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21本の聖剣の物語  作者: ジャスティン
第1期
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22/76

紅蓮の激闘1-3

黒い剣がゆっくりと持ち上がる。「炎系忍者――覚えておこう」ウーミエの周囲に闇が広がる。「聂隠深淵(じょういんしんえん)。」空間が裂ける。チーディの足元が崩れ、暗黒の世界へと引きずり込まれた。「なっ……!?」チーディの意識が、強制的に引きずり込まれる。視界が反転し、砂漠は消えた。足元は黒い虚空。上も下も分からない、静寂だけの空間。「……ここは、どこだ」闇の中から声が響く。「ようこそ、火系忍者」ウーミエの姿が、ゆらりと現れる。「ここは俺の空間だ」チーディは聖剣を構える。「ふざけるな!」ウーミエは淡々と言う。「外へ出たければ、この空間を攻撃しろ」「……何?」「この空間を壊せば、脱出できる」チーディは即座に叫ぶ。「炎ノ噴射!!」灼熱の炎が虚空へ放たれる。しかし―― ウーミエは無傷。逆に、チーディの体が焼かれる。「ぐあっ!?」炎の熱が、そのままチーディへと返ってくる。「……嘘だろ」ウーミエは静かに笑う。「嘘ではない。出る方法は教えた」「この空間は“絶対”だ」チーディは歯を食いしばる。「炎ノ斬撃!」剣が闇を裂く。だが次の瞬間、激痛が走る。自分の斬撃が、自分の身体を傷つけた。「なんでだ……!」呼吸が荒くなる。「目的は何だ……!」ウーミエは沈黙したまま。

チーディは最後の力を振り絞る。「火炎斬!!」灼熱の噴泉が虚空を貫く。チーディは理解していた。この空間は――“自分を攻撃させ、自分で自分を傷つける”ための檻だと。それでも。それでも、諦めるわけにはいかなかった。(ウーミエの目的を……聞き出すまで……)だが、体力は限界に近づいている。攻撃するたびに、自分が焼かれる。焼ける痛み。肺が熱を吸い込むたび、視界が白くなる。(もう……力が……)膝が崩れ落ちる。炎を浴び続けた身体は限界だった。この空間は、使用者の消耗とともに維持が揺らぐ。つまり―― チーディが倒れれば、この空間も終わる。しかし、その前に。意識が薄れかけたその瞬間。脳裏に浮かぶ、幼い日の記憶。砂埃の舞う訓練場。幼い自分。厳しい声。「炎は怒りじゃない」「制御できない炎は、自分を焼くだけだ」汗を流し、何度も転んだあの日。「炎は“意志”だ」「自分を燃やすな。相手の道を焼き切れ」幼いチーディは何度も立ち上がった。倒れても、倒れても。(俺は……)拳を握る。(火だ)虚無の空間で、かすかな赤い火が灯る。揺れない、小さな炎。自分を焼かない炎。意志の炎(いしのほのお)。チーディはゆっくりと立ち上がった。

「師匠、ちょっと休憩してもいいですか?」

「まだ三十分だぞ。もう休みたいのか?」「毎日、昼も夜も練習してるんですよ。今日は少しくらい……のんびりしてもいいじゃないですか」師匠はため息をついた。「……分かった。だが遅くなるなよ」「ありがとうございます!」幼いチーディは嬉しそうに頭を下げた。――そして。まだ小さなチーランのもとへ駆け寄る。「妹、一緒に出かけないか?」「え? でも……師匠に怒られるよ」「もう許可はもらった。だから大丈夫だ」チーランは少し迷ったが、やがて笑顔になる。「……うん!」二人は森へと入っていった。木々の隙間から差し込む光。風の音。しかし、奥へ進むにつれ、不思議な空気が漂う。「兄さん……あれ」森の奥に、ぽっかりと口を開けた洞窟。「入ってみよう」「ええっ!? やめようよ」「大丈夫だ。俺がいる。離れるなよ」洞窟の中は真っ暗だった。一寸先(いっすんさき)も見えない。チーランがチーディの服をぎゅっと掴む。「怖い……」チーディは深呼吸し、手をかざす。「火。」小さな炎が灯る。暗闇が、ゆっくりと照らされていった。「兄さん……ちょっと怖い。帰ろうよ」「大丈夫だって。俺がいる」その時。地面に光る、うろこのような模様。「……蛇の鱗?」次の瞬間、洞窟の奥から低い唸り声。「蛇だ! 走れ、妹!」二人は慌てて洞窟を飛び出す。だが―― チーランが足を滑らせた。

「きゃっ!」転倒した瞬間、蛇が襲いかかる。「妹!!」噛みつき。チーランの小さな腕に牙が食い込む。チーディは咄嗟に(とっさに)炎を放つ。「火!」炎で蛇を追い払い、チーランを抱き上げる。「しっかりしろ! すぐ師匠のところへ戻る!」必死に走る。森を抜け、訓練場へ。師匠は状況を聞くとすぐにチーランを連れていった。治療が始まる。外で待つチーディは、落ち着かない様子で行き来する。「……俺のせいだ」拳を握りしめる。「俺が洞窟に入ろうなんて言わなければ……」時間が長く感じる。やがて師匠が外へ出てきた。「命に別状(べつじょう)はない。もう大丈夫だ」チーディはその場に崩れ落ちそうになる。「……本当に?」「だが、何があったのか話せ」チーディはすべてを正直に話した。隠さず、言い訳もせず。師匠は静かに言う。「チーランはまだ幼い。元素の力も完全に目覚めていない」「万が一が起きていたら、どうするつもりだった?」その言葉が、胸に突き刺さる。「……ごめんなさい、師匠」涙が溢れる。「……今回は無事だった。それで良い」だが。その会話は、部屋の中からチーランにも聞こえていた。



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