私の過去1-2
ウーミエが困惑したように声を上げた。「……何だと? 元素をお前の体内に植え付けてほしいというのか」「……いけないか?」謎の忍者が答える。「いや、可能だが……一体なぜだ」「ライトを倒したい。だが、彼の周りの仲間たちはあまりに強すぎる」ウーミエはさらに畳み掛ける。「なら、なぜ奴らの記憶を書き換えて仲間割れをさせない? お前の力なら容易いはずだ」「……『憶者』はそんな卑怯な真似はしない。僕は正々堂々と彼を打ち破りたいんだ」ウーミエは彼がそう答えることを予想していたようで、肩をすくめた。「やれやれ、仕方ないな。お前の元素を増幅させてやろう。……だが、あくまで一時的なものだぞ。これでお前の記憶を操る能力はさらなる高みへと至る。……我々の助けは必要か?」「……どちらでもいい」謎の忍者が冷淡に返す。「おそらく……これが、お前と会う最後になるかもしれないな」「……何だと?」ウーミエの問いに、忍者は短く「……何でもない」とだけ返した。ついに、この謎の忍者がその真の姿を現そうとしている。
道場では、アーランとライトが切磋琢磨し合っていた。「戦いはかっこよかったけど、僕だって負けないよ!」ライトの言葉に、アーランは瞬時に戦闘態勢へと入る。「ほう、なら試してみるか?」観戦していた仲間たちの間で会話が弾む。チーディが「ライトは勝てると思うか?」と水を向けると、アーガンとビンチェンが声を揃えて「無理だ」「ありえない」「不可能だ」と断言した。チーランもそれに続く。「ライトが勝つ確率はゼロね」「仕方ないさ。相手は剣術に一番ストイックなアーランなんだから」チーディが苦笑いすると、アーグアンが静かに口を開いた。「確かにそうだが……俺はアーランに負けてほしいと思ってる。対決に『最強』も『最弱』もないということを、あいつに学んでほしいんだ」予想通り、ライトが持ちこたえたのはわずか十秒だった。アーグアンが歩み寄り、ライトに声をかける。「よくやったよ、ライト」「はぁ……」ライトは力なく溜息をついた。アーグアンは明るく場を切り替える。「さあ、上がって飯にしようぜ!」皆で食卓を囲んでいると、メイジウが不意に訪ねてきた。「ハロー、皆!」「メイジウじゃない。仕事は終わったの?」チーランが尋ねると、彼女は笑顔で頷いた。「ええ、終わったわ」「なら一緒に食べていく?」「えへへ、皆がよければ!」食事中の雰囲気は最高だった。メイジウが「いただきまーす!」と箸を動かすと、アーランが不意に皿を差し出した。「ほらメイジウ、お前の好きな紅燒肉だぞ」「あ……ありがと」メイジウは顔を赤らめて受け取ったが、アーランは特に気にする様子もなく淡々としている。それを見たアーガンがアーグアンに耳打ちした。「……もしかして、これって……」「ストップ、それ以上は言うな」アーグアンが制するが、メイジウが慌てて割って入る。「私は何も言ってないわよ!」「俺も何も言ってないぞ」とアーガンがとぼける。そんな賑やかな中、チーディは浮かない顔をしているライトに気づいた。「ライト、どうしたんだ?」「……いや、最近ジェンシャンに全然会ってないなと思って」「ああ、あいつも忙しいんだろ」チーディが慰めると、ライトは自分に言い聞かせるように「そうだけどさ......この前、ウーミエと戦った時に突如巻き込まれた『あのエレメントが使えない異世界』の時も、あいつはいなかったし......最近どこで何してるんだろう」
メイジウが思わず箸を止めて身を乗り出した。
「ちょっとライト! ご飯中にあの『満員電車』の悪夢を思い出させないでよ! 私、本当に人に押し潰されて消えちゃうかと思ったんだから!」
「ははは! メイジウはあの時ずっと悲鳴上げてたもんなぁ。でもさ、あの『東京』って街の食い物は最高だったぞ! 新幹線の中で食べたやつとかさ!」とアーガンが笑う。
「こら、アーガン、食べながら喋るな! ......まあ、エレメントも使えない世界から無事に戻れて、あの『零』って少年とも友達になれたんだ。良しとしようぜ」とアーグアンが苦笑した。
ライトは自分に言い聞かせるように「......そうだな、ジェンシャンも無事ならいいんだけど」と答えた。突如として、全員の脳裏に一つの人影が浮かび上がった。それは、ある場所へと彼らを誘うかのような合図だった。「……皆も、今のを見たか?」アーグアンが神妙な面持ちで尋ねる。「ああ。例の忍者だ。どうやら俺たちに宣戦布告をするつもりのようだな」アーガンが答えると、チーランが言葉を継いだ。「でも、まずは彼の目的をはっきりさせるべきだわ。話し合いができれば、不必要な戦いや市民への被害は避けられるかもしれない」「その通りだ。行こう」全員が装備を整え、戸惑いと問いかけの気持ちを胸に抱いたまま、記憶の忍者が指定した場所へと向かった。




