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21本の聖剣の物語  作者: ジャスティン
第2期
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裏切り者なのか1-3

一方、この異様な状況を影で見つめるウーミエたちも、転送された先であるこの街へと姿を現していた。「くそっ……どうしてわざわざ核雷(かくらい)に会わなきゃならないんだ」滅炎が不機嫌そうに吐き捨てる。「全てのエレメントがこの場所に集結しているからだ。全元素を統一するためには避けては通れん」ウーミエが冷徹に答えた。「はいはい、分かりましたよ。……で、そこの風のエレメントさんはどうなんです?」滅炎が皮肉交じりに、同行している風のエレメントさんーへと視線を向けた。「勘違いするな。私はお前たちと同行しているだけで、仲間になったつもりはない」風のエレメントーは、毅然とした態度で突き放すように答えた。「……ま、いいでしょう」一方、アーグアンは不気味な異空間へと拘束されていた。「くそっ……! 力が、エレメントの力が出ない……! 貴様ら、僕を拉致して何を企んでいる! なぜ力が使えないんだ!」焦燥に駆られるアーグアンの前に、闇の中から核雷(かくらい)が姿を現した。「それは私のエレメントの力によるものだ」「……何者だ、お前は」「私は核雷。私の能力は、あらゆる通信網や電線を切断し、全ての情報を我が耳へと集約する。そして――お前の雷(かみなり)のエレメントを無効化し、封じ込める力だ。……まあ、ここでおとなしく私と一緒に『最高の見世物』を楽しもうじゃないか」「……見世物だと? 何のことだ!」核雷は醜悪な笑みを浮かべ、残酷な計画を明かした。「仲間同士の殺し合いだよ。私は記憶の聖剣の力を利用し、あの六人の記憶を書き換えた。ライトを『力を得るために手段を選ばない裏切り者』に仕立て上げたのさ」「貴様……! そんなことをして、一体何の得がある!」「全ては聖剣をこの手に集めるためだ。全員を引きずり出し、私は世界の神となる。全ての聖剣を束ねた『奇跡の剣』を創り出し、私が王として君臨するのだ。……さあ、余計なお喋りは終わりだ。静かに特等席で観劇といこうじゃないか」現場の空気は極限まで張り詰めていた。ライトは必死に声を張り上げる。「みんな、聞いてくれ! 僕はさっきある男に会ったんだ。そいつが二本の聖剣を盗んだ真犯人に違いない!」しかし、帰ってきたのは冷酷な嘲笑だった。チーディが一歩前へ踏み出す。「ほう……その『犯人』とは、お前自身のことではないのか?」ライトは雷に打たれたように呆然とした。「何だって……?」「力を求めるあまり、悪魔に成り果てたか」ビンチェンが冷たく言い放つ。「ハァ!? 何を言ってるんだ、僕がなぜ聖剣を……!」「黙れ!」アーランが激昂して叫ぶ。「お前は僕の兄さんを殺したんだ。絶対に許さない、兄さんの仇を討ってやる!」

「僕が何をしたっていうんだ……」ライトの困惑は深まるばかりだ。アーガンもまた、静かな怒りを燃やす。「師匠を爆死させた凶手よ。これ以上、語る言葉はない」「待ってくれ、みんな誤解だ!」ライトは必死に弁明を続ける。「まだしらを切るつもりか? お前、さっき街へ行っただろう!」チーランが問い詰める。「それは……確かに街へは行ったよ。でも、街には何の異変もなかったんだ!」その時、ライトは自分が巧妙な罠に嵌められたことに気づいた。「待て、みんな! これは『調虎離山(ちょうこりざん)』の計だ! 僕たちの仲を裂こうとする真の黒幕がいるんだ!」「もういいわ!!!」チーランが泣き叫んだ。「ライト、あなたは私の愛する人を殺した……。これ以上、好き勝手にはさせない。あなたを捕らえ、裁きを受けさせる!」「待ってくれ、落ち着けって!」「皆の者、行くぞ。あいつから聖剣を回収するんだ!」「「「抜剣(ばっけん)!!」」」六人の仲間が同時に戦闘態勢に入る。かつての絆は見る影もなく、ライトを包囲する。「手加減はしないぞ、ライト。覚悟しろ!」ライトの表情からは、色が失われていった。目の前にいるのは、昨日まで共に笑い、共に修行に励んでいた家族同然の仲間たちだ。「……どうして。どうして信じてくれないんだ……!」「信じないんじゃない。私たちは、あなたの卑劣な一面をこの目で見てしまったのよ」チーランの言葉は、氷の刃よりも冷たくライトの胸を刺した。「……っ。チーディ、ビンチェン、メイジウ! 君たちは冷静なはずだろ!? 話せば分かるはずだ、お願いだ、理屈で考えてくれ!」ライトは縋るように仲間たちの名を呼んだ。しかし、帰ってきたのは絶望的な拒絶だった。「……すまない。今の君に、かける言葉はない」チーディは目を伏せ、沈黙した。「ごめんなさい、ライト……」メイジウは苦しげに顔を歪めながら、それでも武器を構える。「……ちっ、本当にやるしかないのかよ……!」やり場のない怒りと悲しみに突き動かされ、ライトはついに自身の聖剣を手に取った。「……抜剣(ばっけん)!!」「ほう、聖龍(せいりゅう)形態にはならないのか?」アーランが挑発するように言い放つ。「……なりたくないだけだ。君たちを、傷つけたくないんだよ!」「またそうやって、私たちの心配をするフリをして……! 吐き気がするわ!」チーランの叫びを合図に、六人の忍者が一斉にライトへと襲いかかった。囚われの雷鳴】神秘的な空間に拘束されたアーグアンは、目の前のモニターに映し出される惨劇に、狂ったように叫び声を上げた。「やめろ……!! やめてくれーー!! みんな、目を覚ませ! そいつはライトなんだぞ!!」アーグアンの拳は、力の入らない腕で虚しく床を叩く。画面の中では、ボロボロになりながらも反撃を拒むライトが、かつての仲間たちの刃にさらされている。「ハハハハ! 無駄だよ、アーグアン。どれだけ叫ぼうと、彼らにその声は届かない」核雷(かくらい)は、極上のワインでも味わうかのように、ライトの苦悶の表情を眺めながら言い放った。「私の『記憶の改竄』は完璧だ。彼らにとって、ライトは親の仇も同然。……安心しろ、もうすぐお前も、彼らと同じ『邪悪な側』へ連れて行ってやる。お前たちが築き上げた友情など、私の手にかかれば、一瞬で憎しみへと変わる安っぽい飾り物に過ぎないのさ」「……貴様……っ! 許さない……絶対に許さないぞ、核雷!!」「炎ノ爆破(! この一撃、かわせるかしら!」「クロス・源力斬!」二つの斬撃がぶつかり合い、激しい衝撃波が周囲を揺らす。ライトは何とかこの攻勢を凌いだが、背後にはすでに別の脅威が迫っていた。「水浪流(すいろうりゅう)れ!」死角から放たれた激流がライトを直撃し、抗う間もなく壁へと叩きつけられる。「……くっ、これ以上、手加減はしていられないのか……!」ライトは聖剣を握り直すが、いざ踏み込もうとすると、脳裏には仲間たちと笑い合い、苦楽を共にした日々が走馬灯のように駆け巡る。どうしても、刃を向けることができない。ライトは守勢に回るしかなかった。「源力・オーブ!」「無駄だ! 土ノ刺撃!」アーガンが地面から突き出させた巨大な岩の棘が、源力オーブを粉々に砕く。アーガンは容赦なく追撃の手を緩めない。「覚悟しろ、ライト! 土ノ斬撃(!!」「がああああああっ!!」重厚な一撃を正面から浴びたライトは、その場に崩れ落ち、激しく血を吐きながら重傷を負って倒れ込んだ。「氷雪針(ひょうせつしん)!」ビンチェンが放つ氷の追撃に対し、ライトは満身創痍の体を引きずって立ち上がり、転がるようにしてそれをかわした。しかし、休む間もなくアーランが襲いかかる。「風双撃(ふうそうげき)!」「があああっ!」風の刃がライトの体を切り裂く。アーランの怒りは頂点に達していた。「死ね! 風飓斬(ふうきょざん)・手裏剣モード(しゅりけんモード)!」超高速で回転する風の巨大手裏剣がライトに迫る。ライトは防戦一方のまま、必死に声を絞り出した。「…神龍召喚(しんりゅうしょうかん)……手裏剣を食い止めろ!」だが、その守りも長くは持たない。「無駄だ! 狂風爆斬(きょうふうばくざん)、双刀を見よ!」アーランの双剣がライトの聖剣と激しくぶつかり合い、火花が散る。拮抗する力の中で、ライトの瞳からは一筋の涙がこぼれ落ちた。「……どうして……どうして分かってくれないんだ……」「お前が裏切り者だからだ!!」その言葉は、ライトの心に残っていた最後の守りを無慈悲に突き刺し、粉々に砕いた。もはやライトに抗う気力は残っていない。アーランはメイジウを振り返り、命じた。「メイジウ、お前の番だ。トドメを刺せ!」「……ええ」メイジウは重い溜息をつき、静かに楽器を奏でる。「楽声舞台(がくせいぶたい)の人形たち……攻撃しなさい」無数の人形たちがライトに群がり、容赦ない打撃を加える。その衝撃に耐えきれず、ライトの変身はついに解け、光の粒子と共に消滅した。ライトは生身の姿で、絶望に染まった瞳をしたまま、冷たい地面へと倒れ伏した。

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