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マインドウォーカー  作者: ラーメン
柊ナノ救出編
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二十六話・終わらせるべき闘争

【T市・廃墟街】──別動隊竜崎side──


竜崎の前には覚悟の目をした蒼目のオールバックの男“神代”が立っていた。


「…相手は一人、いや、他に一人で合計二人…か?」


神代はそう呟くように言った。

それに応えるかのようにアルゼルは腹を抑えてニタニタと笑って言う。


「はッ!こりゃ驚いたなァ…!あの()()()の片腕かァ!」


その言葉に神代のこみかみは反応する。

そしてその感情の揺れは竜崎にも伝わっていた。


「神代…さん?」

「離れてろッ!敵の攻撃が来るッ。」


その瞬間、竜崎に対し、槍の様な形状の物が百本程が飛来してきていた。


(私のホロス様には絶対に此処には近寄らないように言われてるの。だから…ごめんね?)


ある女の声が神代と竜崎の頭に鳴り響く。


「…今の声は?…ッ!?」


…その時、竜崎が上を見上げると数本の槍が目の前に降り注ぐ。


「【止眼】ッ。」


だがその猛攻も神代の前では無力化してしまう…ハズだった。

止眼の特性は“対象の動きを封じる”というものであるが一点だけ弱点がある。

神代はそれを念頭に置くことなく竜崎の身を守る為に咄嗟に使ってしまう。


「ッ!?」

「テメェの横が…がら空きだなァ!!」


神代が気付いた時にはもうアルゼルは神代の背後に回り込んでいた

そう…その弱点は()()()()()()しか効果が無いというものであった。


──アルゼルの拳は黄色と紫を合わせた様な禍々しさを増し、咄嗟に振りむいた神代の顔面に放たれた。

神代は抵抗が出来ないまま、そのまま攻撃を受けてしまい数メートル先まで飛ばされてしまう。


「……。」


神代は倒れ込んだまま、瞳を閉じる。


「…教会ィ!!」


竜崎は怒り狂い、右手に込めた光の刃をアルゼルに切り込めるように構えを取る。

だが、アルゼルは構いなしに笑い始める。


「…うはははァ!!冷静な奴が崩れる姿ってのはこうも面白いんだなァ…!!でもよ…」

『気に入らねぇから死ね。』


アルゼルは全身に力を籠め、闇弾を作り出すと、その闇弾を思いきり竜崎に放出する。


「【心剣】───」


竜崎は心の中で恨みの念を呟く。

どうして自分から希望を摘むのか。どうして自分は成長しないのか。


…どうして自分から家族を奪ったのか。

──すべてロストのせいだ…と。


でも今の自分ならさっきみたいに敵の闇を吸い込んだように、

もしかしたら自分の力が増長したのかもしれないと…()()をもって。

──だが、竜崎が望んだものはそこには無かった。


「え…?」


彼が放った心剣である光の刃は出なかった。

出ないだけでなく、自身の体が黒くなっていき、身体中に痛みが走るのだ。


「…どう…して。」


竜崎は不意に涙を流していた。

全ての希望を打ち砕かれ、自身が闇に染まっていく。


──ただ、そんなことも打ち砕く“力”が、すぐ傍に迫っていた。


「…()()()()()()()()に行かせないってハナシだ。」


しかし、目の前に来ていたのは恐怖を煽る闇弾ではなく“神代大和”という男であったのだ。

闇弾は神代の能力によって消えると、竜崎の方をちらっと見る。

神代は持ち前のオールバックが崩れ、目まで前髪が爛れており、いつも見せる人当たりのいい笑顔が消え、別人と称してもいい姿になっていた。


アルゼルはそんな姿に慌てる姿を見せまいと言葉を発する。


「…はぁ?まだ生きてたのかァ?まぁそうこなくっちゃ──」

「言っておくけどよ──。」


神代はアルゼルが言葉を言いきる前に遮り、ポケットに入っていた“グレープ味”と記載のあるガムを口に放り込んだ。


「ここからだからな。本番は。」


神代の眼がさらに蒼く光り、こころなしか“殺気”で溢れているかのように見える。


「あぁ?来いよ。ぶっ殺───」

「──派生能力『激動』。」


神代はアルゼルに対して有無を言わさずに顔に向けて拳を放つ。

拳には周辺の空間を揺らす作用が働き、それがアルゼルに直撃した。


「…なんて速さ…ぐッ!?」


神代は拳を放つと指で空間を掻っ切る動作をし、言葉を放つ。


「───派生能力『烈動』。」


そしてその“空間”は“矢”のような鋭利な物と化し、アルゼルに向け発射される。


「…ッ!?」


そしてその矢と同時に神代は動き出す。

右脚を振り上げ、アルゼルの後頭部に向けて回し蹴りを入れる。


「ぐッ…!?」


後頭部に回し蹴りを入れられたアルゼルは地面に思いきり叩きつけられる。


「いっでェなァ!!!!次は絶対に──」

「次はない。今…終わらせてやるよ。派生能力『貫動(かんどう)』──」


倒れ込むアルゼルに向け、手刀の構えを取る神代。

そんな姿を見たアルゼルはなんと、エゴロストにして“恐怖”という感情を覚える。


「…な、なんだよ…これは…怖いッ!や、やめてくれッ!!!」


神代の目は蒼白く光り、止眼の能力によりアルゼルの体は動けなくなる。


『…それが感情であって、その内の負の感情と呼ばれるものだ。お前らはそれを人に覚えさせてきた“許されない存在”なんだ。』


そして神代はその言葉に答え、アルゼルの体を思いきり突き刺す。


「…がぁ…ぁぁ…ッ!!!!」


突き刺した途端、その周辺の地面に波動が伝わり、地割れが発生する。


「“許されない存在”な…ん…て言…わないで…ホロス…様…は…僕は…存在…して…いいって──」


そして、アルゼルの体はみるみるうちに黒い泡のように消えていく。


「僕らが断ち切らないと、終わらないんだ。この戦争(たたかい)は。」


神代はその姿をなるべく見ないように、目を逸らしていた。



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