話したことがある」「でも、いつも肝心な部分を濁すの」「まるで、触れてはいけない存在みたいに」ライトは眉をひそめる。「やっぱり、ただ者じゃないよな」チーランは小さく頷く。「たぶん……」「私の予想だけど」「彼は“虚無”そのもの」「虚無元素(きょむげんそ)の存在」雨上がりの空に、重い空気が残る。「……虚無、か」ライトは呟いた。戦いは終わったはずなのに―― 胸の奥には、まだ静かな不安が残っていた。――数日後。病院。白い天井を見つめながら、アーカンはゆっくりと目を開けた。「……母さん……?」視界に映ったのは、目を赤く腫らした母の顔。「アーカン……!」声が震える。「やっと……目を覚ましてくれた」「……会いたかった」少年はかすかに笑う。「俺も……」母は手を握る。「もう、無理はさせない」「約束する」「成績なんて…… 順位なんて……」「あなたの命より大切なものなんてない」涙が落ちる。「あなたが生まれた時、ただ元気に育ってくれればそれでいいって思ってたのに……」「いつの間にか、私があなたを追い詰めていた」「……ごめんね」アーカンは首を振る。「もう大丈夫だよ」「俺も……」「ちゃんと、話す」「逃げない」母は微笑みながら、涙を拭った。「一緒に、やり直そう」病室の窓から差し込む光は、以前より少しだけ、あたたかかった。

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