閑話休題 編み物
今日は閑話休題です!!ちょっとした小話をお届けします!!
『便利屋ユイ』
雑居ビルの一角。
そこにどんな依頼でも解決する便利屋がある。だが、それはあまり知られていない。
『次のニュースです。今日昼頃、「金を出せ」と……』
昼下がり。午前中の仕事も終わり、今は自由時間。
助手の遥はドアを開けるとウキウキでその主、久遠唯に声を掛けた。
「ねえ!?唯さん?近くのデパートに海外の有名スイーツのアンテナショップ出来たんです!で、買って来ちゃいました!!」
「そこ置いといてくれー」
唯の机の上には何やら見かけぬコート。それに向かってなにやら作業をしている。
「あれ!どうしたんですか?その服。古着?とか?」
「さっきそこで拾ったんだ。見るも無惨なぼろきれになってたもんだよ」
「それをちょちょいと縫ってやることで……ほら、」
シュルルルルル。
いつもの破壊行為からは感じ取れない繊細な手つき。
穴だらけだったポケットもみるみるきれいに仕上がっていく。
「わあ……元通りみたいに!!裁縫とかやってたんですね!」
「意外だったか?昔ちょっとやっててな……」
やがてコートは元通り、いや、少しだけ綺麗になっていた。
ふと、遥が何かに気づく。
「あ、刺繍が入ってる!!」
「ん……あ、ホントだ。これは元からあったやつだな」
その時、ドアが開く。
「あ、あの!!すみません!!」
入ってきたのは男性。
「この辺でコート見かけませんでしたか!?あの、大事な人から貰った物で!!」
「特徴は?」
「ここに小さな刺繍が……」
指さした場所。
そこには、今さっき縫い直したあと。
「おお、これだ」
唯がコートを差し出す。
「……えっ!!どうして。」
「落ちてた」
男は大きく安堵した。
「ああ良かった……!!コートを落としてきた場所で、昼頃に強盗グループが立てこもってたんですよ!!」
「奴ら銃も持ってて、とても近づける状況じゃなくて、戻ってきたらなぜか騒ぎも収まってて、コートも無くなってて……」
「本当にありがとうございます!!」
ドアが閉まる。男性は頭を下げて帰って行った。
唯がぼそっと呟いた。
「……直してから返した方がいいかなと思って」
「ははは、本当そういうとこですよ唯さん。」
白っぽい目で見つめる遥。
「いや、私が壊したわけじゃないからね!?」
終
ここまでお読みいただきありがとうございます!!




