二十七話・血は争えない
【T市・廃墟街】──別動隊影山side──
「ハ…ハハ…我は死なない…。我は…影。また…貴様…らの前に…現れ…る。」
ゼノンはそう言い放って蒸発し、消えていった──。
「結構あっけないっスね…。」
金崎はゼノンの姿を見てそう言いった。
だが、その言葉に九鬼は反応する。
「…マサ、もしかしたらまだゼノンは生きてるかもしれない。」
「…は?なんでだ?」
「アイツは一度死んだはずなんだよ。…だからだよ。」
「え…?」
金崎はその場で思考して静止した後、声を出す。
「もしかして教会側の誰かが───」
「うッ…。」
突如、影山は倒れ込み咳をこむ。
すると体の一部である右手が黒くなり始め、影山は焦燥感を覚える。
「…いや、なんでもない。竜崎の所まで早くいこう。」
「大丈夫スか!?」
「無理しないでいいですよ。オレらも戦えるんでッ!」
(早く返せッ。僕の体…ッ。)
「ッ…!!」
頭に響くその声はまさに影山自身だった。
「早く…行こう。」
「え…?影山さん、本当に大丈夫スか?」
「分かりましたッ!ほらッ。マサも頑張りますって言えよォ!」
影山は金崎と九鬼に悟られないようにポケットに右手を突っ込み、竜崎の所へ向かった──。
◇◆◇
マインドウォーカー支部とホロス率いる教会との激突の最中、ある人物らがマインドウォーカーT市支部に車で向かっていた。
その車に運転手には髪の長い男と、後部座席には黒いハットを被った初老の男が座っていた。
「…ふぅ~。仕事の合間のタバコは格別だな。あと何分で着くんだ、鳴川。」
「あと5分もすれば着きます。神代二代目。」
鳴川と呼ばれる研究着を着込んだ男はそう言った。
“神代二代目”と言われた初老の男は指でハットをなぞり、窓の外を見る。
「随分と、この街もボロボロになったもんだな。」
「…えぇ。我々マインドウォーカーと教会の以前からの戦争でこの“T市”は一部廃墟街と化してしまいました。」
鳴川はその言葉に返し、運転を続ける。
「…あぁそうかい。丁度その頃、俺の倅がこの街で特殊局として働いてた事があった。」
「はい。私も存じておりますとも。」
「でも何故か、親元を離れたくなるのか…辞めてしまった。俺の育て方が良くなかったのか…。まぁ、そんなことはいい。鳴川、今日の仕事についてだが、レイノルズを本部に移す交渉で…合ってるな?」
神代二代目は更に持っているタバコを口に咥え火をつける。
鳴川はそれに呼応するように、“えぇ。”と答えた。
「よし…。はッ…というか…。」
鳴川のその言葉に、二代目は呆れるように声を出す。
「こんなに…護衛は要らないだろォ…心配性なのは相変わらずなんだな。」
「えぇ。特殊局の“γ部隊”の五人に加え、本部の戦闘員を十数名を護送車に詰めに詰めております。」
「ははは…そうか。まぁ、レイノルズが反対する事を見込んでの行動ってワケか。」
二代目は不敵に笑い、そう言った。
「えぇ。拒否された場合、威圧程度に少々の兵力を投入します。もしも…の話ですが。…さて、着きましたよ二代目。…聞いていますか?二代目。」
二代目はその言葉に少し遅れて反応し、応える。
枯れ果てたT市の廃墟街を目にしながら───。
「あぁ。何度も言われなくとも分かってるってハナシだ。さぁ行くぞ。」
──そして、神代二代目会長である“神代大悟”は支部である洋館に足を踏み入れるのだった。




