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第十二話 sideB 樒真白の“救済“

第十二話をお届けします!!ダークヒーロー回です!!

とある山間にて、

拘束された人々。恐怖におびえている。


その前に教祖は立っていた。


「さあ!!神の贄となりなさい!!」

その目の前には黒い怪物。


「ああああああああああああ!!!!!!!」


バキバキゴリゴリムシャ!!


「我が神の鼓動を感じるぞ……よく食べて大きくなってください。我が神よ」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


『便利屋ユイ』

都内にあるどんな依頼でも解決させる街のトラブルシューター。

そこの店主、久遠唯は今日もあり得ない方法で事件を解決するのだった。

がっくりとする犯人。


「私の車帝国の野望が……いや、これで良かったのか……」

「ふいー。じゃ、お疲れさん、遥、帰るよー!!」

「はい!!」


颯爽と歩き去って行く唯と遥。


ざわざわ…

「人が空を歩いてたぞ!!」「今、車持ち上げてなかったか!?」


騒然とする街中。そこに現れた一人の男。


「はいはい、皆さん落ち着いて、これはね。当たり前のことなんです」

「この政府が作った強化スーツを着ると……、ほら」


男はふわり、と宙に浮かび上がった。そのまますいすいと道を進んでみせる。


「……すげえ!!」

「でしょ?最新科学なんですよ。これ企業秘密ね。皆にだけですよ?」


「俺知ってるぞ!!あんた樒准教授だろ!?テレビでよく見るよ!ははは!!」

「あ、バレちゃいました?」


しばらくすると納得して人々の興奮も収まり、それぞれに散っていく。

唯が去って行った方向を眺め、

「ふう……、尻拭いするこっちの身にもなって欲しいよ……」と呟く。


樒真白。唯の宿敵にしてもう一人の“成功例”。


そこにもう一人の影が寄り添う。

「いいのですか?能力を衆目に晒してしまって。もうSNSにも投稿があるようですが……」

「大丈夫。あたりまえと思い込ませるのがこの計画の肝なのさ。で、要件は」

「……教授がお呼びです」

「ありがとう」


霧生小夜。真白の助手にして忠実なる部下。そして例の“計画“の被害者。


東京某所、進化研究施設、施設長室。

「……失礼します」

「やあ、待っていたよ」


佐伯恒一郎。量子力学の権威にして、この施設長を務める男。今は離れているが、真白の元直属の上司。


「仕事は順調かね?」

「はい、滞りなく進んでおります。“計画”の方も……」


佐伯はふふ、と笑った。


「君は話が早くて助かるよ。その事で一つ、頼みたいことがある」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


車を飛ばす真白。助手席には小夜。

二人はやがて、ある山間の施設にたどり着いた。

到着すると、男が一人待ち構えていた。


整えられた長髪にオールバック。

派手な衣装を身に纏っている、五十代くらいの怪しげな雰囲気を持つ男。


「いやー、どうもどうも、樒真白と申します。この度はお招きいただきありがとうございます!!」


「樒先生!!お待ちしておりました、私が教祖の界道と申します。ようこそ。宗教法人、天命の園へ」


立ち話もなんですし、ささ、どうぞ……と案内される二人。清潔感のあるごく普通の応接室。

だが、奥にある偶像が、この施設の異様を醸し出している。


「素晴らしいですね……これ全部“奇跡”ですか?」


壁には“奇跡”の写真が飾られている。病人が立ち上がる瞬間。涙を流して祈る人々。


「ええ、我等が神の御業です!!最近は特に成功例が増えておりましてねぇ……」

「さらなる奇跡を広めるために今日は他でもない樒先生に協力して頂く、と言う形で……」


樒真白。齢三十八で准教授へと異例の昇進を遂げた若きエリート。彼のカリスマ性は老若男女問わず、テレビやネット様々な媒体で影響力を持つ。


天命の園にとって、これ以上無い広告塔というわけだ。


「いやぁーしかし本当に光栄ですねぇ、私みたいな若輩者に声をかけていただけるなんて」


軽薄に笑う真白。しかし教祖は真面目な顔を崩さず手を広げる。


「何を仰いますか!!」

「貴方のような方こそ、“神の意志“を広めるにふさわしい!!」


「“神の意思“、ですか」


「ええ、ええ!!我々は選ばれたのです!!この奇跡を世界に広めるために!!」

「なるほど……」


「百聞は一見に如ず!!まずは奇跡をご覧に入れましょう。では、入りなさい」


奥から一人の少女が連れてこられる。車椅子の少女。事故か生まれつきか脚を無くしている。


「この子は重度の障害を抱えておりましてね。しかし!!神の御技によって救われます!!」


「神よ!!この者を救い給え!!」


奥の偶像が脈打つ。

―――ズズッ……。


「っ、あ……」


骨が軋む音。少女の身体がゆっくりと浮かび上がる。

顔は苦痛に歪むが、確かに骨が形成され、皮膚が生える。


”脚が形成されている”。


そして、床に降り立つ。


「立てる……私歩ける!!!」


ぽろぽろと涙を流す少女。その場に崩れ落ちる。


「どうですか!!これが奇跡です!!」


「安定しています、信じられない……」

「素晴らしい」


真白は手を叩く。


「――ですが、」

「これはただの余興にすぎません。」


真白の視線がわずかに上がる。


「と、言いますと?」

「実は我々の組織には、実在しているのです。“本物の神“が」


「本物、ですか……」


「百聞は一見に如ず。こちらへ」


案内されるまま、二人は廊下を進む。それは宗教施設には不釣り合いなほどの厳重な大きな扉がそこには鎮座していた。

ギィ……と鈍い音を立て、扉が開く。


「これこそが我らの神、全ての奇跡の源です」


「……これは!?」


小夜が驚く、驚くのも無理はない。それは異形。鎖に繋がれた巨大なおぞましい何かだった。

人の部位をつぎはぎに繋いだ黒い“何か“。


それはまるでかつての……


「今からさらなる奇跡を起こします!!」


パンと手を叩くと、現れたのは総勢千人ほどの教徒たち。

一人一人が“何か“の中へと進入していく。迷いなく。


大きさを増していく身体。

その時、ぽたり、ぽたりと怪物から黒い液体がたれている。


それは地面に落ちるとシミとなり影を形成、その影から“何か“が覗き、蠢いている。


『出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる……』


「おお!!神の生誕だ!!」


その時観衆から叫び声がした。

「手から炎が!!」「奇跡だ!!神の奇跡だ!!」


恍惚とした表情をする教祖。


「……我が悲願は達成した。無差別の人々に奇跡を配る神。私はそれの補助をしただけに過ぎない。これから神はさらに多くの人を救うでしょう」


ズズ……影が広がる。


「ひ……ああああああああ!!!」


飲み込まれる。異変。

「な、なんだ!?」「痛い……痛い!!」

「違う……こんなの奇跡じゃ……」


『出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる出られる』


次々と顔を出す“何か“。捕食される人々。悲鳴、血しぶき、辺りは騒然としている。


「恐れるな!!これは試練だ!!乗り越えられた者だけが祝福を授かるのだ!!」


その様子を真白は見ていた。


「やっぱりね」


ザシュ

“神”の脳天には槍が突き刺さる。


「樒先生!?なにを……」


「これは救済なんかじゃない」


「侵略だ」


「小夜。先に帰ってて」「……了解しました」


ブシャアアアアアアアア!!!

内部から槍が侵入し突き破る。


「皆の者!!神を守れ!!」


解放したばかりの能力を真白に向けて放とうとする、が。


「おっと」


真白、背中から出した翼により飛行しそれを回避。

見下ろす位置で一言、


「ひざまずけ」


ドゥウウウウウウウウウン……。

一喝ですさまじいプレッシャーがかかる。


「こ、これは……重力!?」


しかし、怪物達は止めどなく溢れている。


「あーあ、やってくれたな。門ごと破壊しないと収まらないか……」

「じゃあ特別に見せてあげよう。本物の奇跡を」


「『複合発動』納、暴、統、射、硬」


真白の背後から空間が裂け、現れたのは人間の約三倍はあろうかという筋骨隆々の巨体。


「試作品一号 “無限爆発くんミサイル”」


「行け」


ドドドドドドドドドドドドド!!!!

真白はそれらを射出していく。

床に突き刺さる巨人達。


「爆」


ボゴオオオオオオオオオオオン!!!

ドゴンドゴンドゴンドゴンドゴンドゴンドゴンドゴン!!!

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!!


自爆する巨人。一度だけではない。何度も、際限なく、爆発し続ける。


シュウウウウウウウウ。

やがてそこに残っていたのは床に突き刺さった怪物たちだけだった。


「ははっ、僕の奴隷硬すぎ!!最強!!」


怪物が居た礼拝堂は更地になってしまった。


「よし解除っ!!」


怪物は元のただの人間の姿に戻っていった。

彼らを再び掌の中に収める。


「んー、納で奴隷を引き出して統で能力を配って射出、それを爆発させる!!」


「でも死んじゃうと配れないってのが難点だったんだよね。だから暴と硬で底上げ。それで何度も爆発出来る。人間絨毛無限魚雷に進化。やっぱ天才だなあ、僕!!」


「どういうことか分かる?教祖さん。」


真白の腕には教祖が掴まれている。


「君が神に頼ってる奇跡、僕にもできるんだよね。それ、信じる必要ある?」


「まあ、いいや。情報全部吐いてもらうよ。この施設の支部、総会員数、名簿、全部だ。」

「消すのか……?」


「当たり前だろ。拡がる前に“潰す“。それが救済だ」


遠くで見ていた人が呟く。


「……奇跡だ」


そう呟いた後、男は絶命した。


「あ、動かなくなっちゃった」


ここまでお読みいただきありがとうございます!!

テーマは”別の救済の形”です!!

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