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21本の聖剣の物語  作者: ジャスティン
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緑色使命1-2

レストランにて。「なあ、ジェンシャン。今日はお前の奢り(おごり)だよな?」「はぁ? ライトだろ、奢るのは。大仕事をやり遂げたんだからさ」「……」ライトは無言で財布を取り出し、中を覗き込む。「……分かったよ。でも、次は絶対お前だからな」二人は店を出た。その背後から、元気な声が飛んでくる。「ライトお兄ちゃん!!」振り返ると、子どもたちが一斉に駆け寄ってきた。「一緒に遊う!!」ライトはジェンシャンの方を見て、苦笑する。「……仕方ないな。行こう、みんな。一緒に遊ぼう!」――道場。師匠は、ふと胸騒ぎを覚え、外へ飛び出した。空を見上げる。

黒雲が渦を巻き、街の上空を覆い始めていた。「……あり得ない……この感覚……」全身が震え、遠い記憶が呼び覚まされる。「……ライト!!」子どもたちと遊び、笑顔があふれていたそのとき―― 突如、遠くで爆発音が響いた。ライトは瞬時に顔を上げる。そこへ警官が駆け寄ってきた。「忍者……助けてください!」ライトはジェンシャンを振り返り、静かに頼んだ。「ジェンシャン、子どもたちを頼む」「……ライト!」呼び止められ、ライトは足を止める。真っ直ぐにジェンシャンを見つめて言った。「すぐ戻る」警官と話しながら歩く中、ライトは背後に視線を走らせた。誰かに見られている――そんな気配。だが、振り返った先には誰の姿もなかった。――先ほどの、あの水色の少女。ライトは一瞬だけ、その存在を思い出す。警官は息を切らしながら説明した。「……あなたが捕まえた強盗が脱獄しました。そして……仲間が全員、殺されたんです」「……なに? そんなはずはない。あいつは、ただの普通の人間だった」「私たちも信じられません。ですが……現場で起きたことは事実です」「今、その男は市の東部に出現しています」ライトは歯を食いしばった。「分かりました。俺が止めます」そう言うと、ライトは地面を蹴り、建物の壁を駆け上がる。屋上へと飛び移り、街の東へと走り出した。「待ってください、忍者! 無茶です!」警官の声が背後で響く。取り残された警官たちは顔を見合わせる。「……どうする?」「市民を避難させるんだ!」現場に到着したライトは、その光景を目にして息を呑んだ。「……怪物……?」「……あの強盗、何をしようとしているんだ……?」ライトは高所から跳び降り、男の前に立つ。その背後では、あの少女が静かに一部始終を見つめ、何かを決意したようにその場を離れていった。「……また会ったな」ライトが声をかける。だが、剛力は嗤った。「はは……まさか、お前がこの街の守護者だとはな」その言葉遣いに、ライトは違和感を覚える。かつての強盗は悪人ではあったが、まだ“人間”だった。だが、今、目の前に立つ存在は違う。破壊そのものを楽しんでいるように見えた。「……お前は誰だ!」剛力は、堂々と胸を張る。「察しがいいな。この体の持ち主ではない。俺は――剛力の元素。こいつの体に宿る存在だ」「……お前も、俺と同じ“元素の力”を持っているのか?」「力、だと? 違う」剛力は低く笑う。「俺は“元素”そのものだ」「……なに……?」「……元素が、意思を持つだと……?」次の瞬間、剛力は地を蹴り、ライトへ突進する。拳が振るわれ―― 「ぐっ……!」反応が間に合わず、ライトは直撃を受けて吹き飛ばされた。「……くそ、まさか不意打ちとは……!」「……ならば、こちらも遠慮はいらんな」突如、二体の狂戦士がライトへ襲いかかる。ライトは手裏剣を投げる。だが―― 弾かれたように、何の効果もない。「……効かない……?」現場へと、師匠が駆けつけた。「ライト!」「師匠……!」そこにジェンシャンも追いつく。「ジェンシャン……ライトが危ない」「え……どうして?」「この敵は……ライトには倒せない」「でも、ライトは忍者だろ?」「確かに忍者だ。だが……あいつはまだ、本当の意味で“剣”を使ったことがない。手裏剣ばかりで戦ってきたんだ」

「……じゃあ、ライトは……」師匠の声が震える。「……死ぬ」――その言葉が、胸に突き刺さる。ライトは心の中で呟いた。(俺は……まだ剣を使ったことがない。怖い……。でも、この街を守ると決めたんだ。……行くしかない)ライトは、ついに剣を抜いた。剛力は狂戦士たちに命じ、ライトへ向かわせる。ライトは跳び上がり、剣を振るい、二体を斬りつける。だが―― 刃は弾かれ、まるで手応えがない。逆に、狂戦士たちはライトの体を掴み上げた。「……っ!」剛力の拳が叩き込まれ、ライトは地面へと叩き落とされる。激痛に耐えながら、ライトは立ち上がった。そして、ついに源力げんりょくを解放する。衝撃波が放たれ、二体の狂戦士は遥か彼方へ吹き飛ばされた。ライトは素早く地面に落ちた剣を拾い上げ、源力を刃に纏わせ、剛力へと斬りかかる。剛力は足元の岩を掴み、投げつけた。ライトはそれを断ち切る。――その瞬間。剛力の姿が、背後へと消えた。「……っ!?」次の瞬間、背中に衝撃が走る。剛力の蹴りが、ライトを吹き飛ばした。そのとき―― ジェンシャンの傍らにいたはずの子どもが、消えていた。「……シャミン!」その声とともに、子どもが戦場へと飛び出してきた。「やめて!もう戦わないで!」剛力は、その姿を見下ろして嗤った。「……小僧。ここに来るべきではなかったな」合図と同時に、狂戦士の一体が子どもを掴み上げた。「うわあ……ライトお兄ちゃん、助けて……!」ライトは、ふらつく体を無理やり起こす。

「……放せ……!」剛力の拳が再び迫る。ライトはそれを紙一重でかわし、瞬時にワイヤーを放った。手すりと柱を利用して、二体の狂戦士を縛り上げる。「今だ……!」ライトは子どもを奪い返し、素早く安全な場所へと送り出した。その背後で、低い声が響く。「……やるじゃないか」剛力は、楽しげに口角を上げる。「命を守るためなら、身を投げ出すか。……なかなか、ライトは歯を食いしばり、傷に耐えながら言った。「……来い。決着をつける」そう叫び、源力げんりょくを放つ。ドン、ドン、ドン―― 爆発音とともに煙が立ち込める。だが、煙が晴れたとき、そこに立っていた剛力は、ほとんど傷を負っていなかった。「……そんな……!」「次は、俺の番だ」剛力は巨大な岩を持ち上げ、ライトへ投げつける。ライトは身を翻してかわし、すぐさま源力で反撃する。二人は激しくぶつかり合い、戦いは続いた。だが―― ライトは次第に押されていく。それでも、ほんの一瞬の隙を突き、ライトは剛力を地面へ叩き伏せた。「……今だ……!」とどめを刺そうとした、そのとき―― 「……源力!」放たれた源力は、途中で揺らぎ―― 「……なに……?」光は、まるで奇跡のように消え去った。信じられず立ち尽くす、その一瞬が命取りだった。剛力の拳が、容赦なく叩き込まれる。ライトは無防備のまま吹き飛ばされ、さらに襟元を掴まれ、乱暴に投げ捨てられた。「……っ!」地面に叩きつけられ、ライトは呻き声を上げる。剛力は、見下ろして嗤った。「どうした?止めるんじゃなかったのか?もう終わりか?」

「立て。まだ、戦えるだろ」「……今日、お前はここで終わる」そう言い、拳を振り下ろす。ライトは後方宙返りでそれをかわし、立ち上がる。再び源力を使おうとした、その瞬間―― 剛力は周囲の岩を一斉に投げつけた。回避する間もなく、ライトは追い詰められる。素早い動きでかわし続けるが―― 一つの岩が、体を強く打った。「……っ!」吹き飛ばされ、近くのビルの前に叩きつけられる。地面には、血が広がっていく。ライトは、もう立ち上がれなかった。「ライト!!」師匠の叫び声が響く。「……おい、ライト……目を覚ませ……!」「……ライトお兄ちゃん……」師匠は駆け寄ろうとした。だが――その前に、一人の影が立ちはだかった。「……マスター。久しぶりだね」「……お前は……」「ウーミエ……」「ふふ……ちゃんと名前を覚えてくれていたんだ。嬉しいよ。でも――」ウーミエは、楽しげに微笑む。「君たちには、この“舞台”を、最後までゆっくり観てもらわないといけないんだ」その瞬間、師匠の体は動かなくなった。まるで、空間そのものに縫い止められたかのように。師匠は、ただ―― 黙って、その光景を見つめるしかなかった。――その頃。巨大な岩が、空を切り裂き、ライトの方へと飛んでくる。だが、ライトは立ち上がれない。体が、まったく動かない。(……もう……無理だ……)意識が遠のく。(……ここまで……か……)抵抗する気力すら失い、ライトは運命を受け入れかけた――

――その瞬間。シュン―――― 師匠は、その光景を見て、息を呑む。「……あれは……彼女だ……!」一筋の水流が奔り、飛来していた岩を押し流した。ライトは、救ってくれた人物を見て、思わず息を呑む。「……え……?」目の前に立っていたのは―― あのとき、自分を追っていた謎の少女だった。淡い水色の忍装束。その姿から、ライトはすぐに気づく。(……この人も……元素の力を……)「……き、君……忍者なのか?」少女は、落ち着いた声で答えた。「今は、そんな話をしている場合じゃないでしょ」「……え?」ライトは状況についていけず、呆然とする。少女は視線を剛力へ向けたまま、続ける。「先に……敵を倒す。それから話せばいい」そう言うと、迷いなく駆け出した。「ちょ、待て……!」ライトも慌てて追いかける。「無茶だ!あいつは、そんな簡単な相手じゃない!確かに君も元素の力を持っているみたいだけど…… 相手の力は桁違いだ。女の子一人で勝てる相手じゃない!」「……女の子だから、何?」少女は鋭く言い返した。「私は、あなたとは違う」その瞬間、剛力が再び巨大な岩を二人へ投げつけた。少女は軽やかに身を翻し、難なく回避する。だが―― ライトは、すでに限界だった。傷と疲労が重なり、避けきれず、岩に叩きつけられる。「……っ!」少女は振り返り、叫んだ。「……あなたは先に行って。私が、あいつを引き止める」剛力は大きく笑い声を上げる。「はははははははは!逃げるつもりか?」

ライトは全身傷だらけのまま、必死に立ち上がる。その様子を、高みから見下ろしながら―― ウーミエは、愉しげに呟いた。「……あの子は、実に健気(けなげ)だね。自分の大切なものを守ろうとしている。だが……その相手が、完全に自分の力を超えていると知ったとき……」ウーミエは、微笑を深める。「そのとき、彼は―― 一体、どうするのだろうね?」ライトは、ふらつく体を必死に支えながら立ち上がり、少女をそっと押しのけた。そして、剛力を真っ直ぐに見据える。「……俺は、逃げない」「ここは……俺の家だ。俺が生まれ、育った場所だ」「確かに……俺は弱い。お前の力には、到底及ばないかもしれない」それでも、ライトは言葉を続ける。「……師匠は、俺に言った。『お前は、守る者であり……そして、新しい時代を切り開く者だ』って」「『争いのない世界』『喧騒のない世界』『平和だけの世界』――」「その言葉が……ずっと、俺の胸の中で響いている」ライトは、震える拳を見つめた。「……だから」顔を上げ、声を張る。「俺は、ここで倒れない!」「この街で響く子どもたちの声は…… 家族みたいに、あたたかいんだ」「だから……」「これが―― 俺が、守りたいものだ!!」――その刹那(せつな)。空を切り裂く轟音とともに、何かが、凄まじい速度でライトの前へと落下した。ドォン――!!地面が揺れ、砂煙が舞い上がる。視界は、灰色に覆い尽くされた。やがて―― 埃がゆっくりと晴れていく。そこに現れたのは、一基の石碑だった。そして、その中心には――刃のような柄を持つものが、突き刺さっている。誰もが、言葉を失った。「……師匠。あは……何なんですか?」ジェンシャンが、かすれた声で問う。師匠は、信じられないものを見るような表情で、呟いた。「……まさか…… 再び、この目で見ることになるとは……」「……あれは―― 聖剣の石碑(せいけんのせきひ)だ」「そして…… そこに刺さっているのは―― 聖剣……」師匠とジェンシャンは、思わず視線を逸らし、ウーミエの方を見た。ウーミエは、石碑を見つめたまま―― 驚愕とも、動揺ともつかぬ表情を浮かべていた。ライトは、柄に手をかけ、引き抜こうとした。だが――動かない。「……っ……!」それでも、諦めずに何度も挑む。まるで、聖剣そのものが彼を試しているかのようだった。その様子を見て、剛力が嘲笑う。「ははは……天ですら、お前を助けないらしいな」「……違う」ライトは、歯を食いしばる。「……分かった。この剣が、何を求めているのか……」「……なに?」ライトは、剣に手を添えたまま、源力げんりょくを注ぎ込んだ。「……出てこい!!」その瞬間―― 脳裏に、無数の光景が流れ込む。それは…… まだ見ぬ未来の断片。そして―― 剣が、ついに抜けた。同時に、石碑は光となって消え、その場には、一つの結晶体が残った。――源力核心(げんりょくかくしん)。それが、聖剣の本体だった。人々が息を呑む中、剛力は、大きく笑い声を上げる。「忍者よ…… 剣を持ち替えたところで、何が変わる?」ライトは、まっすぐに剛力を見据え、はっきりと言った。「……違う。今度こそ――結末は変わる」そう言うと、源力核心を柄の下部へと差し込み、自らの源力を注ぎ込む。次の瞬間―― 柄の先から、緑色の源力結晶が伸び、一本の剣となった。ライトは目を閉じ、叫ぶ。「――抜剣!!」光が弾ける。その瞬間、ライトの忍装束は姿を変え、全身を源力で構成された忍者装束へと変貌した。同時に、体中の傷が癒えていく。剛力は鼻で笑った。「姿が変わったところで、結果は同じだ」「行け」命じられ、二体の狂戦士が同時にライトへ襲いかかる。だが―― ライトは動じない。一気に踏み込み、二体の間をすり抜ける。「……これで終わりだ!」ライトは剣を振り抜く。――X源力斬(クロス•げんりょくざん)。緑の軌跡が、剛力を正面から捉えた。しかし―― 剛力の強靭な肉体が、その一撃を正面から受け止めた。「……効かない」ライトは歯を食いしばる。(……このままじゃ、勝てない……)そのとき、剛力は全力でライトの剣を叩きつけた。何度も、何度も―― だが、刃は砕けない。「……あり得ない……!この世に、俺が壊せないものなどないはずだ……!」ライトの剣は元素化しており、物理的な衝撃を受け付けていなかった。その一瞬の隙――ライトは踏み込む。「……今だ!」至近距離で放つ。――源力オーブ(げんりょくオーブ)。轟音とともに爆発が起こり、剛力の体が吹き飛ばされる。怒りに狂った剛力は、周囲の岩をすべて掴み上げ、一斉に投げつけた。「……っ!」回避が間に合わない―― ライトは叫ぶ。「神龍召喚(しんりゅうしょうかん)!!」空に現れた神龍が、口を開き、飛来する岩を次々と飲み込んでいく。そのまま、ライトは一気に距離を詰め、突きを放つ。だが―― その一撃だけでは、剛力は倒れなかった。剛力は嗤う。「……いい隙だ」「……そうか。近距離なら……俺の攻撃は、必ず通る」「……なに?」ライトは、剣を構え直し、叫ぶ。「――源力・真斬撃(げんりょく•しんざんげき)!!」緑の光が一直線に走る。直撃を受けた剛力は、地面へと倒れ伏した。同時に―― 剛力の元素は、宿主の体から引き剥がされる。憑依が解けた瞬間、強盗はその場に崩れ落ちた。狂戦士となっていた二人も、元の人間の姿へと戻っていった。


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