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21本の聖剣の物語  作者: ジャスティン
第1期
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岩土と夢幻の侵蝕1-3

その時―― 「みんなー! 来たぞー!」ライトが勢いよく走ってきた。「ライト、危ない!」「何が――」次の瞬間。どさっ。ライトがその場に倒れ込む。「……はぁ。」チーディが額を押さえる。「ほんとにこいつは……」ビンチェンは周囲を見渡す。霧はゆっくりと濃くなっていく。「一旦撤退だ。これ以上ここにいれば全員眠る。」「目を覚まさせる方法はないのか?」チーディが焦る。「今のところは……ない。」冷たい霧が、街全体を包み込んでいた。――夢の中。「はぁ……もう食べられないって……」アーガンは満腹でお腹をさすった。その時、遠くに見覚えのある姿が見えた。「……あれ、ライト?」手を振る。「おーい、ライト!」だが、まるで声が届かない。ライトは幸せそうな顔で何かを食べ続けている。「どうだい、満足かい?」再び“楽園”の声が響く。「うん、めちゃくちゃ満足……でも、俺って何しに来たんだっけ?」「考えなくていい。食べ続ければいい。」「……まあ、いっか。」アーガンはまた料理に手を伸ばした。――どれくらい時間が経ったのか分からない。現実では、あの男が黒い霧を放ち続けている。夢の中で、さっきの酔っぱらいの男が笑っていた。「道端で寝たら神様に救われるなんてな…… 俺、ついてるよなぁ。」アーガンは箸を止める。「……ん?」胸の奥に、小さな違和感。「……ちょっと待て。」「何だい?」楽園が優しく囁く。「なんか……良すぎないか?」「幸せであることが悪いのかい?」「悪くはないけど…… これは……ちょっと都合よすぎるっていうか……」「それの何が問題だ?」アーガンはゆっくりと立ち上がる。「これ、まるで――夢みたいだ。」一瞬、空気が凍る。「……洗脳失敗、か。」「は?」次の瞬間、景色が歪んだ。豪華な料理も、笑顔の人々も、すべてが崩れ落ちる。

アーガンは真っ暗な空間に立っていた。「洗脳できなかった者は、ここから出られない。」「なんだと!?」アーガンは構える。「土!」……何も起きない。「力が……出ない?」低く、嘲る声が響く。「ここは私の主場。この空間では私が神だ。」黒い霧が渦を巻く。「好きなもので死ねるんだ。幸せだろう?」無数の料理が空から降り注ぐ。ドン、ドン、ドン――!!山のように積み上がり、アーガンを押し潰していく。「うわっ……!」食べ物の山がアーガンを完全に覆い尽くした。「さあ、そのまま眠れ。永遠に、お前の“夢”の中でな。」食べ物の山の下で、アーガンは歯を食いしばった。「俺は……絶対に負けない……!」「ほう? 意志だけは強いようだな。」楽園の声が、どこか楽しげに響く。その瞬間―― ドクン。胸の奥から、重く、確かな鼓動が響いた。「思い出した……」食べ物の山がわずかに揺れる。「俺は食べに来たんじゃない。ここは夢だ。俺は閉じ込められてるんだ!」ゴゴゴゴ……!アーガンの身体から、強い意志の力が溢れ出す。「夢を……壊す!!」「本当にいいのか?」楽園の声が囁く。景色が再び変わる。チーランが笑っている。ライトが楽しそうに食べている。みんな幸せそうだ。「見てみろ。お前の仲間はこんなにも幸せだ。」アーガンの視線が揺れる。「チーラン……ライト……」一瞬、心が揺らぐ。だが―― アーガンはゆっくりと目を閉じた。「……ごめん。」拳を握りしめる。「今は幸せに見えるかもしれない。でも、それは偽物だ。」目を開ける。強い光が宿る。「夢は―― 覚めるためにあるんだ。」その瞬間、ドンッ――!!地面が砕ける。食べ物の山が崩壊し、景色がひび割れていく。「なっ……!?」「俺は土の忍者、アーガンだ!!こんな偽物の楽園に、閉じ込められてたまるか!!」バキィィン――!!夢の空間に大きな亀裂が走った。外で様子を見張っていた二人の前に―― 「やあ、みんな。」突然、黒い気配とともに現れたのはウーミエだった。「ウーミエ!!」ビンチェンが構える。「ウーミエ……その名前、どこかで聞いたような……」ビンチェンが眉をひそめる。チーディが静かに答えた。「虚無の元素だ。だが、奴は他の元素も吸収している。今の彼は虚無だけじゃない。」「じゃあ……ヒレンも?」「おそらくな。」チーディが低く言う。「俺は一度やり合ったことがある。あいつは強い。」ウーミエは肩をすくめて笑った。

「おやおや。まるで僕が悪者みたいじゃないか。」黒い剣をゆっくりと掲げる。「僕は人類のために動いている。君たちが生き延びるための“新しい世界”を創るためにね。」視線が鋭くなる。「反面元素を集め、僕がすべて取り込み、消化する。それがどれだけ効率的か分かるかい?むしろ感謝されるべきだと思うが?」チーディが一歩前に出る。「ふざけるな。俺たちは俺たちのやり方で守る。」ウーミエは軽く笑う。「やれやれ。まだ“夢の元素”が目覚めきっていないというのに……」黒い気配が揺らぐ。「なら、少し準備運動といこうか。」空気が重くなる。ビンチェンが剣に手をかけた。「……行くぞ。」チーディもうなずく。「一緒に行くぞ。」二人同時に叫ぶ。「――抜剣!!」夢の中―― アーガンは拳を握りしめた。「みんなを連れて帰る。絶対に目を覚まさせる……!」強い決意を胸に、叫ぶ。「もし俺がみんなの幸せな夢を壊すことになるなら……ごめん。でも――夢は、覚めなきゃいけないんだ。」どこからともなく拍手が響く。「おお、いいこと言うねぇ。パチパチ。」嘲るような声。「チーラン! ライト! 目を覚ませ! これは夢だ!」だが二人は微動だにしない。そのとき、あの男がゆっくりとアーガンを見た。「夢だってことくらい分かってるさ。でもな……夢だからこそ、目覚めたくないんだ。」男の声は震えていた。「現実は残酷だ。俺は昼も夜も働いた。必死でな。その結果はどうだ?解雇 (かいこ)だ。」

拳を握りしめる。「幸せな家庭もあった。だが妻は他の男と逃げ、子どもも連れていかれた。」目が濁る。「俺がどれだけ苦しんできたか、お前に分かるか?ここでは俺は“神”になれるんだ!」次の瞬間、周囲に人々が現れる。「俺も現実なんて信じない!」「私も!」「ここにいたい!」全員がアーガンを取り囲む。「見ただろう?誰も出たくないんだ。お前ならどうする?」アーガンは歯を食いしばる。「……ごめん。それでも俺は壊す。」まっすぐに言い放つ。「悪者になってもいい。それでも俺は、この楽園を壊す。」空間が歪む。「……ほう。」景色が一瞬で切り替わる。「図星か? 焦ったか?」アーガンは睨み返す。「時間がないぞ。眠れば眠るほど、俺は“夢”を吸い取れる。やがて奴らは意識のない抜け殻になる。」「お前……!」アーガンが力を込めるが―― 「くっ……元素力が使えない!」嘲笑が響く。「ここは俺の夢だ。お前も奴らと同じ、ただの屍になる。」一瞬、アーガンの目が鋭く光る。「……夢、だよな?」空気が震える。「夢なら――」ゆっくりと手を掲げる。「俺は聖剣を呼べるはずだ。」「なに……!?」

アーガンが叫ぶ。「ははっ……反撃開始だ!!」「やめろ!」夢の声が怒鳴る。アーガンは一歩も引かない。「来い……土岩の亀、抜剣!」土の聖剣が手に現れる。次の瞬間―― アーガンは再びさっきの“楽園”に立っていた。だが、「……何もない?」美食も、笑顔も、楽園も消えている。どこかから狂った笑い声が響く。「ははははははははは……!愚かだなぁ。馬鹿だなぁ。ここは“俺の空間”だ。お前の動きはすべて制限できる。どうする? 忍者。」アーガンは剣を握りしめる。「岩刀爆裂斬(がんとうばくれつざん)!」大剣に変化した聖剣を振り下ろす。「な、なに!?」「ここがあんたの空間だって言うなら――」足を踏み込み、叫ぶ。「その空間ごと壊してやる!」「土ノ斬撃(つちのざんげき)!!」地面が裂ける。空間がひび割れる。「やめろ!! 何をしている!!」夢刻(むこく)の声が悲鳴に変わる。だがアーガンは止まらない。何度も、何度も斬り裂く。「うおおおおおお!!」空間が崩壊していく。「やめろぉぉぉぉ!!」そして―― パリン、と音を立てて夢が砕けた。光が差し込む。全員が目を覚ました。チーランも、ライトも、街の人々も。そしてアーガンも、現実へと戻った。「俺、そんなに長く寝てたのか……?」アーガンが頭をかきながら言う。「そうだよ。アーガンのおかげだ。」ライトが起き上がる。「うん、本当にありがとう。助けてくれて。」チーランも微笑んだ。師匠もゆっくり歩いてきて、「よくやった。皆を救ってくれたな。」街の人々も次々と頭を下げる。「ありがとう!」 「命の恩人だ!」アーガンは少し戸惑う。(なんか……大げさじゃないか?)でも深くは考えなかった。「もう暗いしさ、みんな帰って夕飯にしようぜ!」全員がうなずく。帰り道、アーガンはふとあの失業していた男のことを思い出す。(あの人……どうなったんだろう。)

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