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第十七話 仲間を集めよう!!

十七話を投稿します!!よろしくお願いします!!

例の都市伝説騒ぎから一夜明けた。


「昨日、学校の裏山の洋館で行方不明者が誘拐されてたんだって」「怖ーい」「陽一が犯人倒したんだろ?お手柄じゃん」


ざわざわ……とした空気。

三人は軽い注目の的になっていた。

それを意に介せず、机に向かって歩く智花。


ドン!!と机に紙を叩き付ける。少し智花はご機嫌斜めだ。


「……まったく教員ってのは頭が固いわ。ウチらがやってるのはボランティアなのよ?昨日だって事件解決したし。部活申請くらい認めなさいよ!!」


「ど、どうしたの?」


「部員が足らないのよ。部活を始めるのは最低五人必要。私と陽一と優依。三人しか居ないじゃない」


「ぶ、部活って……ほんとにやるの……?」

「やるに決まってるでしょ。こんな面白そうなこと」

智花は即答だった。迷いが一切ない。


「名前は『特別活動ボランティア部』。通称『便利屋ユイ』って所ね」

「依頼を受けて、困りごとを解決する。シンプルでしょ?」

「シンプルだな」


うんうん。とうなずく陽一。


「ただ問題が一つあるのよねー」


「問題?」


「部活の立ち上げには最低五人必要。だからそれまでは非公認ということで形式上の活動は認めさせたわ」


「これ部活にする意味あんのか?」


「あるわよ。公認になれば活動資金が下りる。そしたら悩みを解決するためっていえば都市伝説の地に自腹を切ることなく赴けるでしょ?」


「ああー!!なるほど!!」


凄い発想だ。私には全く思いつかない。こういう人が社長とかになるのかも。


「部員が集まるまでは草の根活動ね。じゃあ仮部員三人、活動開始!!」


――――――――――――――――――――――――――――

ざわざわ、と騒がしい放課後の廊下。


即席テーブルの前には『便利屋ユイ』の立て看板。


「困りごと、何でも解決しまーす!!」

「雑用からトラブルまで幅広く対応してます!!」


ビラを渡そうとするも、さっと避けられてしまう。


「『便利屋ユイ』解散!!」

「いやいや、それは速いよ、智花ちゃん……」


受付の椅子にどしんと掛ける陽一。


「……まあ無理だよなぁ、普通に考えて。いきなり便利屋とか言われても怪しいだけだって」

「まあ、初日だしね。地道に実績作るしかないわね」


「実績って何すりゃいいんだよ……」


ガシャアアアン!!!

廊下の向こうから見える光景だった。

一人の生徒を複数の生徒でリンチしているようだった。


「何あれ……」

「ああ、あれは“普通科“の奴らだな」


「ウチの学校、建前上は“特進科”、“普通科“って分かれてるだろ?」


「あ、そういえば」


「でも実際は、素行、遅刻欠席とか問題行動とか、面倒な奴らを別の棟の普通科にまとめて押し込んでんの」


「要するに不良クラスって事ね」


「まあそういう認識でいい」


「で、あのいじめてるボス格が黒田武。おっかねーやつでよ、他校に火つけたとか、先生いじめて辞めさせたとか悪い噂が絶えねーの」


主犯格の大きな男をチラリと見る。

倒れた生徒を囲んで数人が蹴りを入れている。

周りの連中は止める様子もない。


「まあ、関わらないのが一番ね」

ああ。と陽一は視線をそらした。


優依の中の“久遠唯”が話しかける。

『あれはお前に任せるぞ。どうする?』

(そんなの決まってる。私は……)


優依の意志はすでに固く決まっていた。

一歩、踏み出す。


「お、おい!!糸瀬!?やめとけって」


動揺する陽一をよそにどんどん先に行く優依。


「オラッ!!マジで使えねえな……あ?」


「……やめて」


小さな声。


「おいおい!!何だこいつ?正義の気取りか?」

あひゃひゃひゃひゃと気色の悪い笑みを浮かべる不良生徒たち。


怖い。声が震える。自分のした行動が意味が分からなかった。

今までならこんなことしなかったのに。

涙が出そうなのをこらえ、巨大な男に立ち向かう。

黒田武。不良生徒達の王。

小柄な優依とその男と相対するその姿はさながら小動物と猛獣のようだ。


「死にてえのか?」

「……やめて、ください」

「そうか、じゃあ、死ね!!」

男の拳が飛ぶ。


その瞬間、

「どりゃ!!」


黒田の腹に陽一のドロップキックが決まる。


「陽一!?」

「見捨てるわけにはいかねーだろ!!」


不良の王だって人間だ。腹に蹴りを受ければ痛い。

ううう……と腹を押さえている。

しかしここで引いては面子が許さない。黒田の怒りは頂点に達する。


「調子に乗ってんじゃねえぞ!!」


猛獣の咆哮のように怒声を挙げる。その迫力には取り巻きをも震え上がらせる力があった。


「やべぇ……キレたなこりゃ……」


ひるむ陽一。

優依は選択を迫られる。

戦うか逃げるか。戦うにしてもどう戦う?

“久遠唯”の力をもってすれば、彼らは指の動き一つで倒せるだろう。


だが正面勝負は自分の高校生活を壊すことになる。

しかも喧嘩が強いだけならまだいいが、能力が発覚した日には何が起こるか分からない。


世界に追われ逃亡生活の毎日……。

私は路地裏で生活する自分を想像した。

そんな未来は嫌だ。


考えろ考えろ……自分が疑われずに倒す方法……。

その時、


「やめろ!!武!!」


その声に振り上げた拳をピタリと止めた。


「……チッ。総馬か」


高城総馬、私立A学園三年。

現生徒会長にして、うちのクラスの委員長。

学園の頂点に立つ男だ。


学年トップクラスの知性に全国レベルの運動能力。


何より異常なのは、その“人を従わせる力”だった。

総馬が歩けば道が開く。総馬が言えば皆が従う。

圧倒的カリスマ。


まるでドラマから出てきたような男だった。


「また騒ぎか、武」


「うるせえな。生徒会サマは関係ねえだろ。」


「君たちのことはすでに報告させて貰った。」


「ここでウチの生徒に暴力まで振るえば停学、いや退学まであるかもしれん」


「少しは頭を使ったらどうだ」


「……テメェらには関係ねえ。場所移すぞ」


その言葉に従うように集団が踵を返していく。

黒田の声に引き上げる不良たち。


足音が少しずつ遠ざかっていく。それに従い空間に溢れていた緊張も少しづつほどけていく。


助かった……?


高城総馬はこちらを振り向く。


「君たち、ウチのクラスの生徒だよな」


凜々しい表情をしている。

これが自分の学園の頂点。いつもなら絶対に話しかけたり出来ない位置にいる男。


「ありがとう……高城総馬君……」


優依は感謝の意を伝える。


次の瞬間、その男が頭を下げた。


「武、……黒田武の件は本当にすまない!!」


「……なんで会長が頭を下げる必要があるんですか!?」


「彼は、僕の昔の親友なんだ」


「……え?」


生徒会長と不良のリーダーが親友?

想像が付かない。


「高校を上がるとき、ああなってしまったんだ。なぜあんな暴力的な男になってしまったのか、僕にも分からないし、彼に向き合う時は怖い。だから」


「糸瀬優依くん。僕は君に感心した」


「大抵の生徒があれには目を背ける。教師すら見て見ぬふりだ」


「なのに君は堂々と前に出た」


「そ、そんなこと……」


唯は目をそらす。実際は全員倒せるだけの力があったから動けただけだ。

逆にそれを持ってしても動けなかった自分を恥じなければいけない。


「『便利屋ユイ』だったか?礼をしたい。手伝いとかならわずかながら僕も協力しよう」


それから、

ボランティア活動にも参加してくれる総馬。

この数日、総馬の協力を得たことで活動の注目はさらに広まっていった。


一行はプール清掃や雑草抜き、果ては範囲を広げて校外のボランティア活動と広くこなしていった。


公園にて。


「ありがとうございます。ご神木様も喜んでいると思います」


「おう!!爺さんまたな!!」


元気よく声を掛ける陽一に去って行く大人達。

一行は帰路につく。


「地域の皆さんに手伝って貰って大規模な清掃が出来た。君たちのおかげでウチの高校も印象が良くなっていくよ。ありがたい」


「いやいや、高城くんの活躍無くしてこの成果は挙げられないわ。私にここまでの行動力はないもの」


「ああ!!この調子なら正規の部活になるのも時間の問題だな!!」

「うん!!」


その時陽一の目に止まったのは人影。

「なんだあれ」


街灯も届かない木陰。そこに人影が集まっていた。

真ん中には倒れている人。


「オラッ!!」


一人の生徒をいじめている男たち。

それを見て駆け出す総馬。


「君たちやめないか!!」


「来やがったか、総馬。だがこの前とは違うぜ?」

ショータイムだ。とパチンと指を鳴らす。

ズン……ズン……という音。


「え、なに……?」


道の向こうからは大量の不良生徒たち。

隅、来た道からも迫ってきている。

優依達はあっという間に包囲されてしまった。


「お前、ここで病院送りにさせて貰うわ。事が起こった後じゃ学校も対処のしようがねえだろ?」


「オラッ!!」


構える陽一と総馬。


「行けるか?陽一」

「やるしかねえな!!」


「ウルァ!!!!」

拳を振りかぶる不良生徒。陽一はそれを見切って半歩横に回避。去り際に軸足を滑らせるように脚を払う。


バランスを崩した不良は転倒し、仲間にもたれかかる。ドミノ倒しのように数人がもつれる。


「まだだ!!タックル!!!」

陽一は地面を蹴る。

弾丸のような重心の低い突進。正面に居た二人をまとめて巻き込み吹き飛ばしていった。


その側で総馬は静かに息を吐いた。

「掛かってこい」

独特の構えを取る総馬。

向かってくる敵を次々と投げる。敵の竹刀を拾うと、


「そこ!!」


バシバシバシ!!

一瞬のうちに三人を失神させてしまう。


陽一はスポーツ万能。並みの生徒よりも優に身体能力は高い。

総馬もそれに劣らぬ潜在能力を持つ。


「こいつら強えぞ!!囲め!!」


数十分後。二人は互いを背に戦い続ける。


「はぁはぁ……敵が多すぎんだろ……」

道の向こうにはまだまだ人の群れが見える。

これ全員生徒か?一体どうなってる?倒しても倒しても次が埋まっていく。


「きりがないな……」


その瞬間だった。


「ぐほっ!!」

総馬の脇腹に拳がめり込む。吹き飛ばされる。


「総馬!!」

「よそ見はいけねえなあ……オラ!!」


ガンと鈍い音がする。


黒田の拳が陽一の顔面を捉えていた。

吹き飛ぶ陽一。


コツコツコツ、と陽一に近づく。


「やめなさい!!」


智花が陽一を庇い、立ち塞がる。


「な、何やってんだ!!」

「ははは、殊勝な女だ。」


男の大きな手が迫り、智花の顔を鷲づかみにする。

「やっ……!!」


「女子達に忘れられねえ思い出を刻ませるってのもいいかもなぁ?」


「テメェ!!」


身体が動かない。もう長いこと戦い続けて身体はボロボロだ。

もはや絶体絶命。


「ずいぶん頑張ったがゲームオーバーだ。こっちの数はまだ百人以上……、ん?」


黒田は目を見開く。少ない。あれだけ集めた兵隊はどこへ行った?

自分の後ろに空いているのは謎の穴。


「く、黒田さん……やべえ……!!」


「あ!?」


その瞬間、

黒田は目の前で起こっている出来事に目を見開いている。


それは“手“だった。

地面から生える手が仲間の脚に絡みついている。


「何だこれ!!離れねえ!!……うわああああああ!!!」


地中に引きずられてしまった。


「は?」


穴を見る。

黒田の内に湧き上がるのはえも言われぬ、


“恐怖“


周りを振り向く。木はただ揺れているのみだ。


「何が起きてやがる」


一旦起こったそれはたちまちの内に伝染していく。


「呪いだ……呪いだ!!」「地獄に連れて行かれるぞ!!」「勘弁してくれー!!」


「あ、お前ら、」

たちまちのうちにあれだけいた黒田の仲間は散り散りになってしまった。


陽一は倒れ込みながら力なく笑っている。

「百人が何だって?」


「くそっ!!覚えてやがれ!!」


黒田は去って行った。


取り残された総馬たち一行。

静寂が流れる。


「助かった?」「だな」

二人は呆然としていた。


ばさばさっ。

その背後で急いで土を払う優依。


(うわっ土まみれ、払わなきゃ!!)

『ははは。見事な怪異だったぞ。私ならこんな回りくどい手は使わん』


頭の中で唯が愉快そうに笑っている。


地面から伸びた“手“。それは優依が地中を移動して物理的に足を引いていたのだった。

加えてこの公園にはご神木が守っているという噂がある。

その怒りを買ったのだと考えると、自然な結論にたどり着く。


『むしろ恨まれるのは私達の方だな』

(笑い事じゃないよ!!)


「君、大丈夫か?制服を見たところウチの生徒のようだが」


総馬はいじめられていた生徒に手を差し伸べる。

生徒が顔を上げる。

『……!!こいつは……!!』

(ん?どうかしたの?)


“久遠唯”がざわつく。学年一の不良にも眉を上げなかったこの最強の女が反応した。


「助けてくれてありがとうございます。」

「普通科の桜真白と言います」


その様子に驚く総馬。


「君、本当にあの不良クラスの生徒かい?真面目過ぎやしないか?」


「あはは、僕病気がちで休み多いから問題生徒扱いなんです」


「それは困ったな……」


扱いが面倒な生徒は問題生徒。

学校側は保身のために目をつぶってしまっているのだ。

そこで陽一は口を開く。


「じゃあ、真白君さ、『便利屋ユイ』入らねえか?何かウチ、呪いに守られているみたいだし、恐れて近寄らないんじゃね?」

「あとうち、部員足らないしさ!!」


「それが本音ね……」


智花が困った顔をする。


「僕が、ですか?」


「ああ!!困ってる奴たすけんのが『便利屋ユイ』だしよ!!」


『駄目だ。そいつだけは絶対に入れるな』

(え?)


優依は思わず真白を見る。

青白い肌に細い身体。弱々しい笑み。


どうみても普通より虚弱な男子生徒だ。


それなのに唯が一目置いている。

しかし、唯の思惑とは別に話は先に進んでしまう。


「やってみようかな……」

「良いの?」


「はい!!」


「よっしゃ!!これで四人だな!!」


「部員、足らないのかい?」


総馬が口を開く。


「じゃあ僕が名前を貸そう。二回も共闘した仲だ。活動にはあまり参加できないかも知れないが……」


「ええ!?じゃあ!!」


「成立ね」


「よっしゃあああああ!!!!」


喜びのあまり踊り始める陽一。

計画の好調ににやけ顔を隠せない智花。


それを見て少し困った顔をする桜真白。


そして謎に焦り続ける“久遠唯”。


それぞれの思惑をはらみつつ『便利屋ユイ』は進んでいく。

運命のあの日まで。


ここまでお読みいただきありがとうございました!!


次回も鋭意制作中です!!ご視聴の程よろしくお願いします!!

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