第1297話 闇の女神と吸血鬼との再会(3)
「・・・・・・シェルディア、奴はただ者ではない。初めから全力で行くぞ」
レイゼロールがその身から闇を立ち昇らせる。次いで、レイゼロールのアイスブルーの瞳の色が漆黒へと変わった。『終焉』の闇を解放している証拠だ。レイゼロールは全ての存在を終わりに導く『終焉』の闇をその身に纏わせた。
「ええそうね。きっと、それが正解だわ」
シェルディアも自身の真なる力を解放した。途端、シェルディアのブロンドの髪が、美しい銀に変わり、その瞳の色も真紅に変わる。そして、その身に瞳と同じ真紅のオーラを纏った。真祖化。シェルディアの真祖としての力を解放した本気の姿だ。
(っ、『終焉』状態のレイゼロールに、『真祖化』状態の嬢ちゃんかよ・・・・・・ヤバすぎだぜ・・・・)
2人のその姿を見た影人は内心でそう言葉を漏らした。レイゼロールとシェルディアのその形態と戦った事のある影人は、その形態がどれだけ規格外なのかを知っている。片方は1度殺された形態であり、もう片方は『世界顕現』を使っても負けた形態だ。
かつての、スプリガンであった影人が、この形態の両者を相手にしなければならないと言われたならば、それは悪夢以外の何者でもない。影人は2人に頼もしさを覚えつつも、そんな事を考えていた。
「ちっ、結局こうなるのかよ。しかも、片方は『終焉』の力持ち。クソ面倒くせえ。はあー、仕方ない。吾も久しぶりに戦うか」
一方の零無は、2人の変化した姿に全く気圧された様子もなく、そう言葉を吐いた。そして、零無もゆらりとその身から透明のオーラを立ち昇らせる。
「「「・・・・・・」」」
レイゼロール、シェルディア、零無が互いを睨み合う。一触即発。いよいよ、戦いが始まるか。そう思われた時、突如零無と、レイゼロールやシェルディア、影人たちの間、その虚空に透明の門が生じ、
「――その戦い、待ってもらいます」
そんな声と共に、門の中から1人の女が現れた。薄紫の長い髪に、零無に力を奪われた事により透明と薄紫のオッドアイに変わった目。シトュウだ。真界にいた時は、シトュウの服装は白と透明のベールのような服装だったが、今のシトュウの服装は淡い紫色の着物のような服装だった。
「「「っ・・・・・・!?」」」
「ちっ、わざわざこんな場所に降臨してまで、吾を追って来るかよ、シトュウ」
シトュウの突然の登場に、影人、レイゼロール、シェルディアは驚いた顔を浮かべ、零無は予想外といった顔を浮かべた。
「あなたには、力を返してもらわなければなりませんからね。全ての世界平定のために」
「ふん、元々は吾の力なのに返せとは烏滸がましい奴だぜ」
シトュウの言葉に零無は面白くなさそうにそう言葉を返す。その言葉に対して、シトュウはコクリと頷いた。
「確かに、私の『空』としての力は元々はあなたのものです。ですが、現在の『空』は私。あなたから継承した力を振るう資格は、私にあります」
「簒奪したの間違いだろうが。盗人猛々しい」
「私たちがあなたから力を簒奪したのは、当時のあなたにその資格がなかったからです。あのままあなたが『空』でいれば、全ての世界の平定は為されていなかった」
零無とシトュウが互いを見つめながらそんな言葉を交わす。シトュウの事を覚えていた影人は、シトュウに言葉をかけた。
「あんた、真界の神だよな・・・・・・? 何でここに来たんだ・・・・・・? しかも、そいつの事を知っているみたいだし・・・・・・あんたとそいつは知り合いなのか?」
「・・・・・・ええ、あなたの指摘は正しいです帰城影人。私と彼女はよく知った仲です。しかし・・・・・・本当に蘇ったのですね・・・・・・」
影人にそう聞かれたシトュウは、チラリと影人の方を見ながら答えを述べた。そして、シトュウは影人が蘇っている事に少し驚いていた。まさか、あの無限に広がる「虚無の闇辺」から帰城影人の残骸を見つけ出すとは。シトュウは、零無が本当に影人を蘇らせられるとは思っていなかった。




