第2188話 バレンタイン恋騒劇17(3)
(くそっ、マジで最悪だ。最悪中の最悪の展開になりやがやった・・・・・・)
冷や汗をだらだらと垂らしながら影人は己の運の無さを呪った。もうこっそり逃げ出す事も出来ない。零無とナナシレと勝負をする事は確定したようなものだ。更に、もしも、もしも光司もバレンタインのお菓子を持っていて、影人と勝負をしたいなどと言い出したら――
「あ、そうだ。実は僕も、友チョコというものに憧れて、一応バレンタインのお菓子を用意していたんだ。という事で、僕もその勝負というものに参加してもいいかな?」
(終わった・・・・・・)
光司の言葉を耳にした瞬間、影人は絶望の底に突き落とされた。もはや叫び声すら出なかった。影人はその場に崩れ落ちた。半開きになった口からは魂のようなものが抜け出していた。
「別に構わないわよ。でも、その前にそっちの2人の勝負が先だからあなたはその後ね」
「了解したよ」
当然のようにシェルディアが許可を出す。光司は笑顔で頷いた。
「そうだ勝負だ! 影人! 早く吾と勝負をしよう!」
「私も早くご主人様にこのチョコをお渡ししたいです!」
「あーもう! 分かった! 分かったよクソ! やりゃあいいんだろ! やってやるよ!」
シェルディアの言葉に触発されたように、零無とナナシレが再び影人にそう言ってくる。やけくそになった影人は勝負を受け入れた。
「ただし1人1人はめんどくさいから纏めてだ! こっちはマジで体力がもうないんだよ! お前もだ香乃宮! 3人纏めて相手してやる! それ以外は受け付けん! 分かったか!?」
零無、ナナシレ、光司を指差しながら影人はそう条件を突きつけた。影人の条件を聞いた零無は「なっ!?」と予想外だという反応になる。
「なぜだ!? なぜこいつらと2人と一緒に!? それでは存分にイチャイチャできないじゃないか!」
「んなもんはどうでもいいししなくていいんだよ! で、どうするんだ!? やるか、やらないか! それ以外の答えはねえぞ!」
抗議の声を上げる零無を影人はキッパリと跳ね除けた。影人の意志が固い事を悟った零無は「ぐっ・・・・・・」と困った顔を浮かべた。
「零無様。ここはご主人様の提案を受け入れるしかありません。私たちの第1の目的は、ご主人様にチョコをお渡しする事です」
「そうだね。ここは駆け引きをする場面じゃない。選択を間違えば、全てが水泡に帰す」
「うるさい! 貴様らに言われなくとも分かっている! 分かった。影人、お前の条件を飲もう!」
ナナシレと光司の言葉にそう返しながら、零無は影人にそう言った。零無も影人の事はよく分かっているため、ナナシレと光司の指摘が真実であると理解していた。
「じゃあさっさと勝負の方法を考えろ! 5分やる! それまでに勝負方法を考えられなきゃ、勝負はしないからな!」
前髪はそう言ってスマホのタイマーを起動させた。そして、きっちり5分、時間を計り始めた。




