緑色使命1-3
剛力の元素は、幽霊のような姿となって漂いながら、低く笑った。「……俺を倒したところで、何になる?もう遅い……俺は“あいつ”の封印を解いた。洞窟から解き放ってやったんだ」「奴は……世界を滅ぼす力と、世界を“やり直す”力を持っている」「……俺の役目は失敗だ。長くは生きられない。奴に殺される……そして――お前たちも、いずれ同じ運命を辿る」「……言いたいことは、それだけか?」低い声が、上から降ってきた。次の瞬間―― ウーミウが地上へと降り立ち、漂っていた剛力の元素を、そのまま体内へと吸収した。「……っ!」剛力の気配は、完全に消え去った。ライトは剣を構え、ウーミエを見据える。「……お前は、誰だ」「……そして、何が目的だ?」ウーミエは、静かにライトを見下ろした。「……私は、ウーミエ。やがて来る未来の――創世者だ」「……なに……?」「そして……お前のことも、よく知っている」「……俺のことを?」ウーミエは、わずかに口元を歪める。「また、会うことになる」そう言い残すと、ウーミエの姿は、闇に溶けるように消え去った。やがて、ライトの源力形態の忍装束も光となって消え、元の忍装束へと戻る。そのとき―― 背後から、軽く肩を叩かれた。「……ライト」振り返ると、あの水色の少女が立っていた。「この数年で……ずいぶん強くなったね」「……え?」ライトは、言葉を失う。だが、次の瞬間。少女の姿も、風のように消えていた。そこにはもう―― 誰もいなかった。警察は、気を失った強盗を担架に乗せ、病院へと搬送していった。遅れて、ジェンシャンと師匠が駆け寄ってくる。「ライト!大丈夫か、怪我はないか!?」ライトは一瞬きょとんとしたあと、慌てて手を振った。「……あ、ああ。大丈夫だよ。全部……この剣のおかげで、助かったんだ」師匠が一歩前へ出て、静かに言った。「……それは、二十一の聖剣のうちの一本。そして――最も重要な剣だ」「え……?」ジェンシャンが思い出したように口を開く。「そういえば……俺も聞いたことがある。二十一の聖剣の中で、いちばん見つからないのが“源力”だって」「資料も記録も、すべて消されている。理由は分からないけど……」視線をライトへ向ける。「源力の元素を持っているのは……この街じゃ、お前だけだろ。ライト」「だから――」ジェンシャンは、はっきりと言った。「聖剣は、お前を選んだんだ」「……名前、付けるか?」「ううん。もともとの名前でいいよ。“源力剣”。ちょっと普通だけど」「そんなことないよ。ライトらしい、いい名前だと思う」師匠が言った。「もう遅い。道場に戻って、食事にしよう」「はーい!」「賛成!」三人は道場へ戻り、食卓を囲んだ。――だが。食事の途中、突然。ドン、ドン、ドン!扉が叩かれる音が響いた。ライトは立ち上がり、外へ出る。「……誰だ?」扉を開けると―― そこに立っていたのは、昼間、ライトを救ったあの少女だった。だが、今、目を引いたのは彼女ではない。その背後に―― 一頭のイルカが、静かに佇んでいた(たたずんでいた)。「……ええええっ!?」――場面は変わる。ウーミエは、解き放たれた直後の出来事を思い返していた。「……なぜ、俺を解放した……?」そう問いかけると、あの存在は答えた。「核雷の命令だ」「……何だと……。ここも、あいつの“目”の届く場所だったというのか……」しばしの沈黙の後、声は続けた。「それよりも、核雷が最も気にしているのは―― お前の聖剣だ。まだ、お前のもとにあるのか?」ウーミエは、空を見上げ、どこか虚ろな目で呟く。「……結局、何も変わっていない……」「……ああ。まだ、ここにある」「それでいい。核雷の望み通りに動けば―― お前は証明できる」「兄弟姉妹たち(きょうだいしまい)よりも、誰よりも“強い”存在だということをな」ウーミエは、静かに笑った。「……そうか。それなら――」「少し、面白くなってきたな」
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