第1276話 平和な世界、予兆(3)
「でも、あなたがここまでお茶や料理の腕があるなんて思ってもいなかったわ。本当、びっくりよ」
「・・・・・・・・修行したからね。まあ、それでも20年くらいだけど。だから、まだまだ日々精進中」
カウンター内で洗い物をしていたシエラに視線を移しながら、シェルディアがどこか感慨深げにそんな言葉を漏らす。シェルディアの呟きを聞いたシエラは、表情を変えずにそう返答した。
「・・・・注文は決まってる?」
「あ、はい。ええと、私はオレンジジュースと、アップルパイを」
「僕はホットのレモンティーを。あと、すみません。僕もアップルパイを」
「私はコーラとナポリタンとハムサンドとシュガートーストとベイクドチーズケーキを! あと、私もアップルパイお願いします!」
カウンター内から3人に注文を聞いたシエラに、明夜、光司、陽華はそれぞれメニューを告げた。
「・・・・オレンジジュース、ホットのレモンティー、コーラ、ナポリタン、ハムサンド、シュガートースト、ベイクドチーズケーキ、アップルパイが3つね。分かった」
「「「はい」」」
3人の注文内容を復唱したシエラに、3人は間違いないと頷いた。注文を確認したシエラは「ん・・・・アップルパイだけちょっと時間が掛かるから」と言って、作業に取り掛かり始めた。
「ええ・・・・どんだけ食うのよあんた・・・・引くわ・・・・・・」
「ふふっ、相変わらずよく食べるわね陽華は」
陽華の注文を聞いていたキベリアとシェルディアが、それぞれそんな言葉を漏らす。その言葉を聞いた陽華は少しだけ照れたような顔になった。
「ほ、放課後はどうしてもお腹空いちゃって・・・・で、でも今日はまだ少なめだから!」
「そうよキベリアさんにシェルディアちゃん。この前の2時間連続で体育があった日の放課後なんて、陽華がどれだけドカ食いしたか。まるで掃除機みたいだったわ」
「あはは、でも僕はいっぱい美味しそうに食べる女性は素敵だと思うけどね。朝宮さんは絶対に食べ物を残さないから、そこも素敵だと思う」
「え、そ、そうかな? えへへ、だってさ明夜! 私、素敵だって!」
「アホね。それはスーパー完璧イケメンの香乃宮くんだから、そう言ってくれただけよ。普通だったら、多分まあまあの人に引かれるわ」
「ええ!? そ、そんなぁ・・・・・・・・」
平和で微笑ましいやり取り。そんな3人の若者のやり取りを見ていたシェルディアは、和やかな笑みを浮かべた。
「ふふっ、やっぱり面白いわねあなた達は。あなた達がそんな人間だから、きっとレイゼロールは救われたのね」
「ええ? そ、それどういう意味シェルディアちゃん?」
「ああ、レイゼロールと言えばシェルディアちゃん。レイゼロールや他の闇人たちはどうしてるの? 私たち力をソレイユ様に返して以来、ソレイユ様とは会ってないから、その辺りの事情知らなくて・・・・よければ教えてもらえない?」
そんな言葉を述べたシェルディアに、陽華はよく分からないといった感じの顔を浮かべ、明夜はそう言えばといった感じで、シェルディアにそんな質問をした。




