第五話 『糸瀬優依』
第五話を投稿します!!よろしくお願いします!!ここから過去編です!!
残暑を感じる教室、
机の上には色とりどりの装飾用の紙や絵の具が散らばっていた。
今日は文化祭の準備でクラスの教室はまるで小さな工房のようになっていた。
いつもの泣き声がクラス内に鳴り響く。
「うえーーーん!!!智花!!昼ご飯……こぼしちゃったあ……!!」
見るとご飯が真っ逆さまになっていた。
「そんなことで泣かないの。私の卵焼き分けてあげるから。」
「そうだぞ?俺なんて昼飯どころか朝飯も忘れたぞ?」
陽一がおどけながら言うと、教室に笑い声が広がる。
「あんたは持ってきなさい。まったく昔から忘れっぽいんだから。」
「忙しい中、皆ありがとう。これで文化祭の準備はとりあえず終わりだ。忙しい人も居るだろうから各自解散してくれ!!」
クラスの委員長、高城総馬はにこやかに笑いながらそう言った。
「はぁ。少しは総馬の偉さを見習ったら?」
「そんなことないぞ、文月さん。陽一君は皆のために手伝いにも来てくれたよ。十分偉いさ。」
「えっへん。どうだ参ったか。」
「また調子に乗って……。」
生徒達が教室を跡にし始め、陽一は床に落ちた色紙を拾いながらふざけていた。
智花は少し呆れながらもその様子に微笑む、優依も楽しそうに笑っていた。
少しした後、総馬は最後に教室を一巡りしながら、机や装飾を確認した後、
「よし、後片付けも終わったし、これで本当に終わりだ。皆ありがとう。」
「何、あれ……。」
ぽつりと誰かが呟いた。
それをきっかけに窓の外へ視線を向ける生徒達。
いつもの景色。住宅街、コンビニ、通学路。それらが全て見えなくなっていた。
ない。ないのだ。まるで消しゴムで消したように、向こうの世界が一切見えなくなっている。
「工事とかじゃないよね……?」
「いやいや、あんな規模で?」
ざわつきが広がる。
「こういうときはニュースとか調べたら……。え?圏外?」
「落ち着け。状況はまだ分からない。だが、ここで出来ることから整理して動こう。」
総馬の一声で、ざわめきは少し収まった。
しかし、
「うわっ!!何だこの炎!!消えねえ!!」
「なんだ?火事か?」
「熱くねえ……?」
「え……?」
優依の手からも糸の様な物が飛び出している。
教室のあちこちで同じように奇妙な現象が起きていた。
「これは一体……?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
異常事態から数分後、生徒達は自分に目覚めた能力で盛り上がっていた。
「で、これつなげると……。」
(ねえ、聞こえる?)
「声が聞こえるの!」
「あっはっは!!何だその力!!俺の方がすげーぞ!!見てろ!!ふん!!」
どうだ!!と言いながら、教室の後ろにあった教科書がいっぱい入った数人分の金庫は彼の片手の力で持ち上げる陽一、だが次の瞬間、
「お、おっとっと、」
その瞬間途端にバランスを崩す陽一、
「ちょ、やめなさい!!」
智花がタイミング良く支えに入る。陽一はバランスを取り戻しどうにか金庫を元の場所に置くことが出来た。
「助かったぜ……。」
「あれ?智花、今外に行ってたよね?」
「私の能力『智』を使えば、陽一の身体の動き、教室内の物の質量分布、重心、障害物の位置、反応速度までリアルタイムで処理できるの。」
「高城君。今は何らかの災害が起きて学園外には出られないみたい。この能力覚醒、明らかに普通の状況じゃない。外の状況が分からない以上全員うかつな行動は避けるべきだわ」
「わかった。ありがとう。」
「まあ、智花は頭良いからな……。」
陽一はつぶやく。
智花は学年トップ、日本でも屈指の秀才。
身体能力の高い自分にはさらなる強さを、頭の良い智花には賢さを。
そのような雰囲気が漂っていた。
陽一の腹から、ぐぅ~と言う音が鳴り響く。
「お腹減ったなあ。購買でなんか売ってないかな……?」
「よし、食料を集めに行こう。今は災害時だ。いつ何があるか分からない。行くなら全員でだ。」
購買はいつものようにパンや、お菓子が並んでいた。
「一応お金は置いてった方が良いのかな?」
優依が不安そうに喋る。
「非常事態だ。とりあえず持ち出して後で払ったらいい。皆で手分けして三日分くらいは教室に運ぼう。」
「焼きそばパンあるかなー!!」
陽一が脳天気に話す。
皆で手分けしながら、購買の食料を安全かつ効率的に回収していった。
――その時だった。
「ちょっと、私達の分取らないでくれる?」
ピリッとした声が店内に響く。
「君たちは……。」
振り返ると、入口には数人の生徒が立っていた。
別棟の、普通科の生徒達だ。
普通科とは名ばかりの不良生徒の集まり。
その視線は、こちらが抱えている食料に向けられている。
「……そっちだけで全部持ってくつもり?」
空気が一気に張り詰める。
陽一は持っていた箱を軽く持ち直しながら、
「別に独り占めする気はねえけどよ――」
「落ち着いて。今ここで揉めても、全員損をするだけよ。食料は限られてる。なら分配ルールを決めた方が合理的ね。」
空気が張り詰める中――
「うるせぇな。」
ガンッ、と入口のドアが乱暴に開かれた。
現れたのは、一人の男。
周りの連中が、反射的に道を開ける。
「ずいぶん好き勝手やってくれてんじゃねえか。」
「別に独り占めしてるわけじゃねえだろ。」
陽一がむっとして答えた。
次の瞬間、近くにあったパンの箱を片手で掴み、
床に叩きつけた。
中のパンが散らばる。
「“わけじゃねえ”とか、どうでもいいんだよ。」
低く、圧のある声。
「ここにあるもんはな――」
ゆっくりと一歩、前に出る。
「全部、俺のだ。」
「……黒田武くんか。」
静かに、総馬が口を開いた。
「噂は聞いているよ。」
黒田の視線が、ゆっくりと総馬に向く。
「はっ……。」
鼻で笑う。
「“噂”でビビってくれんなら楽なんだけどな。」
一歩、距離を詰める。
「で?どうすんだよ。」
総馬は視線を逸らさない。
「ここで戦争するかい?この人数だ。騒ぎになったら――」
「君もただではすまないだろう。」
「あ……?人数なら同じだろ?」
黒田が一歩、踏み出す。その瞬間だった。
――重い。
空気が、落ちた。
肺に入るはずの息が、途中で止まる。
足が、床に縫い付けられたみたいに動かない。
「武さん……こいつ……やばい……」
取り巻きの一人が、喉を震わせる。
「身体が……動かねぇ……」
誰も動けない。
いや、“動くという選択肢そのもの”が奪われている。目の前にいるのは、ただの一人の生徒のはずだ。
それなのに――
まるで、巨大な城を前にしたかのような圧迫感。踏み込めば潰されると、本能が理解してしまう。
膝が、勝手に折れた。黒田の後ろで、何人かが崩れ落ちる。
ざわめきが広がることすら許されない。
声を出すことさえ、どこか“許可がいる”ような空気。
その中心で。
高城総馬だけが、静かに立っている。
ただそこにいるだけで、場の支配権は完全に塗り替わっていた。
「ここで戦う必要はない。無駄に傷つくのは誰も得しない。」
「はっ、面白えじゃねえか。今日は引く。だが、お前ら覚悟しとけよ?いつか潰す。」
「帰るぞ。」
不良達の王、黒田は去っていた。
総馬がホッと肩を落とす。
「ふぅ……。」
「まさかあいつらもいるなんて……。ナイスハッタリだぜ……。総馬。」
「怖かった……。」
「けが人はいないみたいね。とりあえず、早めに帰りましょう。」
「準備をしないとだな……。」
風が校庭を渡り、残った緊張を攫っていく。
その風は波乱を含んでいた。
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そのうち、日が暮れていく。
気づくと校舎は夜中になっていた。
「おいおい、夜になっちまったぞ、まだ出れないのか?」
「お家、帰れないの……?」
「大丈夫だから、ね?優依。」
その時
ごーん、ごーんと言う音がなる。
ガラガラガラ!!息も絶え絶えの男子生徒が駆け込んでくる。
「影が!!影が!!動き出して!!」
「大丈夫だ、こっちに来い!!」
男子生徒は総馬に庇われる。教室の端へと逃げる。
ひた、ひた。廊下の先からかすかな足音が響く。
誰も居ないはずの教室の外で影が揺れる。
低いうなり声が冷たい風と共に入り込んできた。
優依の肩が震える。
「……な、何?」
『出られる、出られる出られる出られる』
「皆固まれ!!奴が通り過ぎるまで静かにして耐えるんだ!!」
「優依。大丈夫。大丈夫……。」
大声で泣きそうになる優依をなだめる智花。
やがて影は去っていた。
「行った……のか?」
誰かが小さく呟く。
安堵が広がりかけたその時、
その男子生徒の背後には、黒い影。
その影は腹部を貫通していた。喉からは血を吐き出し、音もなく彼は倒れた。
「え……?」
優依の声が震える。
「うそでしょ……?そんなの……。」
何かを言おうとして口を開いたまま動かなくなった。
皆どうせ助かる、そう思っていた。しかし、現実は非情。
日常から一転、非日常へ。
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生徒の死。駆け込んできた生徒は普通科の生徒だったが、死を目の前にした時、私達の中で何かが変わった。あれから私達は全力を尽くした。生き残るために。
しかし、二日、三日、一週間と経つごとに分かる。
もう助けはやってこないのだと。
過ぎていく時間に比例して減っていく食料。
限界はもうすぐそこまで来ていた。
カンカンカンカンと階段を降りる音。
私達は再度食料を取りに購買の所まで来ていた。
「よし、警戒を怠るなよ。僕は『統』を使って意思の共有をする。陽一はすぐ動けるように、智花は全体の把握、他の皆は辺りを警戒してくれ。」
そこに一つの影。
「やあ、真白くんか、それに皆も。いつも大変だね。黒田くんの使いかい?」
「うん、まあそんなとこ。」
普通科生徒、桜真白。彼は微笑む。彼と一緒に居るのは十数人の“ひ弱“な生徒達。
「助けてあげたいのはやまやまなんだが……。」
一週間して分かったこと。それは“怪物“には”自らの教室に居る者は襲えない”というルール。
真白は普通科の生徒。匿おうにも殺されてしまう。どうすることも出来ない。
「大丈夫です。僕たちもどうにかやってるので」
「そうかい……?」
「では、食料分けていただきありがとうございます。」
彼は去って行った。
「アイツは良い奴なんだけどなあ……。」
見送りながら陽一は呟く。
木や鉄格子を集めて作ったバリケードで固めてある別棟への渡り廊下、その奥に
普通科の校舎はあった。
ガシャアアアアアアアン!!!!
今日も黒田の罵声と暴力の音が鳴り響く。
「おい、真白!!食料ノルマ満たしてねえじゃねえか!!」
「い、いや、だって購買も残り少ないし……。」
「口答えすんじゃねえ!!お前ら雑魚共は俺らに守られて生きてるんだから税金ちゃんと払えよ。それがいやなら向こうのクラスにでも行きゃあいい。まあ命の保証はしねえがな」
ははは、と笑う男。
「……。」
普通科の生徒の中でも強い能力を持つ者は黒田に優遇され、そうでないものは奴隷扱い。
とはいっても賢い者はさらに賢く、強い者はさらに強く、というふさわしいものが能力を得るこの世界では皮肉にも依然のカーストと大して変わらない。
普通科生徒、桜真白はその中でも雑魚中の雑魚。何も能力が使えない“無能力者”であった。
薄暗い教室。誰も声を出さない。
遠くから聞こえるけたたましい笑い声に、全員が肩をすくめていた。
連日のように暴力を受け傷だらけになる真白。他の人々もおなじようにひどい仕打ちを受けていた。
「……もう、無理だよ」
ぽつりと、誰かが呟く。それを皮切りに、空気が崩れた。
「こんなの……いつまで続くんだよ……」
「食料だって、もう……」
壁際に座り込んでいた女子生徒が、膝を抱えたまま震えている。
「私、もう……ここに居たくない……」
「でも、居なきゃ守ってもらえないだろ!?」
別の男子が、かすれた声で言う。
全員分かっている。
行けば殴られる。
逆らえばもっと酷い。
でも――
その時、ガラガラと扉が開く。
「よお」
黒田が立っていた。その後ろにはいつもの取り巻き。
「な、なんの要件かな?もう、今日の罰なら……。」
「違う。お前ら分かってるよな。食料が足りねえ。」
その一言で全員の背筋が凍る。
「購買ももう空だ。外はあの化け物だらけ。このまま全員で仲良く餓死するか?」
「……そんなの、嫌に決まってるだろ。」
「だよな。じゃあ簡単だ。」
「――減らすんだよ。」
戦慄が走る。
「ふざけるなよ!!そんなの人殺しじゃねえか!!」
男子生徒が立ち上がる。つかみかかろうとした瞬間
ドゴッ!!
身体が吹き飛び壁に叩き付けられる。
「うるせえな。」
黒田は男子生徒に近づくと、足を持ち上げ、諭すように喋る。
「これが一番マシなんだよ。」
黒田にひきづられる。歩いた先は化け物が蔓延る渡り廊下。
必死に暴れる男。だが無情にも、黒田の圧倒的力の前では木っ端の火だ。
「や、止めろ……!!」
「離せ!!頼む!!何でもするから……」
「悪いな。」
身体が放り出される。ぐしゃり。と言う音。
「次、行こうか。」
黒田は今までの高圧的な態度から一転、まるで屠殺場の哀れな家畜を見るように、悲しそうな眼をしている。
一人、また一人、そして最後に残ったのは、
「真白。お前が最後だ。」
真白は一歩踏み出す。
そのまま歩く。ゆっくりと、渡り廊下へ向かって。
ひた、ひたと言う音がする。
奥に“それ“が居るのが分かる。
「……これが一番マシなんだよな。」
一歩前に出る。
足下に黒い影がにじむ。じわり、と。
床を這うように広がる。
肩に食い込む。肉が裂ける音。骨に届く感触。
遅れて痛みが来る。
「……っ、あ……あああああああああ!!!」
叫びが遅れて漏れる。
逃げようとするがもう遅い。
影は離さない。食らいつく。
「いいぞいいぞ!!」
「ほら見ろよあれ!!」
背後から声。笑い声。朱くにじんだ視界に映ったのは
笑う黒田達。楽しそうに。まるで見世物でも見るかのように。
「……なんで」
「……何で笑ってるんだよ!!」
影がさらに肉をえぐる。血が溢れる。床に滴る。
痛い痛い痛い憎い憎い憎い痛い痛い痛い憎い憎い憎い痛い痛い痛い憎い憎い憎い痛い痛い痛い憎い憎い憎い痛い痛い痛い憎い憎い憎い痛い痛い痛い憎い憎い憎い痛い痛い痛い憎い憎い憎い痛い痛い痛い憎い憎い憎い
床に倒れ込む。
そこには血だまり。死んだ生徒達の肉塊が溜まっていた。
穢れたそれが口に入り込む。
鉄の味。生臭さ。吐き気。
どくん。
その瞬間、何かが脈打つ。
全身に熱が走る。痛みが消えていく。
憎しみが身体を超越していく。塗りつぶされていく。
影が止まる。
いや、消し飛んだのか。
「嘘だろ……?」
振り返る。黒田達を見る。予想外の出来事に驚く顔。
その顔に浮かんでいるのは――予想外。ただそれだけだった。
「……これが一番マシなんだよな。」
黒田の言葉をなぞる。ゆっくりと。かみしめるように。
「なら……」
「は、はは、こいつマジイカれてんじゃん!!やっぱこいつだけボコボコに……」
「え?」
その言葉は最後までは続かなかった。
ぶしゅっ。腹から血が噴き出す。数泊遅れて身体が崩れ落ちた。
真白のうでから、何かが伸びている。
紙、草、毛。本来なら何の力も持たないものたち。
幾重にも絡み、ねじれ、束ねられることで、一本の槍のように成っている。
まるで捨てられた者全てが形を持ったかのような怨嗟の槍。呪いの塊。
それが真っ直ぐに取り巻きの腹を貫いている。
「これが“俺たち“の答えだ。」
憎しみが牙をむいた。
「は……?」
黒田の声が遅れて落ちる。
真白は一歩踏み出す。滴る血。槍はまだ腕と一体化したままだ。
「なあ。見てたんだろ?笑ってたんだろ?」
視線が突き刺さる。
「く、来るな……。」「マジキモいんですけど……。」
その瞬間、
ズルルルルルルルルルルルル……。
別の場所から生える。
床、窓際。天井。至る所から生える怨嗟の槍。
「がっ……」
声にならない声。そのまま崩れ落ちる。
「なんだよ、それ……。」
黒田の声が歪む。
足下の影がざわめく。神のように薄く。草のようにしなやかに、毛のように絡みつく。
それらが重なり形を成す。
「簡単さ。弱い者を集めただけ。お前らが捨てたものだよ。」
「……ふざけんなよ。調子に乗ってんじゃねえ!!」
力をふりしぼる。身体が軋む。黒田の身体が膨れ上がる。
「死ねやあ!!!」
ドゴオオオオオオン!!!
拳が振り抜かれる。空気が爆ぜ、衝撃が教室を揺らす。
「は、ハハハ!!しっかり効いてんじゃねえか!!あんまり調子に……。」
煙の中。真白はそこに立っていた。
「そうか、食い足りないんだな」
真白の腕には無数の毛の束。それらが絡みつくのは男、女、死屍累々の叢。それらを……。
ゴキバキグシャグシャ!!!
一気に潰し、それを飲む。
「お、お前……」
最後の肉片がずるりと真白の中へ消えていった。
殺気まで響いていた悲鳴も、骨の砕ける音も何もかもが嘘みたいに消えている。
「な、なんなんだよお前……。」
「来るな!!来るな!!俺は、俺は悪くねえだろ!!」
見苦しい言い訳をする黒田。
「弱い奴が悪いんだ。この世界はそういうルールなんだよ!!」
「そうだな」
黒田の肩を槍がえぐり取る。
「ぎゃあ!!!」
「弱い奴は死ぬ。それだけだ。」
肉が少しずつ、細く、小さく削り取られていく。
「やめろ、やめろぉ!!!」
「できるだけ苦しんで死んで欲しいって皆が言ってるよ。」
「や、止めてくれ。食料ならたくさんある!!嘘ついてたんだ!!だから……。あ、そうだ!!金ならある!!助けてくれたら!!!」
「金が何の役に立つんだよ」
糸は何十、何百も絡みつき全身を捉えている。
「ぎゃあああああああああああ!!!!!」
そして次の日。
黒田の頭を蹴飛ばす。
「あーあ。もう息なくなっちゃった」
そこには眼球や皮膚、口内、至る所全身から針のように細い槍が突き出た黒田の姿があった。
見るも無惨な姿をしている。頭部は裂け紫色に変色し肥大する身体。真白に縫い止められ、かろうじて人の形を保っている状態だ。
「久々にお腹いっぱいだ。ははは。」
……悲劇は起こってしまった。教室にはもう人間はいない。
その日普通科は壊滅した。そしてその憎しみは本校舎の優依たちにやがて影を落とす。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
こうしてみると、優依めっちゃ空気だなぁ……。表現力。




