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21本の聖剣の物語  作者: ジャスティン
第1期
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第三章:碧藍の救済1-1

俺の名前はアーカン。父さんは、もういない。だから、ずっと母さんが一人で俺を育ててくれた。母さんがどれだけ大変か、分かっている。だから俺は―― 学校では誰よりも努力した。母さんに報いるために。母さんを喜ばせるために。授業は全部受けた。補習も、自習も、断らなかった。夜、家に帰っても自由な時間なんてない。ただ机に向かい、問題を解き続ける。それが“親孝行(おやこうこう)”だと信じていた。そして――ある日の試験。母さんは、初めて俺を厳しく叱った。「どうして二位なの?」その言葉が、胸に突き刺さる。「……ごめん。前の問題を計算ミスして……」「次は、絶対に一位を取るよ」そう答えたけれど―― その瞬間から、何かが、少しずつ歪み始めていた。そのときの俺は、こう思った。(きっと……努力が足りなかったんだ)だから決めた。次こそは、絶対に一位を取る。もっと勉強する。もっと問題を解く。もっと睡眠を削る。そして――二度目の試験。結果は。「……また二位?」母さんの声は、冷たかった。「いつまで続けるつもりなの?もういいわ」その一言が、胸を締めつけた。(どうして……)俺は、誰よりも頑張っているはずだった。休まず。遊ばず。笑う時間さえ削って。なのに―― 何も届かない。何も掴めない。悔しくて。情けなくて。だから、もっと頑張った。限界なんて、考えずに。机に向かい続けた。けれど―― 結果は、変わらない。何度やっても。何度挑んでも。ずっと、二位のままだった。「どうして、また二位なの?」その言葉が、何度も、何度も、頭の中で反響する。それから母さんは、ほとんど俺と話さなくなった。家にいても、まるで透明人間みたいだった。どこにも居場所がない。でも―― 誰にも言えなかった。友達にも。先生にも。言ったら、全部壊れてしまいそうで。次第に、母さんが怖くなった。「どうして、また二位なの?」「私に恥をかかせたいの?」「どうして、あなたは私の息子なの?」その言葉が、何度も胸を刺す。息が苦しくなる。心が、削れていく。もう―― 何も考えたくなかった。何も、感じたくなかった。ただ、全部から逃げたかった。ライトはチーランの部屋の前に立ち、そっと扉を叩いた。「……チーラン」「師匠は、確かに元素継承者のことを何も話してなかった。でも……俺は、誰よりもこの街を守りたいと思ってる」そう言い終え、振り返った瞬間―― 背後に師匠が立っていることに気づく。「……師匠?」師匠は静かに言った。「チーランは、ああいう性格だ。悪気はない。あまり気にするな」少し間を置き、続ける。「……ライト。幼い頃、一緒に遊んでいた子を覚えているか?」「……え?」「何も、思い出せないのか?」ライトは戸惑う。「……俺、小さい頃の友達って…… ジェンシャンだけだよ」「他には……覚えてない」その言葉に、師匠の表情がわずかに曇る。師匠は、自分がジェンシャンと初めて出会った日のことを思い出そうとする。だが―― 記憶が、曖昧だ。まるで、そこだけが霞んでいる(かすんでいる)。「……」「師匠?どうしたの?」ライトが心配そうに声をかける。師匠は小さく首を振った。「……いや。少し、考え事をしていただけだ」「そうか……」ライトは微笑む。「師匠も、あまり無理しないで。ちゃんと休んで、体を大事にしてよ」夜の静寂の中、それぞれの胸に、小さな違和感が残っていた。翌朝。チーランは欠伸(あくび)をしながら部屋から出てきた。「……ああ、昨日もっと早く寝ればよかった。眠い……」「起きたか、チーラン」師匠が穏やかに声をかける。「おはよう、師匠。あの子は?」「訓練中だ」「そう。ちょっと様子を見てくる」立ち去ろうとしたところで、師匠がふと尋ねる。「……昨日の夜、ライトの言葉を聞いたか?」「え? いつの話?」「九時過ぎだ」チーランは一瞬だけ目を泳がせた。「……あー、その時間?ゲームしてて、ヘッドホンしてたから聞こえなかった」「はは……」師匠はため息をつく。「帰ってきたばかりで、もう遊びか。アーグアンに影響されたな?」「ち、違いますよ!絶対そんなことないです!」「嘘が下手だな、お前は」「えっ、ちょっと!師匠、ひどい!」師匠は微笑む。「お前たちが小さい頃から見ている。分からないはずがないだろう」朝の光が差し込む道場で、チーランと師匠は笑いながら朝食を囲んだ。だが―― その空気の奥に、まだ語られていない何かが、静かに潜んでいた。

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