四、騒霊の正体見たり!
四、騒霊の正体見たり!
緒作と灰吉は、再び、614号室の前に立った。
「静かですけど、大丈夫ですかねえ?」と、緒作は、心配した。妙に、静まり返っているからだ。
「そうですねぇ。気味が悪いくらい静かですね」と、灰吉も、同調した。
「ひょっとして、巫女さんの身に、何か起こって居るのかも知れませんね」と、緒作は、口にした。室内で、何かしらの事が起きているとも考えられるからだ。
「そうですね。中へ入りましょう!」と、灰吉も、同意した。そして、鍵を差し込むなり、解錠した。その直後、扉を開けた。
次の瞬間、巫女と蛸顔の黄色い達磨が、部屋の中央で、持っている互いの道具を交えて居た。
「な、何ですか! あ、あのヘンテコな奴は!」と、灰吉が、素っ頓狂な声を発した。
突然、「あれは、どらパンキーですよ」と、茶柱の声が、背後からして来た。
緒作は、振り返り、「茶柱さん、あなたは、一体…?」と、尋ねた。自分の理解力を超えているからだ。
「そうですねぇ。この時代の特異点を護っている時空跳躍者ってところですかねぇ」と、茶柱が、回答した。
「は? そんなラノベ的な言い訳を信じるほど、子供じゃないぞ!」と、緒作が、語気を荒らげた。嘘としては、子供じみて居るからだ。
「はぁ〜。信じて頂けないのは、残念ですねぇ〜」と、茶柱が、溜め息を吐いた。
「ふ、不審者め! け、警察だ!」と、灰吉が、喚き散らした。
「この時代の国家権力に係わると面倒な事になりますので、記憶を消去させて頂きましょうかねぇ〜」と、茶柱が、口にした。そして、「ばーん!」と、右手で、ビンタを繰り出すなり、灰吉を張り倒した。
灰吉が、瞬く間に、横倒しとなった。そして、そのまま、動かなくなった。
その途端、緒作は、面食らって、立ち尽くした。恐怖のあまりに、足が竦んでしまったからだ。
「次は、あなたの番ですねぇ」と、茶柱が、含み笑いをした。
そこへ、「きゃあぁぁぁぁぁっ!」と、巫女の断末魔の悲鳴が聞こえた。
少しして、「やっと、仕留めたぜぇ!」と、機械的な声が聞こえた。
「どらパンキーさん、ちゃんと、生き返らせて下さいよ。未来に、どんな悪影響が出るか、判りませんからねぇ〜」と、茶柱が、にこやかに言った。
「分かっているよ。時間シートで、元に戻すから、安心しろよ!」と、どらパンキーが、力強く返答した。
「そう言って、時間を進める方を被せて、塵にしちゃいましたよねぇ〜」と、茶柱が、指摘した。
「あれは、初めて使って、勘違いしていたんだい!」と、どらパンキーが、語気を荒らげた。
「ひょ、ひょっとして、お、俺達も、じ、時間シートってやつで、ち、塵にされるのか?」と、緒作は、質問した。秘密を知った以上、見逃してくれそうもないからだ。
「あなたの存在を消すのは、簡単ですが、時間法の違反になりますので、記憶だけですよ」と、茶柱が、回答した。
「でも、そこの蛸みたいな奴は、一人消しているんだろ?」と、緒作は、問うた。すでに、時間法を破っているからだ。
「確かに、どらパンキーは、未来の対象者を消しちゃいました。しかし、過去へ跳躍して、やり直したので、セーフですけどね」と、茶柱が、語った。そして、「お喋りも、ここまでですので、そろそろ…」と、示唆した。
「や、止めてくれ! 見なかった事にするから!」と、緒作は、拒絶反応を示した。一撃で伸されるビンタを食らうのは、真っ平ゴメンだからだ。その直後、「痛っ…!」と、首筋に、刺す痛みがした。そして、その場で、くずおれた。
「茶柱氏、どらパンキー。撤収でござる!」と、古めかしい物言いの声が降って来た。
しかし、緒作は、声の主を確認する前に、意識を失うのだった。




